記事・レポート
日本コカ・コーラが、ブランド価値向上にむけて展開するインタラクティブマーケティング最新事例
更新日 : 2009年03月12日
(木)
第8章 デジタルへのシフトによる成功と、今後の課題
会場からの質問: 「若者離れという課題に対してインターラクティブを強化した」というお話ですが、それと相関して売上の方の伸びと、若者離れが実際どうなったのかというあたりを聞かせてください。
江端浩人: 昨年は、『コカ・コーラ ゼロ』という新製品の導入効果も大きいのですが、コカ・コーラブランド全体で、対前年10%以上売上を伸ばすことができました。
これまで、全く新しいコミュニケーションはリスクがあると見られていましたが、今年に入っても売上は伸び続けています。『コカ・コーラ』に関しては若年層にターゲットをシフトして、コミュニケーションをそこに集中したことで成功したと考えてよいと思います。
売上が伸びている製品はページビューも多いという傾向があります。世界の中でも日本の『コカ・コーラ』の伸びは大きかったので、「the Coke Side of Life」のキャンペーンとデジタルへのシフトは世界的に評価されています。
会場からの質問: モバゲーさんとのタイアップでは、マスでリーチしたユーザーが絞られ、どちらかというとリーチよりもコンテンツ重視のキャンペーンになるのではないかと思います。それでも、なおCGMメディアとしてブログではなくて、モバゲーさんを選んだ理由というのは、どういったところにあるのですか?
江端浩人: 最終的には、ROIに戻ってしまうのですが、一番効率がいいだろうと思えたというのが1つです。
モバゲーさんには、例えば16歳男子が当時40%ぐらい加入していました。これはものすごいメディアで、高校生だけを見ると6割近い形でリーチできるのです。1つのメディアで短期間にそれだけのターゲットに浸透できるものは、ほかに見当たりませんでした。
また、よく見ていくと分かるのですが、ブログやソーシャルネットワークは構造がかなり分散されています。モバゲーさんのトップページにはすごくパワーがあって、ユーザーは必ずそこを通っていくので、「the Coke Side of Life」を一気に浸透させるメディアとしては最適だという判断をしました。
一番重要視したのは、「モバゲータウンの中に完全にコカ・コーラのセクションをつくっていただく」ということでしたから、単なるメディアバイイングとしてではなくて、中は完全にテーマパークになっているような構造をつくるなど、技術的に連携できたことも大きいです。
会場からの質問: メーカーポジション的な御社が、これほど最終ユーザーと直接コミュニケーションできるというのはすごいなと思ったのですが、「インターラクティブ」という観点でいいますと、まだややプッシュ型のパワーマーケティングに近いかなと思っています。今後、ユーザーの声の活用やマーケティングプロセスへの組み込みということはお考えになっているのでしょうか?
江端浩人: 仕組みを取り入れて活用することをこれから社内的に普及していかなければいけないと思っています。
2つ、難しいところがあるのです。「ユーザーの声を聞いて受けつけた。でも何も変わらなかったら、逆にユーザーを裏切ることになるのではないか。本当にやるのだったら、それなりに体制を敷いてやらなければいけないのではないか」という意見があり、企業としての責任をちゃんとまっとうできるのかというのが1つ。
もう1つは、「コントロールできないことが自社のサイトに載るというのはどうなのか」という懸念です。コミュニティはきちんと運営していればそんなに変なことは書かれないということもありますし、アメリカなどでは「話題の総量が多い方がコミュニケーションとしては成功している」という考え方がありますが、まだそこに至っていません。
このような議論があるので、成功事例を1つずつ積み上げて話し合いながら進めていっているというのが実態です。
神原弥奈子: 時代や消費者の変化をいち早く察知して、常に先取りで新しいことにチャレンジしている、その結果が長年にわたるブランドの維持につながっているのかなと感じました。本日は江端さん、どうもありがとうございました。(終)
江端浩人: 昨年は、『コカ・コーラ ゼロ』という新製品の導入効果も大きいのですが、コカ・コーラブランド全体で、対前年10%以上売上を伸ばすことができました。
これまで、全く新しいコミュニケーションはリスクがあると見られていましたが、今年に入っても売上は伸び続けています。『コカ・コーラ』に関しては若年層にターゲットをシフトして、コミュニケーションをそこに集中したことで成功したと考えてよいと思います。
売上が伸びている製品はページビューも多いという傾向があります。世界の中でも日本の『コカ・コーラ』の伸びは大きかったので、「the Coke Side of Life」のキャンペーンとデジタルへのシフトは世界的に評価されています。
会場からの質問: モバゲーさんとのタイアップでは、マスでリーチしたユーザーが絞られ、どちらかというとリーチよりもコンテンツ重視のキャンペーンになるのではないかと思います。それでも、なおCGMメディアとしてブログではなくて、モバゲーさんを選んだ理由というのは、どういったところにあるのですか?
