記事・レポート
グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方
日本を飛び出したサムライが見たものとは?
更新日 : 2017年08月08日
(火)
第4章 ユダヤ人の考える天才とは?
キーパーソンにアプローチする
石倉洋子: 非常に興味深いお話がたくさん出てきました。今後も実に様々なことを計画されていて、壮大な夢もあるようですね。
榊原健太郎: 僕は日本経済の牽引役になりたいし、いつかは国連でスピーチし、ノーベル平和賞を受賞したいと考えています。サムライという名前を掲げているため、例えば、紛争が起きている国や貧しい国があった時、日本全体を牽引しながら動いて、ビジネスを通じて穏やかな状況に変えていきたい。日本の大企業や起業家とも力を合わせて、一緒に世界を平和にしたいのです。
石倉洋子: なるほど。面白いなと思ったのが、イスラエル支社には日本の起業家よりも、大企業のトップがやってくるというお話です。
榊原健太郎: イスラエルで気づいたのは、世界で活躍する日本の大企業ほど動きが速いということ。以前、日本のある大企業のトップと話した際、「失敗は全然OK。とにかくスピード重視でやってほしいけれど、現場が遅いし、動いてくれない」と言われていました。
石倉洋子: そうしたトップほど、世界がよく見えている。だから、危機感もあり、スピード感もある。ならば、大企業に勤めている方はどうすればいいのでしょうか?
榊原健太郎: 僕がよくする質問は、「社長や役員の方とランチしていますか?」。何か新たな事を興す人、オープンイノベーションや新規事業の担当者には“後ろ盾”が必要です。素早く実績を出すことも重要ですが、それ以前に決定権者ときちんとコミュニケーションを取れていることが大切です。「社長とランチなどできない」と言われる方も多いですが、連絡したら案外、社長は喜んで受けてくれるはず。とにかく、社長以外であっても、誰がキーパーソンなのかを見据えた上で思い切ってアプローチすることが大切です。
石倉洋子: 多くの人は最初から諦めているというか、自主規制してしまう。もしダメだったとしても、次のアプローチを考えればいいだけですよね。
榊原健太郎: まさに、できるできないでなく、やるかやらないか、です。
他人の気持ちが分かる人
石倉洋子: 支援の基準は、そこに解決すべき課題があるかどうか。特に榊原さんのように、様々な経験をするほど、課題や問題の本質が見えやすくなると思います。
榊原健太郎: インキュベートとは、直訳すれば「保育器、孵化装置」です。僕も子どもがいますが、本当に子育ては大変で、奥さんからも相当罵倒されています(笑)。しかし、それによって育児に悩む女性が多いと気づき、産後クライシスや出産後の離婚といった問題も起こるのだと理解できました。様々な課題も自分事に置きかえて受け止め、どうすれば解決できるのかを考えることは好きですね。
石倉洋子: とはいえ、課題や問題が大きすぎることもありますが、そうした場合は?
榊原健太郎: とにかく、要素を分解しながら考え続けます。例えば、いじめの問題。誰もがなくならないと思っているはずですが、子どもが利用するSNSなどのデータを分析すれば、いじめや犯罪の発見につながると考え、それを可視化してアラートを通知するサービスを行う企業に投資しました。
石倉洋子: 様々な観点から解決策を考えていくためには、何をすればいいのでしょう?
榊原健太郎: イスラエルには優秀な人が多いと言われますが、彼らは兵役終了後、すぐには働かず、世界を旅行する人が非常に多い。そうやって知識や見聞を広め、多くの人と接点を持つことで視点を増やしているのだと思います。僕自身もたくさんの人と出会っているので、似たような感じです。
もう1つ、イスラエルの方に「天才ってどんな人?」と質問して返ってきたのが、「相手の気持ちが分かる人」という答えで、なるほどと思いました。僕自身も、相手がどう思っているのかと誰かの立場になって考えたり、想像したりすることは好きですね。
石倉洋子: そう考えるようになったのは、何かきっかけがあるのでしょうか?
