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日本元気塾セミナー
既存の枠をぶち壊せ!

若きイノベーターの挑戦/杉江理×佐々木大輔×米倉誠一郎

更新日 : 2016年05月25日 (水)

第7章 日米のベンチャーキャピタルの考え方

米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)

 
Googleで学んだ起業家精神

米倉誠一郎: 佐々木さんのお話を聞き、twitterの創業者ジャック・ドーシーを思い出しました。彼はモバイル端末でクレジットカード決済ができるサービス「Square」を作った理由について、「商取引をもっと簡単にしたい」と語っています。

日本はテクノロジーも通信インフラも世界トップクラス。しかし、ことスモールビジネスの世界ではまったく活用が進んでいない。常識や既成概念に縛られすぎて、人とテクノロジーをつなぐプロダクトが生まれなかったから。佐々木さんは誰も気がつかなかった課題に着目し、「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」というビジョンを描いた。まさに日本のジャック・ドーシーです。そこに至るまで、20代は色々な仕事を経験されていますね。

佐々木大輔: 今思えば、20代は特にやりたいことがないままに過ごした、という挫折感があります。本気でやりたいことが見つからず、もがいていた。とはいえ、目的が見つからないのなら、とにかく自分を成長させようと、あえてハードルの高い仕事ばかりに挑戦していました。

新卒で入った広告代理店では、様々なマーケティングプランを作る仕事をしていました。クライアントが最も気にするのは、費用対効果です。そこから費用対効果についてもっと学びたいと思い、香港に本社を置く投資ファンドに入り、投資アナリストになりました。この会社では金融業界の考え方や動き方を学びましたが、事業を創り出す人達をサポートするうちに、事業に直接関わりたいと思うようになり、インターン時代の友人が興したスタートアップのCFOになりました。

ここでは、資金調達など財務面を担当しつつ、レコメンデーション・エンジンの開発も行っていました。当時はサブプライム問題が起こった直後で資金調達が難しく、10数社からどうにか1億数千万円を集める、といった具合でした。

米倉誠一郎: ベンチャーキャピタルとやり合った経験がいま、活かされている?

佐々木大輔: そうですね。この時に、ベンチャーキャピタルが投資する際のロジックを学びました。例えば、アメリカのベンチャーキャピタルは「日本の中小企業はクラウド化が進んでいない? 競合もいない? いいね!」といったスタンスです。つまり、彼らは「日本の中小企業のクラウド化」という未来に投資する。一方、日本のベンチャーキャピタルは「今後、日本の中小企業のクラウド化が進むという確たる証拠はあるのか?」と、現在に投資するようなスタンスです。こうした日米の思考の違いを肌で感じました。

米倉誠一郎: なるほど。そしてGoogleに入った。

佐々木大輔: 無我夢中でもがいていたら、ある日突然Googleに入っていました(笑)。ここでは、本当に3カ月ごとに戦略や方針がガラリと変わり、チームメンバーも変わる。そうした中にいると、否が応でも成長しなければならず、「なんだか楽しいな」などと感じているうちに、あっという間に5年が過ぎていました。

米倉誠一郎: Googleが一番長かった?

佐々木大輔: 長かったですし、「自分のやりたいことができているな」という実感もありました。面白かったのは、社員の中にたくさんの元起業家がいたことです。買収されてGoogleに入った人や、起業に失敗して転職してきた人など、「僕は10億くらい溶かした」と笑いながら語る人があちこちにいました。彼らは失敗した経験からどん欲に学び、必ず次のチャレンジに活かしていました。そうした環境がとても刺激的で、「起業して失敗しても大丈夫」という、リスクに対する感覚が自然に養われたように思います。

米倉誠一郎: まさにベンチャースピリットを学んだわけだ。

佐々木大輔: 僕がGoogleに採用された理由も、以前スタートアップにいたことが1つの理由で、「Googleはチャレンジする人間が大好きだ」とも言われました。

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既存の枠をぶち壊せ! ~ 若きイノベーターの挑戦 ~ 杉江理(WHILL)×佐々木大輔(freee)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)

杉江理(WHILL,Inc. CEO)×佐々木大輔(freee株式会社 代表取締役)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
日本元気塾塾長である米倉誠一郎氏が、「車いす」のマーケットにイノベーションを巻き起こしているWHILL,Inc. CEOの杉江理氏と、クラウド会計ソフトとしてシェアNo.1を獲得する大躍進を遂げているFreee株式会社の佐々木大輔氏を迎えして、若きイノベーターの挑戦をお話いただきます。