記事・レポート

鎌田浩毅の『一生モノの勉強法』実践講座

落ちこぼれ学生から、世界トップレベルの研究者へ

更新日 : 2010年04月14日 (水)

第9章 心の京都、心のファッション(2)

鎌田浩毅氏

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鎌田浩毅: 最後にもう一つ、東京に来て思うのですが、男の人は皆同じ格好ですね。グレーの背広、紺の背広でネクタイをしたり、しなかったり。イタリアへ行ってみてください。イタリア男は違います。青や赤、黄色などすごく格好いいし、個性があります。ビジネスマンはネクタイをしていますが、実に鮮やかなデザインのもの。私は東京の男の人に格好良くなってほしいと思います。それから女性。パリやミラノ、ニューヨークで歩いている女性に比べると、やはり日本の女性の服装は非常に画一的だと思うのです。何かが流行るとダーッと皆が一緒になりますしね。日本人は没個性になりやすいので、着る物ぐらい自分で決めようではないかと。自分で好きな服を思いきって着てみませんか。その挙げ句の果てが今の私のスタイルなのですが、これを少しでも定着させたいのですね。

「心の京都」というか「心のファッション」というか、『人は見かけが9割』という本もベストセラーになりましたが、見かけというのは本当はすごく大事。日本では、見かけよりも質実剛健と言って、中身だけが大事だとずっと教育されているでしょう。実はこれはとんでもないのです。海外へ行ったら全然違いますよ。最初から中身なんか見えません。見えるのはまず外見です。外見がしっかりしていると分かってしばらく経ってから、中身に来るのです。だからこそファッションはすごく大事で、11兆円企業も生まれるわけです。日本人は非常に奥ゆかしいけれども、ここで殻を破れない。皆さん真面目なのですね。そういう方から変わってほしいのです。自分の着ているものをちょっとでもいいから変えてほしいのです。

授業でも同じことを言いますが、私は今53歳で学生の親と同じぐらいの年齢なのですね。学生が「うちの親父を変えたいのだけど、とても無理。どうしたらいいですか?」と聞くので、私は「お父さんに素敵なネクタイをプレゼントしてください」と答えました。ネクタイから始めれば良いのです。派手なネクタイができなければ、カフスボタンでもいいです。そういう小さなところからおしゃれをする。ブランド物で、ちょっとおしゃれで差し色に赤が入っているものなど。そうするとお父さんも抵抗なく変わってきます。「あなたのお父さんは、そのうち私みたいになりますよ」と学生には言うのですが(笑)。

私が次に東京へ来たときには、「東京って少しミラノに近くなってきたな」と思えるようになっていてほしいですね。それが日本の本当の意味での国際化だと思います。「心に京都を」と同じような意味で、「生活にファッションを」と言いたい。私の一生モノの知的な生き方の一つの達成だと思っています。(終)

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鎌田浩毅 (京都大学大学院 人間・環境学研究科教授)

鎌田 浩毅(京都大学教授)
京都大学の人気教授が数多くの試行錯誤の経験から生み出した、「大人のための実践的勉学のテクニック」を解説します。一生役立つ勉強法を学び、自分を成長させたい方のご参加をお待ちしております。


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