記事・レポート
遠藤功のプレミアム戦略
BIZセミナー経営戦略
更新日 : 2008年03月21日
(金)
第2章 ワクワク、ドキドキするのがプレミアム
遠藤功: では、「プレミアム」というのは何なのか。いろいろな定義がありますが、そもそもプラス・アルファの価値のことをプレミアムと呼ぶんですね。私が一番プレミアムを分かりやすく伝える言葉として感じているのは、「ワクワク、ドキドキするか」ということです。より本物だったり、極上だったり、レベルの違う別世界の一番いい商品というのがプレミアムだと。当然、それはあこがれにもつながっていくわけです。ワクワク、ドキドキしてしまったらお客さんは対価を払ってしまうんですよ。その部分が、エモーショナルな「情緒的価値」です。
皆さん、どういう買い物をしたときにワクワク、ドキドキしました? 私が最初にワクワク、ドキドキしたのは、やっぱり初めて外車を買うときでした。BMWのディーラーに行ったときには足が震えましたよ。そして契約書にサインするときは、いいのかなあと(笑)。そういう高揚感が、日本の商品を買いにいくときにあるのかどうか。残念ながら、多くの日本の会社には、情緒的な価値を提供するノウハウがない。そうすると幾らいいものを作っても、それは所詮プレミアムにはならない。じゃあ、ワクワク、ドキドキってどうやったら生まれてくるんだろうということをやっぱり解明していかなければいけないわけです。
ただし、機能的な価値が高くないのに、情緒的な価値を補おうと思っても無理なんですね。まずは究極の機能的価値、自分たちらしさというものをどこまで出せるか。それがあってこそ情緒的価値も生まれるのだと思います。例えば、お客さんは最初に自動車としての本質的な価値を求めている。そこが不十分だと、幾らどんな努力をしても反応しないのです。
つまり、私が言っているプレミアムとは、一つはどんな製品であれ、どんなサービスであれ、まず機能的価値があります。「ファンクショナル・バリュー」ですね。当然プレミアムというのは、この機能的価値を極限まで追及した商品です。本当においしいとか、走りがいいとか、着心地がいいとか。圧倒的な機能的価値というものを究めるというのは、非常に重要な要素になるわけです。
ただ、これを詰めれば先ほど言った「ワクワク、ドキドキ感」って生まれるのかというと、残念ながらそうではない。やはり、もう一つ縦軸が重要です。これが情緒的価値、「エモーショナル・バリュー」ということですね。何だかわけが分からないけど、ワクワクする……お客さんは、その製品の持っている雰囲気とか空気で何百万円も払ってしまったりするわけです。
●圧倒的に儲かる5%
商品によって異なりますが、プレミアムというのは市場全体の5%程度だと言われています。5%だから大したことないと思いますか? 5%と言っても、それは台数や本数ベースです。単価で比較すると、絶対額は5%ではない。さらに、利益ベースで見たら、圧倒的に儲かる 5%なのです。
また、プレミアムには2種類あるということも、本の中に書きました。それは商品の単価で決まります。商品の単価が比較的低いもの、中程度のもの、もしくは高いもの。そこには商品の「格」があります。例えば、ビールだとかアイスクリームだとかシャンプーだとか、これは日本の会社が一生懸命やっています。中にはプレミアムという名前だけ付けて、インフレに乗じて値段を上げている会社もあります。
これも価格差を見ると、例えばサントリーのザ・プレミアム・モルツをコンビニで買うと、平均250円。発泡酒や第3のビールをまとめ買いすると一本100円ぐらいですから、だいたい2.5倍ですよね。でも、この「ちょっとプレミアム」というのは、比較しても一般商品よりも2倍~3倍程度です。もちろん、この分野はこれからまだ伸びていくでしょう。比較的気軽に楽しめる「ちょっとプレミアム」というわけですね。この単価の低いところというのは、せいぜいやっぱり2倍とか3倍の価格なんですね。たぶんこれを10倍にしたら、さすがにお客さんは買わないでしょう。
一方で、比較的単価が高いところ。例えば、自動車とか宝飾品とか時計とか、これはもう完全に欧米ブランドの牙城になっています。
一番おいしい部分で、これから海外でも伸びるというマーケットに対する取組みを、もっともっと加速させなければいけない。この単価の高いところになったら、何十倍という価格差が付くわけです。やはり嗜好品というのは、きりがないんですね。幾らでも払うわと。しかも、高くしてもお客さんは喜んで払っていると。
