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日本元気塾セミナー
既存の枠をぶち壊せ!

若きイノベーターの挑戦/杉江理×佐々木大輔×米倉誠一郎

更新日 : 2016年05月18日 (水)

第6章 自分の好きなことで社会に貢献する


 
批判の中にチャンスがある

佐々木大輔: freeeのベータ版ができた際、会計の専門家に使ってもらったところ、「今使っている会計ソフトで十分。新しいソフトなどいらない」と、バッサリ斬り捨てられてしまいました。彼らにとって日々の作業はもはや当たり前になっており、不満すら感じないものになっていました。その後もサービスを開始するまで、「欲しい」「使いたい」とは一度も言われませんでした。

しかし、僕はそうした声を気にせず、予定通りにリリースしました。往々にして、物事の中心にいる人ほど、重要な課題が見えなくなるものです。会計の専門家ではない僕は、第三者目線で会計や経理業務を見ることができ、そこから社会に広く共通する課題に気づきました。

イノベーションにおいて重要なのは、「組み合わせ」だと言われます。僕の中には、従来の会計ソフトとクラウドをつなげ、自動化することは必ずイノベーションにつながる、という確信がありました。そして、最も大切なことは、この新たな組み合わせに自分なりのコンセプトや、「必ずできる!」という気持ちを重ねていくことだと思います。

色々な人から「不可能だ」「やめたほうがいい」とも言われました。業界には非常に高いシェアを持つ会計ソフトが存在しており、そこに挑戦した人達が軒並み失敗してきたからです。しかし、周囲からそう言われるたびに、僕の心はますます燃えました。誰もが無理だと考えるものの中にこそ、大きなチャンスが隠れており、本気でプロダクトを開発し、ビジネスとして成立させれば、一気に風穴を開けることができるからです。

まずやってみる

佐々木大輔: 起業した当時を振り返り、特に重要だったなと思うのは、「自分が何かに貢献できると感じたら、まずはやってみる」と考えていたことです。

例えば、スポーツや食べ物、モノづくりなど、「自分の好きなこと」と「多くの人が好きなこと」は重なり合う部分があると思います。そうしたものが見つかれば、「貢献する」という視点で捉え直し、自分の経験を重ね合わせながら、具体的に貢献できることを考えていく。誰に対して何がしたいのか? それが実現したら何が起こるのか? 社会に対してどのような意味があるのか? 1つでもやる意味を感じるものがあれば、とにかく必死に動き回り、アウトプットを出す。

誤解を恐れずに言えば、freeeを作り始めた頃、僕は「別に失敗してもいいや」と考えていました。大切なのは、どのような形でも最初に描いたビジョンに近づくことだからです。僕が失敗を重ねることで知見が広がる。僕のアクションがきっかけとなって、思いを受け継ぐ人が出てくる。どのような形であっても前方向に転がっていけば、社会は僕が目指した「スモールビジネスのテクノロジー活用」という目標に一歩近づくはず。それでいいと思っています。

自分が貢献できそうだと感じるものがあれば、まずはやってみる。それが、僕なりに考える既存の枠の壊し方です。


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既存の枠をぶち壊せ! ~ 若きイノベーターの挑戦 ~ 杉江理(WHILL)×佐々木大輔(freee)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)

杉江理(WHILL,Inc. CEO)×佐々木大輔(freee株式会社 代表取締役)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)
日本元気塾塾長である米倉誠一郎氏が、「車いす」のマーケットにイノベーションを巻き起こしているWHILL,Inc. CEOの杉江理氏と、クラウド会計ソフトとしてシェアNo.1を獲得する大躍進を遂げているFreee株式会社の佐々木大輔氏を迎えして、若きイノベーターの挑戦をお話いただきます。