記事・レポート
iPad登場後の出版社のデジタル戦略とは?
電子雑誌にいち早く対応した、コンデナスト社の真意と今後の展望
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2010年11月24日
(水)
第6章 「マーケティング・リサーチなんてウジウジやるな」
神原弥奈子: 「コンデナスト社は、なぜiPadを選んだのか」という理由について伺います。「キンドルはモノクロだから」ということもあると思いますが、他社も続々参入してくる中で、なぜアップルをパートナーに選んだのですか。
田端信太郎: 必ずしも、アップルと、そこまでエクスクルーシブな関係という認識はありません。ただ、アップルもブランドカンパニーで、ラグジュアリーブランド側も「アップルなら」という安心感があると思います。そういった意味で、コンデナストがターゲットにしているような広告主のセグメントと、極めて相性がいいということはあると思います。
神原弥奈子: アップルは、実はあまりオープンではないという印象があるのですが。
田端信太郎: メディア企業の立場で言えば、一社に流通や課金のチャネルを過度に依存することは、極めて危険だし、その意味では、クロスプラットフォームのほうが明らかにいいんです。でも、アップルの中(AppStore)でやっている限りは課金もしやすいし、大手のブランド企業も安心する、という意味では、目の前の商売がやりやすいという現実もあります。けれど確かに、いろんな面からアップルに規制されたり、振り回されてしまう側面もあります。
アップル以外の会社のタブレットがもっと台数が出れば、より早く改善すると思います。でもマーケットの立ち上げ段階では、アップルのような会社が強くコミットしてくれて、インキュベーターというか、保育器みたいな環境をつくってくれるのは、やはり、すごくやりやすいですね。
神原弥奈子: きょうは会場に出版社の方も大勢いらっしゃいますが、事業をデジタル化していく時、「莫大な投資が必要」「運営コストが心配」いうイメージをお持ちだと思います。その場合の投資ポイントや運営体制についてご意見を伺えますか。
田端信太郎: 明らかに言えるのは“最初から戦艦大和をつくらない”ということです。現在はブログやツイッターなど気軽に試せるものがいっぱいあります。デジタルメディアのいいところは、お金をかけずに失敗ができること。やる気と時間さえあればトライ&エラーができる余地は無限に広がっているんです。現在のデジタル・マーケティングは、例えて言えば、頭脳スポーツ、アイデアのスポーツみたいなところもあります。
さらにいうと、デジタルメディアの新規立ち上げを考えると、最近では、お金が決定的なボトルネックに実はならないんです。適切な人が、適切なタイミングと文脈で行えば、30万円の資本でも5年後グーグルを超える会社ができるかもしれないんです。逆に100兆円かけても、ダメな人間がやってれば、ダメです。
『R25』を立ち上げるとき、マーケティング・リサーチに1年くらいかけて、たくさんインタビューや定量調査をやりました。その後ライブドアに入ってからも、新規コンテンツの立ち上げで、同じようにマーケティング・リサーチに時間をかけていたんです。そうしたら、「マーケティング・リサーチなんてウジウジやるな。さっさとやればいいんだ。やってだめなら直せばいいんだから」と言われて、「マーケティング・リサーチってウジウジしたことだったんだ」と気がついたんです(笑)。
例えば「モテるためにはどうすればいいか」ってどれだけ定量調査したところで、モテるかどうかわからない。でもネット上ならナンパするコストはかからない。「だったら片っ端から声をかけりゃいいじゃん」ってことです(笑)。
さっさと始めて、さっさと失敗する。失敗しても、めげずにトライ&エラーを続ける。「1日でも早く先行して得られるメリットのほうが、ビジネスとして意味がある」というライブドアでの教えは、ネットビジネスの本質をすごく突いていたと思います。
田端信太郎: 必ずしも、アップルと、そこまでエクスクルーシブな関係という認識はありません。ただ、アップルもブランドカンパニーで、ラグジュアリーブランド側も「アップルなら」という安心感があると思います。そういった意味で、コンデナストがターゲットにしているような広告主のセグメントと、極めて相性がいいということはあると思います。
神原弥奈子: アップルは、実はあまりオープンではないという印象があるのですが。
田端信太郎: メディア企業の立場で言えば、一社に流通や課金のチャネルを過度に依存することは、極めて危険だし、その意味では、クロスプラットフォームのほうが明らかにいいんです。でも、アップルの中(AppStore)でやっている限りは課金もしやすいし、大手のブランド企業も安心する、という意味では、目の前の商売がやりやすいという現実もあります。けれど確かに、いろんな面からアップルに規制されたり、振り回されてしまう側面もあります。
