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リスキリングは次のフェーズへ!<イベントレポート>
更新日 : 2025年01月21日
(火)
【2章】リスキリングは日本を救う〜スキルの棚卸しと可視化〜
開催日:2024年6月20日 (木) 19:00~20:30 イベント詳細
スピーカー:後藤宗明 (一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事
SkyHive Technologies 日本代表)
田中若菜 (LinkedIn 日本代表)
柳川範之 (東京大学 大学院経済学研究科・経済学部教授)
大事なことは、キャリアの舵を自分で取ること
田中若菜 (LinkedIn 日本代表)
田中:私のキャリアについてお話しをさせていただく貴重な機会をいただきましたことをお礼を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
私が代表を務めるLinkedInは、転職のためのプラットフォームと思われてる方がたくさんいらっしゃると思うのですが、それだけではありません。LinkedInは「キャリアデベロップメントのための、スキルアップのためのプラットフォーム」です。リスキリングに使ったり、コネクションを使ったり、ロールモデルを探したり、セルフ・ブランディングに使われる方もいらっしゃいます。詳しくは後半でご紹介したいと思います。
さて、画面に提示したQRコードを読み込んでいただきますと、Linkedinの私のプロフィールページに飛びます。いまコロナを経て、海外では紙の名刺の交換はほぼされなくなり、リンクトインのQRコード交換がメインになってきています。私の場合は、色々なキャリアストーリーが今まであり、いま現在の名刺だけでは「田中若菜」がどういう人物かがわかりにくく、LinkedInのページをみていただくとわかりやすい自己紹介になっています。私はこれまでのキャリアは一つも無駄ではなかったと思っています。なぜかというと、それぞれのキャリアで「スキル」を得たと思っているからです。
(田中さんスライドより)
先ほど柳川先生もおっしゃっていたように、私も学生のときはキャリアはレールが敷かれていて1本線でいけるのではないかと思っていました。しかし、実際はそんなことはなく、紆余曲折しながら、進んできました。キャリアというものは、色々な影響を受けて自分だけでは決められないこともあります。例えば、留学や転職をしたり、介護休暇を取らなければいけなくなったり、女性の場合は出産育児があったり、最近はレイオフなんてこともよくあります。何が一番大事かというと、キャリアは自分でコントロールをしないといけない、自分で舵を取らないといけない、ということです。今、キャリアオーナーシップと盛んに叫ばれていますが、私はどんな仕事からもスキルを得られると思っています。アルバイトからも心がけ次第で絶対にスキルは身につきます。学生さんにお話をさせていただく機会も多いですが、会社に入って人事部に自分のキャリアの舵を任せるのではなく、ぜひ自分で舵を取って、キャリアオーナーシップを持ち、それぞれのポジションで自分はどんなスキルを身につけているんだろうと意識しながら取り込むとまた違うよ、とお伝えしています。
LinkedInのビジョンは「世界で働くすべての人のために、経済的なチャンスを作り出す」、ミッションは「世界の人々をコネクトする(つなげる)ことで個人と組織の生産性を高め、さらなる成功に結びつける。」です。これが実現できたら社会に貢献できると思い、私はLinkedinへの参画を決めました。世界で2兆円の売上があり、社員数は全世界36都市で2万人弱。Linkedinで働く人の多くは、このビジョンとミッションに共鳴し、本当に社会のために何かやりたい人たちです。
LinkedInは、世界に10億人の登録ユーザーがいます(2023年発表)。世界で働く人の6人に1人がLinkedinを使っていることになります。日本では、400万人の方が登録しています。さらに、LinkedInにホームページを持っている企業が6700万社、教育機関が13.4万校あります。また、4.1万の「スキル」が登録されてます。どうやって「スキル」を登録しているかというと、10億人がマイページを作るときに自身の「スキル」の棚卸をしています。そして6700万社の企業が人材募集をする際には必要な「スキル」を項目にして出しているので、それらを合わせ分類化したものが4.1万スキルある、ということです。それに基づいて、毎週新しいEラーニングのコースが作られ、全世界の方に学んでいただいています。
