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iPad登場後の出版社のデジタル戦略とは?

電子雑誌にいち早く対応した、コンデナスト社の真意と今後の展望

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2010年11月25日 (木)

第7章 他社のプラットフォームに乗るメリットとデメリット

神原弥奈子氏(左)田端信太郎氏(右)

会場からの質問: iPadの登場によって、ソフトバンクグループの「ビューン」のようなビジネス・モデルが出てきましたが、これについてはどういった印象をお持ちですか。

田端信太郎: 全否定はしませんが、ビューンもアドネットワークもマガストアもそうだと思うんですけれど、プラットフォーム事業者が用意するが相乗りモデルに入るだけであれば、結局「自分たちはあくまでパーツに過ぎない」というリスクが常につきまといます。

神原弥奈子: 「パーツに過ぎない」ということは、ある日突然、それが全部なくなってしまうような転換も起こり得るということでしょうか。

田端信太郎: なくならないにしても、プラットフォーマーから「お宅へのレベニューシェアのマージンを下げますよ」というような厳しい要求が出てきたら、事実上、断れないと思うんです。

また、それぞれの雑誌を売っているというより、メディアブランドを売っているというコンデナスト社の観点からすると、「パッケージングされてone of themになるということ自体どうか」という問いが哲学的な意味であります。

ただし、唯我独尊で孤立していてもしょうがなく、どこで折り合いをつけるかが鍵だと思っているので、「全否定しない」と言ったのです。やると決めきれない出版社にすれば、まずはそういうモデルに参加するという気持ちもわかります。ただ、プラットフォーマーに対して、交渉力を失ってしまうリスクは常に考えておいたほうがいいでしょう。
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該当講座

~iPad登場後の出版社のデジタル戦略を考える~

iPadにいち早く対応したコンデナストの真意と今後の展望

~iPad登場後の出版社のデジタル戦略を考える~
田端信太郎 (LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

田端 信太郎(コンデネット・ジェーピー カントリーマネージャー)
iPadやAmazonのキンドルなど、デジタル化の波に出版業界を取り巻く環境が大きく変化しています。米国でのiPad発表と同時に、iPad対応の雑誌「wired」を発表し、一早く電子雑誌の世界に名乗り上げたコンデナスト社。今回は、そのコンデナスト社のデジタル戦略やiPadへの取組み、日米の出版業界のビジネスモデルの違いなど田端氏にお話頂きます。


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