アップル以外の会社のタブレットがもっと台数が出れば、より早く改善すると思います。でもマーケットの立ち上げ段階では、アップルのような会社が強くコミットしてくれて、インキュベーターというか、保育器みたいな環境をつくってくれるのは、やはり、すごくやりやすいですね。
神原弥奈子: きょうは会場に出版社の方も大勢いらっしゃいますが、事業をデジタル化していく時、「莫大な投資が必要」「運営コストが心配」いうイメージをお持ちだと思います。その場合の投資ポイントや運営体制についてご意見を伺えますか。
田端信太郎: 明らかに言えるのは“最初から戦艦大和をつくらない”ということです。現在はブログやツイッターなど気軽に試せるものがいっぱいあります。デジタルメディアのいいところは、お金をかけずに失敗ができること。やる気と時間さえあればトライ&エラーができる余地は無限に広がっているんです。現在のデジタル・マーケティングは、例えて言えば、頭脳スポーツ、アイデアのスポーツみたいなところもあります。
さらにいうと、デジタルメディアの新規立ち上げを考えると、最近では、お金が決定的なボトルネックに実はならないんです。適切な人が、適切なタイミングと文脈で行えば、30万円の資本でも5年後グーグルを超える会社ができるかもしれないんです。逆に100兆円かけても、ダメな人間がやってれば、ダメです。
『R25』を立ち上げるとき、マーケティング・リサーチに1年くらいかけて、たくさんインタビューや定量調査をやりました。その後ライブドアに入ってからも、新規コンテンツの立ち上げで、同じようにマーケティング・リサーチに時間をかけていたんです。そうしたら、「マーケティング・リサーチなんてウジウジやるな。さっさとやればいいんだ。やってだめなら直せばいいんだから」と言われて、「マーケティング・リサーチってウジウジしたことだったんだ」と気がついたんです(笑)。
例えば「モテるためにはどうすればいいか」ってどれだけ定量調査したところで、モテるかどうかわからない。でもネット上ならナンパするコストはかからない。「だったら片っ端から声をかけりゃいいじゃん」ってことです(笑)。
さっさと始めて、さっさと失敗する。失敗しても、めげずにトライ&エラーを続ける。「1日でも早く先行して得られるメリットのほうが、ビジネスとして意味がある」というライブドアでの教えは、ネットビジネスの本質をすごく突いていたと思います。
iPad登場後の出版社のデジタル戦略とは? インデックス
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第1章 ブログもウェブサイトもツイッターも、みんなPublish
2010年11月16日 (火)
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第2章 デジタルメディアは人材をより早く成長させる
2010年11月17日 (水)
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第3章 メディアビジネスは異種格闘技の時代へ
2010年11月18日 (木)
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第4章 雑誌コンテンツのバラ売りは、吉と出るか凶と出るか
2010年11月19日 (金)
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第5章 ラグジュアリーブランドがデジタルメディアに期待するもの
2010年11月22日 (月)
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第6章 「マーケティング・リサーチなんてウジウジやるな」
2010年11月24日 (水)
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第7章 他社のプラットフォームに乗るメリットとデメリット
2010年11月25日 (木)
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第8章 同じ電子書籍でも、マーケットやメカニズムは多種多様
2010年11月26日 (金)
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第9章 「オウンドメディア万歳」の風潮に潜んでいるリスク
2010年11月29日 (月)
該当講座
~iPad登場後の出版社のデジタル戦略を考える~
iPadにいち早く対応したコンデナストの真意と今後の展望
田端 信太郎(コンデネット・ジェーピー カントリーマネージャー)
iPadやAmazonのキンドルなど、デジタル化の波に出版業界を取り巻く環境が大きく変化しています。米国でのiPad発表と同時に、iPad対応の雑誌「wired」を発表し、一早く電子雑誌の世界に名乗り上げたコンデナスト社。今回は、そのコンデナスト社のデジタル戦略やiPadへの取組み、日米の出版業界のビジネスモデルの違いなど田端氏にお話頂きます。
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