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ハーバード大教授が見た松坂メジャー革命:日米文化とビジネス戦略

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更新日 : 2008年05月26日 (月)

第8章 なぜ、ジャパンバッシングがボストンで起きたのか

アンドリュー・ゴードン

アンドリュー・ゴードン: 私にとっては長年研究してきた労使関係の話と、日米野球の話が一致しているところがおもしろいので本に書いたのですが、書評のなかでその点に触れてくれた読者は誰もいませんでした。日本の読者がおもしろいと思ってくれたのは、私が予想していたのとはまったく別の部分でした。

ジャパンバッシングが、2007年6月にボストン起きました。ボストニアンの方が日本人よりおらが選手=松坂を愛している、理解している、松坂の良さを理解できない日本人は馬鹿だ……という議論が起きました。

ジャパンバッシングが起こった理由は、6月頃に松坂はいいピッチングをしていたのですが、日本では彼に対する期待が高かったせいか、がっかりした空気、期待はずれという雰囲気が広まっていました。日本での関心が冷めてきたことをアメリカの全国紙USA Todayが6月末に「松坂フィーバーは日本で鎮静化」と報じました。それがボストンレッドソックスファンの目にとまり、怒ったというわけです。

「日本はなぜ冷めてしまったのか」「初めてくるリーグに適応するのがどれほど大変か、日本人にはわからないのか」「松坂はすごくよくやってるのに、日本人は馬鹿でわからないのか」「登板する全試合でノーヒットノーランを達成しろというのか」……というバッシングが起きたのです。これをどう考えればいいのでしょうか。

怒ったレッドソックスファンは国際理解に富んでいるわけではないでしょうが、グローバルな視点でものを見ているという面もあるし、狭い視野で見ているという面もあります。自分のチームを強くしてくれる選手なら死んでも守る、日本のファンからも守るという立場は、レッドソックスのマーケティング担当副社長のサム・ケネディが言うように、入団させたのはチームを強くするためというのと一致しています。

このエピソードはボストンの風俗を物語っています。ボストンは京都に似ているのです。東京ではありません。物理的にも狭いし、人口は60万人ぐらいです。人口820万人のニューヨークとは一桁違います。そういった狭い地域に日本から注目が集まるというのは、街の人たちにとって自慢であり自信なのです。来シーズンどうなるか、非常に楽しみです。


『日本人が知らない松坂メジャー革命』(アンドリュー・ゴードン著/朝日新書)

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アンドリュー・ゴードン
朝日新聞社