記事・レポート
日本コカ・コーラが、ブランド価値向上にむけて展開するインタラクティブマーケティング最新事例
更新日 : 2008年11月19日
(水)
第1章 若年層の獲得に注力し、インターラクティブメディアにシフトした
神原弥奈子: 今回は、『日本コカ・コーラ』のインターラクティブな、特にクロスメディア戦略の実際のお話を伺います。
ご存知のように、『コカ・コーラ』といえば世界最強のブランドです。皆さんには、マスメディアを中心としたマーケティング活動で成長してきたブランドとしてお馴染みと思いますが、ここ最近では、いち早くインターネットやモバイルを積極的に活用した新しいコミュニケーションに着手しています。
江端さんはインターネット黎明期の90年代、起業家として有名だった方ですが、そういった経験をお持ちの方が、現在『コカ・コーラ』という巨大なブランドの中で、インターラクティブなマーケティングを統括していることも非常に興味深いと思っております。
江端浩人: 簡単に自己紹介をさせていただくと、最初は総合商社で、大型航空機や航空機部品などを扱う部門におりました。1992年から94年の間にスタンフォード大学にて留学してMBAをとった頃、インターネットに出会いました。帰国してから1996年にインターネットを使って写真プリントサービスを提供するベンチャー、『デジプリ』という会社をつくりました。
『コカ・コーラ』は最強のブランドとご紹介いただいた通り、インターブランド社が毎年行っている調査でずっと1位をキープしていて、ブランド価値は 653億ドル。また、コカ・コーラ社が提供する飲料は、世界の200カ国以上で1日15億杯飲まれています。(※編注:2008年7月現在)
コカ・コーラというブランドには、「いつでも、どこでも、誰にでも」、「飲みたくなったときに手の届くところにある」という考え方がありますが、「いつも持ち歩いていて、寝ていてもすぐ近くにある」という携帯電話とは共通する部分があり、マーケティング的にとても相性がいいと思います。
『日本コカ・コーラ株式会社』は、アメリカの『ザ コカ・コーラカンパニー』の100%子会社ですが、ブランド数とフレーバー数、パッケージのサイズの種類は世界で一番多く、各社の中でも特異な位置にあります。また日本においては、全国でコカ・コーラの自動販売機が約100万台あり、これが独自の流通ルートをつくっていくのに大きな役割を果たしていて、コカ・コーラシステム(日本コカ・コーラと全国のボトリング会社などで構成される企業体)が日本でトップシェアを継続できている柱の1つにもなっています。
2005年に私が入社した頃は、日本だけでなく、世界中でインターラクティブマーケティングの部署がどんどんできてきました。
アメリカで行った調査によると、以前は一番視聴率の高いテレビ番組のレーティングが60%であったのに対し2006年では16%程度とのことです。また、広告も増え、何が流されたか視聴者が覚えていないというジレンマもあります。「この番組でどのコマーシャルをやったか覚えていますか?」というアンケートに、「覚えています」と回答した人は1965年には3分の1いたのに対して、2000年には9%という状況でした。
この傾向は特に若者に顕著で、世界的にTV番組の視聴率はどんどん下がっていて、テレビだけでは若者にリーチできなくなってきました。そこで若者とコネクションするためにデジタルテクノロジーを使っていくという方針で、世界中にインターラクティブマーケティングの部署ができていったのです。
ご存知のように、『コカ・コーラ』といえば世界最強のブランドです。皆さんには、マスメディアを中心としたマーケティング活動で成長してきたブランドとしてお馴染みと思いますが、ここ最近では、いち早くインターネットやモバイルを積極的に活用した新しいコミュニケーションに着手しています。
江端さんはインターネット黎明期の90年代、起業家として有名だった方ですが、そういった経験をお持ちの方が、現在『コカ・コーラ』という巨大なブランドの中で、インターラクティブなマーケティングを統括していることも非常に興味深いと思っております。
江端浩人: 簡単に自己紹介をさせていただくと、最初は総合商社で、大型航空機や航空機部品などを扱う部門におりました。1992年から94年の間にスタンフォード大学にて留学してMBAをとった頃、インターネットに出会いました。帰国してから1996年にインターネットを使って写真プリントサービスを提供するベンチャー、『デジプリ』という会社をつくりました。
『コカ・コーラ』は最強のブランドとご紹介いただいた通り、インターブランド社が毎年行っている調査でずっと1位をキープしていて、ブランド価値は 653億ドル。また、コカ・コーラ社が提供する飲料は、世界の200カ国以上で1日15億杯飲まれています。(※編注:2008年7月現在)
コカ・コーラというブランドには、「いつでも、どこでも、誰にでも」、「飲みたくなったときに手の届くところにある」という考え方がありますが、「いつも持ち歩いていて、寝ていてもすぐ近くにある」という携帯電話とは共通する部分があり、マーケティング的にとても相性がいいと思います。
『日本コカ・コーラ株式会社』は、アメリカの『ザ コカ・コーラカンパニー』の100%子会社ですが、ブランド数とフレーバー数、パッケージのサイズの種類は世界で一番多く、各社の中でも特異な位置にあります。また日本においては、全国でコカ・コーラの自動販売機が約100万台あり、これが独自の流通ルートをつくっていくのに大きな役割を果たしていて、コカ・コーラシステム(日本コカ・コーラと全国のボトリング会社などで構成される企業体)が日本でトップシェアを継続できている柱の1つにもなっています。
2005年に私が入社した頃は、日本だけでなく、世界中でインターラクティブマーケティングの部署がどんどんできてきました。
アメリカで行った調査によると、以前は一番視聴率の高いテレビ番組のレーティングが60%であったのに対し2006年では16%程度とのことです。また、広告も増え、何が流されたか視聴者が覚えていないというジレンマもあります。「この番組でどのコマーシャルをやったか覚えていますか?」というアンケートに、「覚えています」と回答した人は1965年には3分の1いたのに対して、2000年には9%という状況でした。
この傾向は特に若者に顕著で、世界的にTV番組の視聴率はどんどん下がっていて、テレビだけでは若者にリーチできなくなってきました。そこで若者とコネクションするためにデジタルテクノロジーを使っていくという方針で、世界中にインターラクティブマーケティングの部署ができていったのです。
日本コカ・コーラが、ブランド価値向上にむけて展開するインタラクティブマーケティング最新事例 インデックス
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第1章 若年層の獲得に注力し、インターラクティブメディアにシフトした
2008年11月19日 (水)
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第2章 デジタルプロモーションの本格展開で、日本のPVが7倍に
2008年12月09日 (火)
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第3章 モバゲータウンとのタイアップが、若年層の獲得に大きく貢献
2008年12月02日 (火)
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第4章 メディア戦略は、ターゲットの特性に合わせて展開
2009年01月14日 (水)
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第5章 どんなにいいコンテンツでも、見てもらえなければ意味がない
2009年02月03日 (火)
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第6章 オンライン展開のメリットと運営コスト
2009年02月24日 (火)
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第7章 インターネットの歴史は、タイアップの歴史
2009年03月05日 (木)
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第8章 デジタルへのシフトによる成功と、今後の課題
2009年03月12日 (木)
該当講座
ブランド価値を高めるために、あらゆるコミュニケーション手法を展開してきた日本コカ・コーラ。2003年頃からは、世界的に導入を進めているIMC(Integrated Marketing Communications)という新たなコミュニケーション活動におけるプランニングのフレームワークのもと、オンライ....
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