5秒に1人登録メンバーが増え、毎分6人がLinkedin上で採用され、1分間に500万件以上の投稿があります。またラーニングで学んでいる4200万人弱のユーザーが、何を学んでいるかというデータもリアルタイムに取れていますので、リスキリングのトレンドも見ることができます。このように世界の労働市場を網羅した巨大なデータを、我々はエコノミックグラフと呼んでいます。後藤さんが提示されたエコノミスト記事の「グリーンスキル」もLinkedinが提供させていただいてるスキルセットであり、国連や世界経済フォーラムが毎年だすジェンダーギャップレポートなどもLinkedinのデータを活用しレポートを出しています。また、米国、欧州、アジアの国々の今後のDX人材をどう育てるかといったこともLinkedinのデータで戦略を練っていただいてます。日本でも、経産省や内閣府にデータを提供して、労働市場の変革について示すお手伝いをさせていただいてます。
私が代表を務めるLinkedInは、転職のためのプラットフォームと思われてる方がたくさんいらっしゃると思うのですが、それだけではありません。LinkedInは「キャリアデベロップメントのための、スキルアップのためのプラットフォーム」です。リスキリングに使ったり、コネクションを使ったり、ロールモデルを探したり、セルフ・ブランディングに使われる方もいらっしゃいます。詳しくは後半でご紹介したいと思います。
さて、画面に提示したQRコードを読み込んでいただきますと、Linkedinの私のプロフィールページに飛びます。いまコロナを経て、海外では紙の名刺の交換はほぼされなくなり、リンクトインのQRコード交換がメインになってきています。私の場合は、色々なキャリアストーリーが今まであり、いま現在の名刺だけでは「田中若菜」がどういう人物かがわかりにくく、LinkedInのページをみていただくとわかりやすい自己紹介になっています。私はこれまでのキャリアは一つも無駄ではなかったと思っています。なぜかというと、それぞれのキャリアで「スキル」を得たと思っているからです。
(田中さんスライドより)
先ほど柳川先生もおっしゃっていたように、私も学生のときはキャリアはレールが敷かれていて1本線でいけるのではないかと思っていました。しかし、実際はそんなことはなく、紆余曲折しながら、進んできました。キャリアというものは、色々な影響を受けて自分だけでは決められないこともあります。例えば、留学や転職をしたり、介護休暇を取らなければいけなくなったり、女性の場合は出産育児があったり、最近はレイオフなんてこともよくあります。何が一番大事かというと、キャリアは自分でコントロールをしないといけない、自分で舵を取らないといけない、ということです。今、キャリアオーナーシップと盛んに叫ばれていますが、私はどんな仕事からもスキルを得られると思っています。アルバイトからも心がけ次第で絶対にスキルは身につきます。学生さんにお話をさせていただく機会も多いですが、会社に入って人事部に自分のキャリアの舵を任せるのではなく、ぜひ自分で舵を取って、キャリアオーナーシップを持ち、それぞれのポジションで自分はどんなスキルを身につけているんだろうと意識しながら取り込むとまた違うよ、とお伝えしています。
LinkedInのビジョンは「世界で働くすべての人のために、経済的なチャンスを作り出す」、ミッションは「世界の人々をコネクトする(つなげる)ことで個人と組織の生産性を高め、さらなる成功に結びつける。」です。これが実現できたら社会に貢献できると思い、私はLinkedinへの参画を決めました。世界で2兆円の売上があり、社員数は全世界36都市で2万人弱。Linkedinで働く人の多くは、このビジョンとミッションに共鳴し、本当に社会のために何かやりたい人たちです。
