記事・レポート
日本元気塾セミナーリーダーの本質とは? そして、東京2020へ!
変革を成功に導く“独裁力”/川淵三郎×米倉誠一郎
更新日 : 2018年03月13日
(火)
第4章 川淵流「勝利の方程式」とは?
改革には「コペルニクス的転回」が必要
米倉誠一郎: いや、すごかった。川淵キャプテンの怒りと気迫がビシビシ伝わってきました(笑)。僕が感じたのは、川淵さんには改革を成功に導くための「勝利の方程式」があるということ。最初に明確なビジョンやゴールを示し、途方もなく厳しい条件を掲げ、それを乗り越えた人達と一緒に進んでいく。
川淵三郎: そうですね。スポーツの3大要素は「する/観る/支える」。欧米に比べると、日本は全てにおいてレベルが低い。身近な場所にスポーツを「する/観る/支える」拠点があれば、我々の生活や人生はより豊かになり、地域も活性化していく。そのことを多くの日本人に知ってもらいたいと思い、まずは誰もがイメージできるビジョンを示し、それを具現化したもの、すなわち、スポーツに触れる機会や環境を作ろうと考えました。
米倉誠一郎: その中心となるのがスタジアムやアリーナ。しかし、最初に示す条件が非常に厳しい。
川淵三郎: 僕がよく、Jリーグ関係者に言っているのは、「クラブの規模は、スタジアムの規模で決まる」。1万5,000人収容のスタジアムで満足していれば、発想するアイデアもそれに比例した規模に収まってしまい、ビッグクラブには成長できません。発想を無限に広げ、夢を描き続けてもらうためにも、「不可能だ」と言われるような条件を最初にガツンと示すわけです。
米倉誠一郎: なるほど。しかし、バスケットボールの改革は、Jリーグの時とは比較にならないほど課題山積だった。しかも、期限までの猶予が極端に短かったですよね。
川淵三郎: 僕が分析したところ、企業名を外すか外さないか、チームの独立法人化と財務の透明化、bjリーグの資本金の債務超過、この3つの問題を解決すれば、後は大丈夫だと考えていました。
Jリーグではクラブ名に企業名を入れさせませんでしたが、B.LEAGUEではOKとしました。NGにすると、大企業が参入せず、高い給料を払えるチームがなくなる可能性があったから。そうなると、プロを目指す人が育たなくなる。だから、企業名は残して一定の収入は確保し、一方で、それに依存せず健全な経営を行ってもらうため、チームの独立法人化と財務の透明化は厳守してもらいました。日本では企業がスポーツを支えてきた歴史がある。それを蔑ろにせず、まずは感謝・評価し、その上でビジョンを共有しながらWIN-WINになる方法を探っていくことが大切です。
15億円の債務超過については、「これが解決できない限り、統一の話はできない」と言われていた。僕は一喝しました。「たった15億円でバスケットボールの未来が潰れてしまうのか? JBAには63万人の登録者がいる。今後の工夫次第では300、400億円のマーケットを作ることができる。15億円ぐらいでガタガタ言うな!」。これでようやく議論が前に進み始めました(笑)。
僕は、事あるごとに「コペルニクス的転回」を図るような言葉を投げかけていました。発想やものの見方を180度変えることで、常識や既成概念を打破するようなアイデアが生まれるからです。
原動力は私利私欲を超えた「理念」
米倉誠一郎: 川淵さんのお話を聴いて、日本にもさらにプロ経営者が必要だと改めて感じました。私利私欲やしがらみにとらわれてしまう人に、常識を打ち破るような大胆な改革は絶対にできません。
川淵三郎: 何をするにも、全ての根底にはスポーツへの愛、社会の役に立つという想いや情熱があり、それがあるから覚悟が決まり、決断もできる。その上で大切なのは、現状を自分の目で見てしっかりと分析し、問題の本質を見つけること。問題は挙げ始めたらきりがないため、まずはコアを見つける。それを解決すれば、枝葉末節の課題は自ずと解決されていきます。僕の場合、判断基準となったのはJリーグで試行錯誤した経験です。それがあったから、問題を把握したり、現状や先を読んだりすることができました。
米倉誠一郎: 部外者だからこそ、物事を客観視でき、私利私欲で動くこともない。人間関係の複雑なしがらみもない。だから、「独裁」「ワンマン」と言われても、自信を持って進んでいくことができたわけですね。
川淵三郎: 改革のアイデアを考える時、誰かの顔が思い浮かんでしまうようでは、思い切りの良さがなくなり、判断や行動もブレていきますよね。
