記事・レポート
グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方
日本を飛び出したサムライが見たものとは?
更新日 : 2017年08月08日
(火)
第2章 なぜ、イスラエルを選んだのか?
日本の大企業のスピード
榊原健太郎: イスラエルに単身飛んだのは、2014年5月。日本のインキュベーターとしては初めて、アジアでも初だったと思います。テルアビブに拠点を置いたのですが、当時は中国、韓国、シンガポールからの訪問者が多く、日本企業の方々が訪れるようになったのは2017年に入ってからです。
僕がイスラエルに行く以前、日本からイスラエルのスタートアップへの投資額はわずか2~3億円。しかし、2015年には52億円、2016年には222億円になりました。日本企業のブランチも、かつては出張所レベルで5社しかありませんでしたが、現在は60社まで増え、様々な企業がR&Dセンターを設けています。
僕たちのイスラエルオフィスには、日本のIT系起業家はほとんど来ません。多いのは、世界を変えるような技術を求めてやってくる日本の大企業です。日本の大企業はスピードが遅いというイメージがありますが、海外に出てみると、日本の大企業の影響力やスピードを強く感じます。そのため、最近は日本の大企業を大きく変えたほうが、いちはやく世界が変えられると考え、その支援に注力しています。
イスラエルの企業は、0から1を生み出すのが非常に得意です。一方、それをキレイに仕上げて量産化し、世界に広げていく部分は弱い。僕たちの投資を受け入れてくれた企業に理由をたずねると、僕たちの後ろにいる日本の大企業に、1から100や1,000を生み出す技術を求めていました。かつての日本人が創り上げたサービスやものづくりの質の高さが、イスラエルでも認められているわけです。
20年先を行くイスラエルの技術
榊原健太郎: イスラエルに渡る前は、「なぜ、あのような怖い国に行くの?」と何度も言われました。実際、ミサイルも飛んできますが、すぐに警報が鳴り、ほぼ全て迎撃され、街のあちこちにシェルターも完備されています。現地の人に言わせれば、いつくるか分からず、防ぐこともできない自然災害のほうが怖いそうです。
元々、僕は最速で自分の夢を実現したいと考えていました。そのために、どこを押さえたらいいのかと考えた時、イスラエルやユダヤ人だと思い、そこに食い込もうと考えました。GoogleやFacebookなど世界的に成功している経営者、金融市場を席巻する企業の創業者を調べると、その多くがイスラエルやユダヤ系にルーツを持っています。
実際、対人口比で見ると、様々な分野において「世界一」があります。例えば、ノーベル賞やフィールズ賞の受賞率、科学者や技術者、起業家の数、M&Aの数。イスラエルには世界中の企業がR&Dセンターを設け、その数も投資額も世界一です。スタートアップへの投資額でも、日本の約5倍となっています。
また、0から1を生み出すことに長けたイスラエルの技術は、世界の20年先を行っています。1990年代後半、イスラエルの企業がICQという世界初のインスタントメッセンジャーを生み出し、世界を席巻しました。言うなれば、LINEやtwitterの先駆け的なものです。あるいは、Mobileye。1999年に設立された、自動車の自動検知・運転支援システムを開発する企業です。2017年春、インテルに約1兆7,000億円で買収されましたが、多くの自動車メーカーが同社の技術を採用しています。こうしたイノベーティブな技術を、日本の大企業と組み合わせたいと考えています。
さらに、杉原千畝さんの存在も大きい。第二次世界大戦中、6,000人以上のユダヤ人を救い、そこから産まれた子どもが約10万人。まさに「ミスター・サムライ」です。街を歩いていても、「お前は日本人か? ありがとう」と言われ、僕たちのイスラエル支社代表の祖母も杉原千畝さんに救われたそうで、「彼がいなかったら、僕もここにはいない」と言っています。その恩恵をいま、僕たちも受けています。