江端浩人: 最終的には、ROIに戻ってしまうのですが、一番効率がいいだろうと思えたというのが1つです。
モバゲーさんには、例えば16歳男子が当時40%ぐらい加入していました。これはものすごいメディアで、高校生だけを見ると6割近い形でリーチできるのです。1つのメディアで短期間にそれだけのターゲットに浸透できるものは、ほかに見当たりませんでした。
また、よく見ていくと分かるのですが、ブログやソーシャルネットワークは構造がかなり分散されています。モバゲーさんのトップページにはすごくパワーがあって、ユーザーは必ずそこを通っていくので、「the Coke Side of Life」を一気に浸透させるメディアとしては最適だという判断をしました。
一番重要視したのは、「モバゲータウンの中に完全にコカ・コーラのセクションをつくっていただく」ということでしたから、単なるメディアバイイングとしてではなくて、中は完全にテーマパークになっているような構造をつくるなど、技術的に連携できたことも大きいです。
会場からの質問: メーカーポジション的な御社が、これほど最終ユーザーと直接コミュニケーションできるというのはすごいなと思ったのですが、「インターラクティブ」という観点でいいますと、まだややプッシュ型のパワーマーケティングに近いかなと思っています。今後、ユーザーの声の活用やマーケティングプロセスへの組み込みということはお考えになっているのでしょうか?
江端浩人: 仕組みを取り入れて活用することをこれから社内的に普及していかなければいけないと思っています。
2つ、難しいところがあるのです。「ユーザーの声を聞いて受けつけた。でも何も変わらなかったら、逆にユーザーを裏切ることになるのではないか。本当にやるのだったら、それなりに体制を敷いてやらなければいけないのではないか」という意見があり、企業としての責任をちゃんとまっとうできるのかというのが1つ。
もう1つは、「コントロールできないことが自社のサイトに載るというのはどうなのか」という懸念です。コミュニティはきちんと運営していればそんなに変なことは書かれないということもありますし、アメリカなどでは「話題の総量が多い方がコミュニケーションとしては成功している」という考え方がありますが、まだそこに至っていません。
このような議論があるので、成功事例を1つずつ積み上げて話し合いながら進めていっているというのが実態です。
神原弥奈子: 時代や消費者の変化をいち早く察知して、常に先取りで新しいことにチャレンジしている、その結果が長年にわたるブランドの維持につながっているのかなと感じました。本日は江端さん、どうもありがとうございました。(終)
※この原稿は、2008年7月24日にアカデミーヒルズで開催したオンラインビジネスセミナー「日本コカ・コーラが、ブランド価値向上にむけて展開するインタラクティブマーケティング最新事例」を元に作成したものです。
日本コカ・コーラが、ブランド価値向上にむけて展開するインタラクティブマーケティング最新事例 インデックス
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第1章 若年層の獲得に注力し、インターラクティブメディアにシフトした
2008年11月19日 (水)
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第2章 デジタルプロモーションの本格展開で、日本のPVが7倍に
2008年12月09日 (火)
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第3章 モバゲータウンとのタイアップが、若年層の獲得に大きく貢献
2008年12月02日 (火)
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第4章 メディア戦略は、ターゲットの特性に合わせて展開
2009年01月14日 (水)
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第5章 どんなにいいコンテンツでも、見てもらえなければ意味がない
2009年02月03日 (火)
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第6章 オンライン展開のメリットと運営コスト
2009年02月24日 (火)
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第7章 インターネットの歴史は、タイアップの歴史
2009年03月05日 (木)
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第8章 デジタルへのシフトによる成功と、今後の課題
2009年03月12日 (木)
該当講座
ブランド価値を高めるために、あらゆるコミュニケーション手法を展開してきた日本コカ・コーラ。2003年頃からは、世界的に導入を進めているIMC(Integrated Marketing Communications)という新たなコミュニケーション活動におけるプランニングのフレームワークのもと、オンライ....
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