LinkedInは、世界に10億人の登録ユーザーがいます(2023年発表)。世界で働く人の6人に1人がLinkedinを使っていることになります。日本では、400万人の方が登録しています。さらに、LinkedInにホームページを持っている企業が6700万社、教育機関が13.4万校あります。また、4.1万の「スキル」が登録されてます。どうやって「スキル」を登録しているかというと、10億人がマイページを作るときに自身の「スキル」の棚卸をしています。そして6700万社の企業が人材募集をする際には必要な「スキル」を項目にして出しているので、それらを合わせ分類化したものが4.1万スキルある、ということです。それに基づいて、毎週新しいEラーニングのコースが作られ、全世界の方に学んでいただいています。
5秒に1人登録メンバーが増え、毎分6人がLinkedin上で採用され、1分間に500万件以上の投稿があります。またラーニングで学んでいる4200万人弱のユーザーが、何を学んでいるかというデータもリアルタイムに取れていますので、リスキリングのトレンドも見ることができます。このように世界の労働市場を網羅した巨大なデータを、我々はエコノミックグラフと呼んでいます。後藤さんが提示されたエコノミスト記事の「グリーンスキル」もLinkedinが提供させていただいてるスキルセットであり、国連や世界経済フォーラムが毎年だすジェンダーギャップレポートなどもLinkedinのデータを活用しレポートを出しています。また、米国、欧州、アジアの国々の今後のDX人材をどう育てるかといったこともLinkedinのデータで戦略を練っていただいてます。日本でも、経産省や内閣府にデータを提供して、労働市場の変革について示すお手伝いをさせていただいてます。
リスキリングは日本を救う!〜スキルの棚卸しと可視化〜
田中:いくつか面白いデータをお持ちしたのでご紹介します。下の図は、2030年までに仕事の何%のスキルが入れ替わるかを示した図です。皆さんが今と同じ仕事を続けていても、今から6年後、2030年にはその仕事の内容(中身)の65%は変わるということです。
(田中さんスライドより)
なぜ変わるかといえば、もちろんAIの到来だと思います。これは日本の数字で、実はグローバルの数字より変化する割合が大きいです。これには諸説ありますが、日本ではマニュアルに基づいてお仕事をされている方が多く、それがデジタルに置き換わったり、AIに変わったりすることが他国よりは多いのではないかという見立てがあります。ここから読み取れることは、日本は、よりリスキリングをする必要がある、とも言えます。 数年前は、スキルの入れ替わりは50%だと試算されていたのですが、2023年に生成AIが登場したことにより、変化する度合いがより大きくなり65%までになっています。
AIが普及してきたことによって仕事の環境は激変しています。また、今プログラミングを学ぶべきだといって学んでも、5年でその価値が半減するというデータも出ており、スキル寿命はさらに短くなると言われています。 新しい求人もどんどん新しいスキルを持つ人材を求めて、労働市場は変革しています。ただ、全ての職種で同じように入れ替わりの影響があるわけではないのです。 例えば、データアナリストはデータを使う仕事ですから、AIによって97%置き換えられると言われています。人事マネージャーは76%、営業マネージャーは58%というデータが出ています。一方、プロジェクトマネージャーという職種は、コミュニケーションスキル、エンゲージメントスキル、巻き込み、根回しなどが、部署を超えて必要になってくる職種なので、28%しかAIには置き換えられないといったデータもあります。こういったことを学生に伝えると、じゃあどんな仕事を目指して、どんなスキルを学べばいいんですか!?ということをよく質問されます(笑)。次のスライドは2023年に最も需要のあったスキルのランキングです。
(田中さんスライドより)
これを見るとわかるように、AI時代に重要とされているのは、ソフト・ピープルスキルです。先ほど、今求められているエンジニアは、哲学を勉強した人だというお話がありました。技術的なことだけでなく、哲学、心理学といった分野、どうやって人は考えるのか、人を巻き込むのか、影響力を増やすのか、といったことを学んでいる人がより求められる時代になってきています。これは「今」のことなので、また再来年には変わってるかもしれないですが。ただ、どんな職種にいても、ベーシックなビジネススキルとして、AIではない人間らしさ、ソフト・ピープルスキルを身につけることは必ず役に立つとお答えするようにしています。