米倉誠一郎: リーダーには批判が付きものですが、川淵さんの場合、それすらもエネルギーに変えて前に進み続けた。Jリーグ初代チェアマンだった頃は、読売新聞グループの主筆・渡邉恒雄さんと激しい論戦を繰り広げられていましたね。
川淵三郎: 「Jリーグは絶対に成功しない」「地域密着など空疎な理念だ」などと散々批判されました。しかし、そのおかげでマスコミの注目が集まり、Jリーグの理念やビジョンを様々な場で発信することができ、僕自身も“理論武装”に磨きをかけることができたわけです。当時は顔も見たくないほど大嫌いでしたが(会場笑)、今となっては間違いなくJリーグの“恩人”だと言えますね。
川淵三郎: 何をするにも、全ての根底にはスポーツへの愛、社会の役に立つという想いや情熱があり、それがあるから覚悟が決まり、決断もできる。その上で大切なのは、現状を自分の目で見てしっかりと分析し、問題の本質を見つけること。問題は挙げ始めたらきりがないため、まずはコアを見つける。それを解決すれば、枝葉末節の課題は自ずと解決されていきます。僕の場合、判断基準となったのはJリーグで試行錯誤した経験です。それがあったから、問題を把握したり、現状や先を読んだりすることができました。
米倉誠一郎: 部外者だからこそ、物事を客観視でき、私利私欲で動くこともない。人間関係の複雑なしがらみもない。だから、「独裁」「ワンマン」と言われても、自信を持って進んでいくことができたわけですね。
川淵三郎: 改革のアイデアを考える時、誰かの顔が思い浮かんでしまうようでは、思い切りの良さがなくなり、判断や行動もブレていきますよね。
米倉誠一郎: リーダーには批判が付きものですが、川淵さんの場合、それすらもエネルギーに変えて前に進み続けた。Jリーグ初代チェアマンだった頃は、読売新聞グループの主筆・渡邉恒雄さんと激しい論戦を繰り広げられていましたね。
川淵三郎: 「Jリーグは絶対に成功しない」「地域密着など空疎な理念だ」などと散々批判されました。しかし、そのおかげでマスコミの注目が集まり、Jリーグの理念やビジョンを様々な場で発信することができ、僕自身も“理論武装”に磨きをかけることができたわけです。当時は顔も見たくないほど大嫌いでしたが(会場笑)、今となっては間違いなくJリーグの“恩人”だと言えますね。
該当講座
川淵三郎氏が語る、リーダーの本質とは?そして、東京2020へ!
川淵三郎(日本サッカー協会キャプテン)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
「解決できるのは僕しかいない」
「国内に分裂している2つのバスケットボールリーグを統合してほしい」6か月以内に国内リーグを統合しなければ、リオ五輪予選への出場が認められないという逆境下で、2016年秋にプロバスケットボール新リーグ、B.LEAGUE開幕へと導いた川淵氏が発揮したリーダーシップとは?波乱の統合劇で川淵氏を突き動かした原動力について語って頂くとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピックはどうあるべきか、そして次世代の人材を育成する指導者として、いま考えることについて迫ります。
日本元気塾セミナーリーダーの本質とは? そして、東京2020へ! インデックス
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第1章 日本に「地域に根ざしたスポーツクラブ」を!
2018年03月13日 (火)
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第2章 解決できるのは僕しかいない!
2018年03月13日 (火)
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第3章 不可能を可能にした“独裁力”
2018年03月13日 (火)
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第4章 川淵流「勝利の方程式」とは?
2018年03月13日 (火)
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第5章 リーダーに求められる決断と覚悟
2018年03月13日 (火)
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第6章 リーダーが“協力者”を得るための方法は?
2018年03月13日 (火)
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