皆さん、どういう買い物をしたときにワクワク、ドキドキしました? 私が最初にワクワク、ドキドキしたのは、やっぱり初めて外車を買うときでした。BMWのディーラーに行ったときには足が震えましたよ。そして契約書にサインするときは、いいのかなあと(笑)。そういう高揚感が、日本の商品を買いにいくときにあるのかどうか。残念ながら、多くの日本の会社には、情緒的な価値を提供するノウハウがない。そうすると幾らいいものを作っても、それは所詮プレミアムにはならない。じゃあ、ワクワク、ドキドキってどうやったら生まれてくるんだろうということをやっぱり解明していかなければいけないわけです。
ただし、機能的な価値が高くないのに、情緒的な価値を補おうと思っても無理なんですね。まずは究極の機能的価値、自分たちらしさというものをどこまで出せるか。それがあってこそ情緒的価値も生まれるのだと思います。例えば、お客さんは最初に自動車としての本質的な価値を求めている。そこが不十分だと、幾らどんな努力をしても反応しないのです。
つまり、私が言っているプレミアムとは、一つはどんな製品であれ、どんなサービスであれ、まず機能的価値があります。「ファンクショナル・バリュー」ですね。当然プレミアムというのは、この機能的価値を極限まで追及した商品です。本当においしいとか、走りがいいとか、着心地がいいとか。圧倒的な機能的価値というものを究めるというのは、非常に重要な要素になるわけです。
ただ、これを詰めれば先ほど言った「ワクワク、ドキドキ感」って生まれるのかというと、残念ながらそうではない。やはり、もう一つ縦軸が重要です。これが情緒的価値、「エモーショナル・バリュー」ということですね。何だかわけが分からないけど、ワクワクする……お客さんは、その製品の持っている雰囲気とか空気で何百万円も払ってしまったりするわけです。
●圧倒的に儲かる5%
商品によって異なりますが、プレミアムというのは市場全体の5%程度だと言われています。5%だから大したことないと思いますか? 5%と言っても、それは台数や本数ベースです。単価で比較すると、絶対額は5%ではない。さらに、利益ベースで見たら、圧倒的に儲かる 5%なのです。
また、プレミアムには2種類あるということも、本の中に書きました。それは商品の単価で決まります。商品の単価が比較的低いもの、中程度のもの、もしくは高いもの。そこには商品の「格」があります。例えば、ビールだとかアイスクリームだとかシャンプーだとか、これは日本の会社が一生懸命やっています。中にはプレミアムという名前だけ付けて、インフレに乗じて値段を上げている会社もあります。
これも価格差を見ると、例えばサントリーのザ・プレミアム・モルツをコンビニで買うと、平均250円。発泡酒や第3のビールをまとめ買いすると一本100円ぐらいですから、だいたい2.5倍ですよね。でも、この「ちょっとプレミアム」というのは、比較しても一般商品よりも2倍~3倍程度です。もちろん、この分野はこれからまだ伸びていくでしょう。比較的気軽に楽しめる「ちょっとプレミアム」というわけですね。この単価の低いところというのは、せいぜいやっぱり2倍とか3倍の価格なんですね。たぶんこれを10倍にしたら、さすがにお客さんは買わないでしょう。
一方で、比較的単価が高いところ。例えば、自動車とか宝飾品とか時計とか、これはもう完全に欧米ブランドの牙城になっています。
一番おいしい部分で、これから海外でも伸びるというマーケットに対する取組みを、もっともっと加速させなければいけない。この単価の高いところになったら、何十倍という価格差が付くわけです。やはり嗜好品というのは、きりがないんですね。幾らでも払うわと。しかも、高くしてもお客さんは喜んで払っていると。
遠藤功のプレミアム戦略 インデックス
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第1章 キャッチ・コピーではなく戦略としてのプレミアム
2008年03月19日 (水)
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第2章 ワクワク、ドキドキするのがプレミアム
2008年03月21日 (金)
-
第3章 マーケティングではなく、ファンにストーリーを語らせる
2008年03月24日 (月)
-
第4章 飢餓と枯渇を醸成していくことがエモーションを刺激する
2008年03月26日 (水)
-
第5章 世界に打って出ることによってプレミアムがビジネスになる
2008年03月28日 (金)
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