榊原健太郎: 基本的に目立ちたがり屋で、特に誰かのためになって目立ちたいという思いはありましたね。イスラエルで言われたのが、「多くの人を救うビジネスは、まず1人を救うビジネスでなければならない」ということ。そんなビジネスをやろうという起業家がいれば、僕は投資したり、アイデアを出したりしながら一緒に解決していきたいと思います。要するに、「正義の味方」になりたいというのが、僕の根本にあるのかもしれないですね。
石倉洋子: なるほど。最終的に、全ての人が平和に、穏やかに暮らせる世界にしたい。
榊原健太郎: 物理的、状況的な平和はなかなか実現が難しいものの、心の穏やかさはいつでも、どこにいてもつくれます。まずは、そこを1秒でも増やしたいと考えています。
石倉洋子: ユダヤ人の考える天才は「相手の気持ちが分かる人」。ものすごくインパクトのある言葉ですね。
榊原健太郎: やはり、他人の気持ちが分かれば、起業家として成功しますし、会社のメンバーも株主も幸せになり、家族とも素晴らしい人生が送れると思うので、非常に的を射た言葉だと感じますし、何よりシンプルですよね。
石倉洋子: そう考えれば、日本人にもできそうな気がしますね。
榊原健太郎: 日本は世界で唯一、大きな爆弾を落とされた国。そんなストレスフルな状況から、互いを思いやることで現在の社会をつくりました。そう思えば、色々な可能性が広がっていくはずです。
榊原健太郎: インキュベートとは、直訳すれば「保育器、孵化装置」です。僕も子どもがいますが、本当に子育ては大変で、奥さんからも相当罵倒されています(笑)。しかし、それによって育児に悩む女性が多いと気づき、産後クライシスや出産後の離婚といった問題も起こるのだと理解できました。様々な課題も自分事に置きかえて受け止め、どうすれば解決できるのかを考えることは好きですね。
石倉洋子: とはいえ、課題や問題が大きすぎることもありますが、そうした場合は?
榊原健太郎: とにかく、要素を分解しながら考え続けます。例えば、いじめの問題。誰もがなくならないと思っているはずですが、子どもが利用するSNSなどのデータを分析すれば、いじめや犯罪の発見につながると考え、それを可視化してアラートを通知するサービスを行う企業に投資しました。
石倉洋子: 様々な観点から解決策を考えていくためには、何をすればいいのでしょう?
榊原健太郎: イスラエルには優秀な人が多いと言われますが、彼らは兵役終了後、すぐには働かず、世界を旅行する人が非常に多い。そうやって知識や見聞を広め、多くの人と接点を持つことで視点を増やしているのだと思います。僕自身もたくさんの人と出会っているので、似たような感じです。
もう1つ、イスラエルの方に「天才ってどんな人?」と質問して返ってきたのが、「相手の気持ちが分かる人」という答えで、なるほどと思いました。僕自身も、相手がどう思っているのかと誰かの立場になって考えたり、想像したりすることは好きですね。
石倉洋子: そう考えるようになったのは、何かきっかけがあるのでしょうか?
榊原健太郎: 基本的に目立ちたがり屋で、特に誰かのためになって目立ちたいという思いはありましたね。イスラエルで言われたのが、「多くの人を救うビジネスは、まず1人を救うビジネスでなければならない」ということ。そんなビジネスをやろうという起業家がいれば、僕は投資したり、アイデアを出したりしながら一緒に解決していきたいと思います。要するに、「正義の味方」になりたいというのが、僕の根本にあるのかもしれないですね。
石倉洋子: なるほど。最終的に、全ての人が平和に、穏やかに暮らせる世界にしたい。
榊原健太郎: 物理的、状況的な平和はなかなか実現が難しいものの、心の穏やかさはいつでも、どこにいてもつくれます。まずは、そこを1秒でも増やしたいと考えています。
石倉洋子: ユダヤ人の考える天才は「相手の気持ちが分かる人」。ものすごくインパクトのある言葉ですね。
榊原健太郎: やはり、他人の気持ちが分かれば、起業家として成功しますし、会社のメンバーも株主も幸せになり、家族とも素晴らしい人生が送れると思うので、非常に的を射た言葉だと感じますし、何よりシンプルですよね。
石倉洋子: そう考えれば、日本人にもできそうな気がしますね。
榊原健太郎: 日本は世界で唯一、大きな爆弾を落とされた国。そんなストレスフルな状況から、互いを思いやることで現在の社会をつくりました。そう思えば、色々な可能性が広がっていくはずです。
該当講座
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方
2008年にサムライインキュベートを設立し、ベンチャー支援を行う榊原健太郎氏。2014年には日本初のインキュベーターとしてイスラエルに支社を開設し、現地のスタートアップ約30社に出資するまでにビジネスを拡大しています。本セミナーでは、榊原氏に日本とイスラエルでの経験をもとに「起業家に必要なこと」や「組織にいながら起業家マインドを鍛える方法」など、石倉洋子氏のモデレートのもとお話いただきます。
グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方 インデックス
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第1章 「できるできない」でなく、「やるかやらないか」
2017年08月08日 (火)
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第2章 なぜ、イスラエルを選んだのか?
2017年08月08日 (火)
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第3章 イスラエルと日本のスタートアップの違い
2017年08月08日 (火)
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第4章 ユダヤ人の考える天才とは?
2017年08月08日 (火)
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第5章 海外で大切なのは「想い」を伝えること
2017年08月08日 (火)
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