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世界一の企画会社を目指すカルチュア・コンビニエンス・クラブ

その足跡と今後の成長戦略を増田社長が語る

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2012年11月05日 (月)

第5章 6000万人に選ばれるTカード

増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

増田宗昭: Tカード導入前、TSUTAYAの会員証だった2002年の利用者数は2,000万人でした。それが2003年のTカード導入を機にどんどん増えていき、2012年5月には4,000万人を突破しました。これは日本の人口の32.0%にあたります。20代では66.9%の普及率です。

目標は、日本の人口の約半分、6,000万人です。TSUTAYAだけでやっていたら、20代、30代にしか普及しません。でも、例えば毎日新聞さんで出す「なるほドリTカード」は高齢の方が多いので、こうして88社と提携すれば、老若男女すべてをバーティカルに会員化できます。だから、人口の約半分はいけると考えています。実際、沖縄県ではすでに48.6%の方がTカードをお持ちです。ですから6,000万人構想は、沖縄県では実現しています。人口の多い東京都や神奈川県も40%を超えています。

Tカードの利用者数がこれほど伸びた理由の1つは、そもそも論の「カードは1枚でいい」という話です。カードの本質はパスポートです。いろいろな会社が独自に発行するカードというのは、ドイツにしか行けないパスポート、北朝鮮にしか行けないパスポートみたいなものです。提携店ならどこでもポイントを貯めたり使えたりできるTカードは、88カ国に行けるパスポートです。「どっちを選びますか?」という話です。カードを1枚に収斂させることで、Tポイントを円から基軸通貨のドルにして、使い勝手をよくしたのです。

某大手レストランチェーンさんで、「その店の独自ポイントとTポイント、どちらが欲しいですか?」とお客さまに訊ねたところ、「独自ポイント」と答えた人は6.5%、「どちらでもいい」が30%、「Tポイント」と答えた人は63%いました。

実際に、Tポイントに加盟しているカメラのキタムラさんで、カードをTポイントに移行するとき、それまで独自ポイントで5%付与していたのを1%に変えました。するとどうなったかというと、既存店の売上が上がったんです。

理由は2つです。まず1つは、お客さまはその店でしか使えない独自ポイントを評価していないからです。だから還元レートも気にしていません。レートを気にしているのは、出している企業の人だけです。もう1つは、ポイントが貯まるとわかったら、4,000万人のユーザーが移動して、その店を選ぶようになるからです。

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増田宗昭 (カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 社長兼CEO)

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