日本の「実質賃金」「労働生産性」はG7の中で最低レベルです。にも関わらず、日本企業の人材への投資もG7で最低レベル。これは日本企業の経営者の方々に、人材への投資の必要性がまだまだ浸透しきっていないということだと思います。このままだと、日本の将来が明るくならないのではないかと懸念されますし、だからこそリスキリングがすごく大事だと思います。私は、リスキリングは日本を救う、と思っています。キャリアオーナーシップ、自分で舵取りをすることもそうですし、独学で学び、こうなりたいと将来を見据えるような若い人々が、たくさん出てきてほしいなと思っています。
最後に、私が考える「日本の労働市場改革を加速するための3つの条件」をまとめます。
一つ目が「スキルベース採用」です。今までは経験ベースで、何の仕事を何年してきたか、どのポジションにいたかで選ばれる時代でしたが、そうではなくて、今、何ができるか、スキルベースでどんどん採用することによって、賃金の格差も減ると思います。
二つ目が「リスキリング、キャリアオーナーシップ」です。一人ひとりがキャリアビジョンを持って、スキルアップを生涯続けていくこと、自己啓発、リスキリング、これらをしていくことがやはり必要となってきます。
三つ目が「ネットワーク・オープンコミュニケーション」。全員が透明性高く、オープンでポジティブにキャリアを望んで、ボーダーレスに日本の競争力を上げていくものになればいいと思います。
皆さんも、ぜひポジティブに透明性高く、スキルベースでご自身を棚卸していただけるといいなと思っております。
(田中さんスライドより)
AIが普及してきたことによって仕事の環境は激変しています。また、今プログラミングを学ぶべきだといって学んでも、5年でその価値が半減するというデータも出ており、スキル寿命はさらに短くなると言われています。 新しい求人もどんどん新しいスキルを持つ人材を求めて、労働市場は変革しています。ただ、全ての職種で同じように入れ替わりの影響があるわけではないのです。 例えば、データアナリストはデータを使う仕事ですから、AIによって97%置き換えられると言われています。人事マネージャーは76%、営業マネージャーは58%というデータが出ています。一方、プロジェクトマネージャーという職種は、コミュニケーションスキル、エンゲージメントスキル、巻き込み、根回しなどが、部署を超えて必要になってくる職種なので、28%しかAIには置き換えられないといったデータもあります。こういったことを学生に伝えると、じゃあどんな仕事を目指して、どんなスキルを学べばいいんですか!?ということをよく質問されます(笑)。次のスライドは2023年に最も需要のあったスキルのランキングです。
(田中さんスライドより)
日本の「実質賃金」「労働生産性」はG7の中で最低レベルです。にも関わらず、日本企業の人材への投資もG7で最低レベル。これは日本企業の経営者の方々に、人材への投資の必要性がまだまだ浸透しきっていないということだと思います。このままだと、日本の将来が明るくならないのではないかと懸念されますし、だからこそリスキリングがすごく大事だと思います。私は、リスキリングは日本を救う、と思っています。キャリアオーナーシップ、自分で舵取りをすることもそうですし、独学で学び、こうなりたいと将来を見据えるような若い人々が、たくさん出てきてほしいなと思っています。
最後に、私が考える「日本の労働市場改革を加速するための3つの条件」をまとめます。
一つ目が「スキルベース採用」です。今までは経験ベースで、何の仕事を何年してきたか、どのポジションにいたかで選ばれる時代でしたが、そうではなくて、今、何ができるか、スキルベースでどんどん採用することによって、賃金の格差も減ると思います。
二つ目が「リスキリング、キャリアオーナーシップ」です。一人ひとりがキャリアビジョンを持って、スキルアップを生涯続けていくこと、自己啓発、リスキリング、これらをしていくことがやはり必要となってきます。
三つ目が「ネットワーク・オープンコミュニケーション」。全員が透明性高く、オープンでポジティブにキャリアを望んで、ボーダーレスに日本の競争力を上げていくものになればいいと思います。
皆さんも、ぜひポジティブに透明性高く、スキルベースでご自身を棚卸していただけるといいなと思っております。
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