グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方
日本を飛び出したサムライが見たものとは?
第1章 「できるできない」でなく、「やるかやらないか」
人口800万人の小国ながら、自動運転、人工知能、サイバーセキュリティなどの最先端分野で優れたベンチャーを生み出し続ける国、イスラエル。国民1人当たりの起業率は世界トップというこの国には、「問題がある状況を楽しむ」「何事もスピーディ」「常に本音で議論する」「失敗を許容する」「高度なITリテラシーを支える教育」など、起業家マインドを育む環境があるそうです。2014年、同国に移住した若きインキュベーター・榊原健太郎氏が、現地で知り得た「イスラエル流・起業家マインド」の鍛え方について解説します。
ゲストスピーカー: 榊原健太郎 (株式会社サムライインキュベート代表取締役)
モデレーター:石倉洋子 (一橋大学名誉教授)
気づきポイント
●0から1を生み出すことに長けたイスラエルの技術は、常に世界の20年先を行っている。
●何か事を興そうと思ったら、「キーパーソン」を見極め、思い切ってアプローチすることが大切。
●イスラエルの起業家マインドの根底には“Enjoy your problems,It's life.”という感覚がある。
全ての人が穏やかに暮らせる世界を
石倉洋子: 今回のテーマは「イスラエル」です。日本人にとっては馴染みが薄く、治安の問題もあるため、「怖い国」と捉えている方もいると思います。とはいえ元々、情報セキュリティなどのハイテク産業が有名で、近年は優れたスタートアップを次々と生み出す国として注目を集めています。そこで実際に現地に飛び込み、ビジネスを展開されている榊原健太郎さんに「本当のイスラエル」についてうかがいたいと思います。
榊原健太郎: まずは会社の紹介から。サムライインキュベートが掲げるミッションは、「できるできないでなく、やるかやらないかで世界を変える」。日本からGoogleやFacebookを超えるような会社を生み出すべく、起業家に対する様々な支援とともに、大企業の中で新規事業を手掛けるイントレプレナーの支援などを行っています。
僕たちが最終的に目指すのは、全ての人が平和に、穏やかに暮らせる世界です。約70年前の日本は戦争をし、大きな爆弾が落とされるなど、全く穏やかではありませんでした。それが現在は、誰もが穏やかに暮らし、GDPでは世界3位という状況にあります。一方で、世界はいまも様々な問題を抱えているため、そんな歴史を持つ日本がリーダーシップを発揮し、ビジネスを通じて全ての人が平和に、穏やかに暮らせる世界を創り出したいと思っています。
起業家を育てるエコシステム
僕たちの支援基準は、そこに解決すべき課題があるかどうか、サムライ魂を持って課題解決に取り組んでいるかどうか。FinTechが盛り上がっているから投資する、ということはありません。基本的に自社の収益よりも、僕たちが何かをやることで、社会への大きなインパクトやリターンを生み出すことを念頭に動いています。世の中のためになる、誰かのためになることであれば、人が嫌がることであっても、僕たちは率先してやります。
そのほか、東京・天王洲アイルにある起業家支援のコワーキングスペースSamurai Startup Island(SSI)の運営、起業にまつわる様々なイベント開催などが大きな柱となっています。現在は東京とイスラエル・テルアビブにコワーキングスペースがあり、東京に約40社、テルアビブに約20社が入居しており、常にワイワイガヤガヤしながら切磋琢磨できる環境を提供しています。
スタートアップのイベントについては、最初は50人規模から始めましたが、当時は見向きもされませんでした。現在は国内外で年間200件以上のイベントを開催しており、2017年4月に天王洲アイル一帯で開催したイベントには2,000人以上が集まりました。また、近年は安倍政権が「地方創生」を掲げていますが、僕たちは6年前から47都道府県を回り、地方から起業家を生み出すスタートアップ支援イベントを開催しています。FinTechやInsurance Techに関するイベントも、おそらく日本では僕たちが初めて開催したと思います。イベントにおいても、誰もやってないことを最初にやろうという軸があります。
現在は135社に投資しており、日本の企業が10社、残りがイスラエルなど海外企業となっています。このうち、EXITとなった企業が15社、IPOを視野に入れている企業が7社あり、M&Aの金額も最大で20億円となっています。
全ての起業が成功するわけではありませんが、僕たちの場合はイベントを通じて生まれたコミュニティがセーフティーネットになっているため、IT系の起業であれば、基本的に大きく失敗する可能性はゼロに近いと考えています。
また、大企業とコラボレーションし、新しい事業の創出にも注力しています。特に、イスラエルにはB to B関係の画期的な技術や特許を持つスタートアップが多く、これらと日本企業をつなぐ事業も展開しており、最近では自動車メーカーとの取り組みが増えています。
該当講座
2008年にサムライインキュベートを設立し、ベンチャー支援を行う榊原健太郎氏。2014年には日本初のインキュベーターとしてイスラエルに支社を開設し、現地のスタートアップ約30社に出資するまでにビジネスを拡大しています。本セミナーでは、榊原氏に日本とイスラエルでの経験をもとに「起業家に必要なこと」や「組織にいながら起業家マインドを鍛える方法」など、石倉洋子氏のモデレートのもとお話いただきます。
グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方 インデックス
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第1章 「できるできない」でなく、「やるかやらないか」
2017年08月08日 (火)
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第2章 なぜ、イスラエルを選んだのか?
2017年08月08日 (火)
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第3章 イスラエルと日本のスタートアップの違い
2017年08月08日 (火)
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第4章 ユダヤ人の考える天才とは?
2017年08月08日 (火)
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第5章 海外で大切なのは「想い」を伝えること
2017年08月08日 (火)
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