記事・レポート

SFアポカリプス

アポカリプスは黙示録

更新日 : 2009年03月23日 (月)

第7章:環境破壊を防ぐ"エコ"意識や行動は、CO2削減だけではない

『不都合な真実』

澁川雅俊: 地球上に人類よりもずうっと以前(推定で30~35臆年前)にさまざまな生命が誕生し、それらが発生・分化・絶滅を繰り返しながら、そのときどきの環境に適合して生き残っていて、いまも人類より圧倒的多数を誇って生存しています。『深海のYrr』は、その事実に気づかず、気づいていたとしても目をふさぎ、人類こそが地球環境における共生サイクルの頂点にいるという人間の思い上がりをモチーフとしています。

『海洋生物学入門』(村山司編、東海大学海洋学部海洋生物学科著、2008年東海大学出版会刊)などはそのことを知らせてくれる海と海の生物に関する科学読み物ですが、そのことに気づいて人間が地球環境の調和を図ることができたときに、おそらく本当の人類滅亡の危機を回避する方向に進むことができるのでしょう。

このSFは、最新の科学情報を駆使して海洋環境の破壊に警鐘を鳴らしていますが、環境破壊を防ぐ"エコ"意識や行動は、『不都合な真実』他が訴えているCO2削減だけではないようです。海洋環境のバランスを崩すさまざまな人間行動の結果を視野に入れる必要があります。

『深海のYrr』は私たちに"エコ"の視野を広げてくれます。

『フューチャー・イズ・ワイルド』
『アフターマン—人類滅亡後の地球を支配する動物世界』

●それでも人類は滅亡する

ところで、人類はいずれは滅亡するというのがいまの純粋な科学的認識のようです。人類滅亡後(500万年から2億年後と予測されている)の生態系を予想したTV番組『フューチャー・イズ・ワイルド』は、新たな環境に適応すべく、動物たちは想像を絶した姿に進化した姿を第一線で活躍する科学者たちの検証を交えながら具体的に組み立てています。

その姿は『アフターマン—人類滅亡後の地球を支配する動物世界』(ドゥーガル・ディクソン著、今泉吉典監訳、2004年ダイヤモンド社刊)や『フューチャー・イズ・ワイルド完全図解-驚異の進化を遂げた2億年後の未来生物たち』(クレアー・パイ著、疋田努監修、土屋晶子訳、2005年ダイヤモンド社刊)で明らかにされています。

『空想歴史読本—地球誕生から人類滅亡まで』
また『空想歴史読本—地球誕生から人類滅亡まで』(円道祥之著、1999年メディアファクトリー刊)では、3713年には人類は最後の一人になってしまうなどと空想しています。あと1700年ほどです。怖いですねぇ。

読み終えて私は、平家物語の冒頭の一文を思い出してしまいました。(終)

※このレポートは、2008年10月9日に六本木ライブラリーで開催したカフェブレイク・ブックトーク「SFアポカリプス」を元に作成したものです。

※書籍情報は、株式会社紀伊国屋書店の書籍データからの転載です。

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