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世界一の企画会社を目指すカルチュア・コンビニエンス・クラブ

その足跡と今後の成長戦略を増田社長が語る

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2012年11月06日 (火)

第6章 これからの企業成長のカギは、プレミアエイジが握っている

増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

増田宗昭: 「代官山にTSUTAYAができたわけ」をお話しします。きっかけは2009年に、フランチャイズの皆さんにお話しした「5年後のTSUTAYAのお客さまイメージ」でした。

戦後で大事な年は1970年、80年、90年の3つです。70年は250万人の団塊世代が就職し、高度成長の担い手である労働力になった年です。80年になると、彼らが30歳ぐらいになって可処分所得が増えて、若者市場が爆発しました。TSUTAYAができたのも80年代(83年)です。90年になると、彼らの中から高額所得者が現れ、ブランド物や外車や家など、高額なものが売れるようになりました。それと同時に団塊ジュニアが就職し、新たな労働力になったので、企業にとっては「売上マックス、人件費ミニマム」でバブルになりました。

これで日本は終わりです。これ以降は「前年比なんて考えちゃいけない」と僕は思っています。ここからは少子高齢化の逆ピラミッドで、平社員よりも社長が多い社会です。だから団塊ジュニアは出世できず、可処分所得が増えません。「こういう日本の社会構造の中で、僕らはどうするか」とお話ししたのです。

答えは簡単で、やるべきことは2つでした。1つは、人口クラスターでボリュームが増した団塊世代を中心とする「プレミアエイジ」をお客さまとして取り込むことです。お金も時間もあるこの人たちを取り込めたら、企業は成長できる可能性があります。TSUTAYAの20代の会員化率は約70%までいっていますが、これを90%にしたところで、人口クラスターが目減りしているので高が知れています。それより、今、約10%しかない会員化率の60代をポテンシャル市場としてとらえる。これが1つ目の施策です。それと同時に、若者が多いところに行く、すなわち中国に進出するというのが2つ目です。

創業当時、僕らは「若者たちのために」ということを志向しました。この原点を、今度は「プレミアエイジ(団塊世代)のために」と読み変えて、次世代のTSUTAYAをつくろうと考えたのです。次世代のTSUTAYAをつくるためにも、やるべきことは2つありました。1つはTSUTAYAのブランドイメージを、プレミアエイジの人に親近感を持ってもらえるものにすることです。今、テレビで流れている、外国のおじいちゃん、おばあちゃんが映画の名シーンをまねているCMは、それを意識してつくりました。もう1つは、プレミアエイジの方に喜んでもらえるような品揃えにすることです。これについては後で詳しくお話ししますが、この2つを目的につくったのが、代官山 蔦屋書店です。

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増田宗昭 (カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 社長兼CEO)

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