記事・レポート

SFアポカリプス

アポカリプスは黙示録

更新日 : 2008年12月10日 (水)

第2章:ノストラダムス現象への展開

『ハルマゲドンか?2027年』

澁川雅俊: ヨハネの黙示録に書かれている「終末」とか「最終戦争」(「ハルマゲドン」は、この戦争が行われた場所)という概念は後にそれら言葉が一人歩きして、一般には、この世の終わり、人類の滅亡、カタストロフィ(「悲劇的な結末」)などの意味に使われるようになります。その意味で最も有名なのは、16世紀半ばに「1999年7の月に人類が滅亡する」としたノストラダムスの予言でしょう。

ノストラダムスは、16世紀フランスの医師で、占星術をよくした人で、彼は占星術により1555年に『予言集』を書きました。この本はとても長い詩編で、洪水、疫病、飢饉、戦争などの異変がたたみかけるように語られ、世界終末を予言しています。それが1973年、五島勉によって『ノストラダムスの大予言』が面白おかしく書かれ、祥伝社で出されるに至り、わが国での人類の危機存亡をモチーフにした本のブームとなったようです。

『天変地異の黙示録』


●人類滅亡への警告:汝、滅亡を欲するか、それとも再生をか

いまでは「最終戦争」や「ハルマゲドン」や「ノストラダムス」をキーワードにしたコミックやカルトものに本が多いのですが、現代の黙示録は、『不都合な真実』(アル・ゴア著、枝廣淳子訳、2007年ランダムハウス講談社刊)、『ハルマゲドンか?2027年』(西野迷洋著、2007年文芸社刊)、『天変地異の黙示録』(小松左京著、2006年日本文芸社刊)などに引き継がれています。

『不都合な真実』や『ハルマゲドンか?2027年』は地球環境、とりわけCO2による温暖化の問題をとりあげ、このままだと20年後の2027年には地球が滅亡するなどと警告しています。

『天変地異の黙示録』は、異常気象はもとより高度文明を享受しながらも深刻な問題、宗教対立・国際紛争・テロ・金融危機などなどを抱えている人類がこれからどう生きていくのかという問題を文明論的に考察しています。
(その3に続く、全7回)

※このレポートは、2008年10月9日に六本木ライブラリーで開催したカフェブレイク・ブックトーク「SFアポカリプス」を元に作成したものです。

※書籍情報は、株式会社紀伊国屋書店の書籍データからの転載です。

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