記事・レポート

MBA僧侶が編み出すコミュニケーションのカタチ

松本紹圭:目覚めの技術としての仏教

更新日 : 2013年03月19日 (火)

第3章 過去をふりかえる場から、未来を考える場へ

松本紹圭(僧侶)

 
お寺でヨガ教室や音楽会も!

松本紹圭: 「神谷町オープンテラス」のほかにも、光明寺ではヨガ教室やお寺の音楽会<誰疎彼>も開催しています。ただアーティストが演奏するだけではなくて、演奏の合間にお坊さんが説法をしたり、最後にみんなで読経をしたりしています。精進料理や飲み物も用意しています。こうした活動がだんだん定着してきたようです。

300年の歴史があるお寺で、300年後を考える

松本紹圭: 催し物とは別に、お寺の新しい生かし方も提案しているところです。お寺は、ものすごく古いですよね。創建300~400年くらいのお寺はざらにありますし、私のいる光明寺も約800年になります。これだけ歴史の長い組織がほかにあるでしょうか。最近は市町村合併などもあって、歴史のある自治体もどんどん減ってきています。そんな中、地域をずっと見続けてきた組織体は、神社やお寺以外にほとんどないように思うのです。

それ故に、お寺を預かるお坊さんの意識は、どちらかというと過去に向きがちです。「自分は20代目か」とか「ここで終わらせるのは面目ないから、絶対21代目に渡すんだ」という思考になってしまいます。中には、歴史の重みに押しつぶされそうになっているお坊さんも多いようです。けれど考えてみると、>300年の過去があるお寺でなら、300年先のことを考えるのもリアリティーがあるのではないでしょうか。家の中で、300年後のことに思いを巡らせたりしませんよね。会社に集まって「これから300年後のわが社のことを考えよう」というのも、まずしないと思うのです。

地域社会のような少し大きいくくりで考えてみると、長い目でいろいろな社会問題に取り組んでいくことはとても大事なことなのです。それを考える場所として、お寺は最適だと思いませんか。100年・200年・300年という単位でも、結構実感をもって考えることができるはずです。>「過去を振り返る場」としてではなくて、「未来を考える場」「未来を創っていく場」として、お寺を活用できるのではないかと提案しています。