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三谷宏治が語る、経営戦略の100年

経営の本質はつながりとストーリーから見えてくる

経営戦略ビジネススキルその他
更新日 : 2013年09月12日 (木)

第10章 経営の明日は、発見と探究の先にある

 講師:三谷宏治(K.I.T.虎ノ門大学院 教授 早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院 客員教授)

 
求められるのは高速で試行錯誤する力

三谷宏治: 経営とは自由度と慣性との戦いです。企業は、過去の成功のままに突っ走ろうとする巨大な慣性を持っています。それを変えない限り、次のイノベーションはありません。一方、経営レベルでやれることは、現場レベルとはまったく違います。ビジョン・戦略・組織の何を変えるも自由です。だからこそ難しい。そして、楽しいのです。

21世紀という時代では、考え実行する速さも求められます。じっくり腰を据えて考えていては、あっという間に時代が移り変わり、「担当者の変更」に巻き込まれてしまいます。いま求められているのは、高速で試行錯誤をする力なのです。

高速の試行錯誤を行うためには、発見と探究という力が必須です。「松明(たいまつ)は足元を照らすもの」という言葉があります。暗闇の中で松明を掲げれば、近くのものはよく見えます。ですが、遠くのものは松明の灯りのせいで見えなくなります。松明を消し、目をこらすことで、初めて遠くにある光が見えてくる。すぐ手に入る答えに、価値の高いものはありません。視野を広くし、柔軟な発想を用いて探究していく。その先に価値の高い、画期的な答えがあるのです。

また「百聞は一見に如かず」という言葉があります。後世になり、2つ追加されました。「百見は一考に如かず」「百考は一行に如かず」です。これだけ不確実な世の中、しょせん、やってみなくちゃ、わかりません。現代において最も大切なのは、素早く考え、試行・実践・実行することなのです。

歴史に秘められた価値を知る

三谷宏治: 最後に、本書を出した目的についてお話ししたいと思います。目的は2つありました。1つは、多くの方々に経営戦略論の本質と魅力を伝えたかったことです。ですから、分かりやすさと楽しさにこだわった内容としています。どのような経営論、経営戦略論にも、必ず誕生した理由があります。世界恐慌を乗り切るため。オイルショックを乗り切るため。イノベーションを生み出すため。その中には必ず提唱者の想いが込められています。時代背景と共に、そうした思いや目的・意図を知れば、現代にも活かせる価値が見つけられるはずです。

もう1つは、歴史のつながりを俯瞰することです。個々の戦略論をじっくり学ぶことも楽しいものですが、それではつながりが分からなくなります。何がベースになっているのか。どのような時代背景から生まれた戦略なのか。つながりを知ることが本当の理解を生むと考え、100年の歴史を俯瞰できる本としてまとめました。ぜひ、偉大な先人たちの足跡から、大イノベーション時代を乗り切っていくためのヒントを見つけてみてください。(了)

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