記事・レポート

Incubation Hub Conference 2014
グローバル・イノベーターの条件

オープンイノベーションが新たな未来を創る

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年06月17日 (水)

第8章 日本企業が再び世界を席巻する日は必ず来る


 
大企業が変われば、日本が変わる

松本真尚: 最後に、大企業やベンチャーをサポートする側から。WiLは、日米の優れた大企業とベンチャーとを結合すべく、東京とシリコンバレーにオフィスを置いて活動しており、従来のベンチャーキャピタルにはない機能を持っています。

1点目は、インベストメント機能です。ベンチャーキャピタルとして、メルカリのように世界を見据えて戦う日本発のベンチャー、日本進出を考える有望な米国ベンチャーに対して、投資はもちろん、様々な経営サポートを通じてメガベンチャーへの成長を加速させていきます。

2点目は、エデュケーション機能です。世界で勝てるベンチャーを生み出すためには、アントレプレナーシップの普及・浸透と共に、個人のスキルセットの底上げも重要です。そのために、出資企業の人材を当社の米国オフィスに数カ月間派遣し、起業に関するノウハウをOJTで学ぶEducationというプログラムを用意しています。

3点目は、大企業のオープンイノベーションによる新事業創出支援です。日本の大企業は、自前主義で発展してきた歴史があることから、他分野・他業界とのコラボレーションを苦手としています。また、自社の研究開発に多額の投資を行っていますが、様々な統計を見る限り、イノベーション創出につながっているとは言い難い状況もあります。日本の大企業には、世界がうらやむような豊富なリソースがありながら、現状はそれらを生かし切れていないのです。

大企業が変わらない限り、今後、日本からイノベーションは生まれないでしょう。同時に、世界で勝てるメガベンチャーを育てる上でも、大企業とのコラボレーションは必要です。オープンイノベーションを加速させることで、この日本から世界に通用するプロダクトやサービスを発信していきたいと考えています。また、大企業の中にも「新事業をやりたい!」という方は大勢います。そうした方にも我々は積極的に投資し、様々なサポートを行っていきます。

WiL は2013年12月、約310億円のファンドを組成しましたが、大半は日本の大企業から出資をいただきました。オープンイノベーションというミッションを掲げる我々の想いに応えるだけでなく、ヒトもモノも快く提供いただけることになりました。

日本の大企業にも、オープンイノベーションを進めなければならない、という危機感は確実に広がっています。また、ベンチャーにしかできないことがあるのなら任せてみよう、と考える大企業も増えています。日本の企業が再び世界を席巻する日を目指し、我々としてもグローバルな視点から大企業やベンチャーをサポートしていきたいと思います。