記事・レポート

MBA僧侶が編み出すコミュニケーションのカタチ

松本紹圭:目覚めの技術としての仏教

更新日 : 2013年03月21日 (木)

第4章 「インターネット寺院」で大勢とつながる

松本紹圭(僧侶)

 
お坊さんになる方法など、独自コンテンツを掲載

松本紹圭: お寺という場所まで、どのようにして人の流れをつくるか、ということを考えてきたわけですが、もう一つできることがあります。それは、こちらから人がいる場所に出て行くことです。六本木ヒルズにもたくさん人が集まっていますよね。もっと集まっている場所といえば、インターネットです。そういうわけで『彼岸寺」というウェブサイトも運営しています。

このサイトはもともと、私がお坊さんになってすぐに勝手な使命感から始めたものです。お坊さんになる方法は、本にも載っていなければ、インターネットで調べても全く出てきません。私自身も「お坊さんになるには、どうやったらいいのだろう」と悩んだ経緯があったので、自分の経験をブログの形で残していこうと思ったわけです。それがだんだん広まっていったのですね。今では仏教好きの仲間が集まって、「インターネット寺院」として、いろいろな仏教コンテンツをアップしています。

ソーシャルメディアは、お坊さんの交流範囲を広げた

松本紹圭: 編集作業にはFacebookも使っています。実は、お坊さんは結構Facebookを活用しているのです(笑)。余談ですが、住職は「住む職」と書きますよね。この言葉はお坊さんの在り方をよく言い当てています。お寺関係のご友人に聞いてみれば分かりますけど、「家族旅行をしたことがない」という人は多いはずです。お葬式がいつ入るか分からないですし、予約制にするわけにもいきません。ですから、今までは周りと交流したいお坊さんがいても、付き合いの範囲を広げることが難しかった。最近はFacebookなどのソーシャルメディアのおかげで地域を超えて、やる気のあるお坊さんがどんどんつながれるようになったのです。

座禅アプリも開発

松本紹圭: 最近ではモバイルにも手を広げています。iPhone版とAndroid版のアプリを作ったのです。『雲堂」という無料アプリなので、よろしければお試しください。これは座禅をするためのシンプルなアプリです。線香の画像が出てくるので、そこに火を付ける。その線香が燃え尽きるまでの時間を一つの区切りとして、座禅をするわけです。それから座禅といえば外せないのが、肩をバシッとたたく驚策ですね。その機能も付いています。お坊さんがバシッとたたくのは、罰としてではなくて、集中力が途切れたときに意識をこちらに引き寄せるためです。だから「ちょっと集中が途切れたな」と思ったときに、iPhoneを両手に挟んで合掌礼拝するのです。すると角度が変わったことを感知して、ブルブル震えながら「バシッ!」という音がします。たったそれだけのことなのですけれど(笑)。本気で座禅に使っている方もいるようですが、半分お楽しみで利用していただいています。線香で時間を計るというユルさが気に入って、タイマーとしてダウンロードする方もいらっしゃるようです。