元々、僕は最速で自分の夢を実現したいと考えていました。そのために、どこを押さえたらいいのかと考えた時、イスラエルやユダヤ人だと思い、そこに食い込もうと考えました。GoogleやFacebookなど世界的に成功している経営者、金融市場を席巻する企業の創業者を調べると、その多くがイスラエルやユダヤ系にルーツを持っています。
実際、対人口比で見ると、様々な分野において「世界一」があります。例えば、ノーベル賞やフィールズ賞の受賞率、科学者や技術者、起業家の数、M&Aの数。イスラエルには世界中の企業がR&Dセンターを設け、その数も投資額も世界一です。スタートアップへの投資額でも、日本の約5倍となっています。
また、0から1を生み出すことに長けたイスラエルの技術は、世界の20年先を行っています。1990年代後半、イスラエルの企業がICQという世界初のインスタントメッセンジャーを生み出し、世界を席巻しました。言うなれば、LINEやtwitterの先駆け的なものです。あるいは、Mobileye。1999年に設立された、自動車の自動検知・運転支援システムを開発する企業です。2017年春、インテルに約1兆7,000億円で買収されましたが、多くの自動車メーカーが同社の技術を採用しています。こうしたイノベーティブな技術を、日本の大企業と組み合わせたいと考えています。
さらに、杉原千畝さんの存在も大きい。第二次世界大戦中、6,000人以上のユダヤ人を救い、そこから産まれた子どもが約10万人。まさに「ミスター・サムライ」です。街を歩いていても、「お前は日本人か? ありがとう」と言われ、僕たちのイスラエル支社代表の祖母も杉原千畝さんに救われたそうで、「彼がいなかったら、僕もここにはいない」と言っています。その恩恵をいま、僕たちも受けています。
該当講座
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方
2008年にサムライインキュベートを設立し、ベンチャー支援を行う榊原健太郎氏。2014年には日本初のインキュベーターとしてイスラエルに支社を開設し、現地のスタートアップ約30社に出資するまでにビジネスを拡大しています。本セミナーでは、榊原氏に日本とイスラエルでの経験をもとに「起業家に必要なこと」や「組織にいながら起業家マインドを鍛える方法」など、石倉洋子氏のモデレートのもとお話いただきます。
グローバル・アジェンダ・シリーズ2017
第2のシリコンバレー:イスラエル流・起業家マインドの鍛え方 インデックス
-
第1章 「できるできない」でなく、「やるかやらないか」
2017年08月08日 (火)
-
第2章 なぜ、イスラエルを選んだのか?
2017年08月08日 (火)
-
第3章 イスラエルと日本のスタートアップの違い
2017年08月08日 (火)
-
第4章 ユダヤ人の考える天才とは?
2017年08月08日 (火)
-
第5章 海外で大切なのは「想い」を伝えること
2017年08月08日 (火)
注目の記事
-
10月22日 (火) 更新
本から「いま」が見えてくる新刊10選 ~2024年10月~
毎日出版されるたくさんの本を眺めていると、世の中の”いま”が見えてくる。新刊書籍の中から、今知っておきたいテーマを扱った10冊の本を紹介しま....
-
10月22日 (火) 更新
aiaiのなんか気になる社会のこと
「aiaiのなんか気になる社会のこと」は、「社会課題」よりもっと手前の「ちょっと気になる社会のこと」に目を向けながら、一市民としての視点や選....
-
10月22日 (火) 更新
メタバースは私たちの「学び」に何をもたらす?<イベントレポート>
メタバースだからこそ得られる創造的な学びとは?N高、S高を展開する角川ドワンゴ学園の佐藤将大さんと、『メタバース進化論』を出版されたバーチャ....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 11月28日 (木) 19:00~20:30
World Report 第10回 アメリカ発 by 渡邊裕子
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから見えてくることを参加者の皆....
「ハリス V.S. トランプ 米国大統領選挙結果を読み解く」