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“生きるように働く”を支援する

毎日が楽しくなる、新しい生き方・働き方:中村健太×古田秘馬

キャリア・人文化
更新日 : 2012年12月11日 (火)

第2章 新しい仕事のあり方を実践&提案する「シゴトヒト文庫」

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)

中村健太: 「日本仕事百貨」のほかにも、いろいろな仕事をしています。「みちのく仕事」というサイトでは、東北の復興と暮らしを支える人たちを紹介しています。東日本大震災の後、縁があって出会った方のお話を、1回のインタビューではなく定期的に伺って、ありのままをお伝えしています。最終的には震災と関係のない、「最近、娘が小学校に上がったんだよ」みたいな話を伺えればいいなあ、と考えています。

東北の「右腕」を派遣するプロジェクトでは、寄付金を募って、それを原資に有償でボランティアを派遣しています。ボランティアを継続的にやることはなかなか難しいので、最低限の生活支援金をお渡しして、現地に行っていただく仕組みです。それから「シブヤ大学」(※いわゆる正規の大学ではなく、生涯学習を推進する特定非営利活動法人)で「しごと課」のディレクターをやったり、島おこしやまちおこしの仕事もしています。

最近では、「シゴトヒト文庫」という新しい本のレーベルをつくりました。その第1弾は『シゴトとヒトの間を考える』というタイトルで、2012年2月に奈良県立図書情報館で開催された「シゴトヒト2daysフォーラム」の様子をまとめた内容になっています。

「シゴトヒト文庫」は、いろいろな生き方・働き方が世の中にはあるということを伝えることを目的につくったものですが、本の仕組み自体もちょっと工夫しています。実はこれ、3,000部限定で、出版社や流通を通していません。だからどこでも手に入るわけではありませんが、ご縁のあった書店やカフェや雑貨屋さんで売っています。1冊1,200円なので、売上は360万円。印刷代は35万円なので、粗利は90%以上です。

印刷は長野県にある藤原印刷にお願いしました。この会社は、在庫の保管管理費用が無料なんです。長野に広大な場所があるので、ずっと置いておいてもらえます。だから「一生かけて売る」というやり方なら、どんな人でも35万円で本をつくることができます。普通、本の印税は7%~10%ぐらいなので、巨匠でもない限り、本を書くだけで生きていくのは難しいと思うのですが、このやり方で、デザインから編集、そして販売まで全部自分でやれば、1つの仕事になるかもしれません。

「本は出版社から出すものだ」ということではなく、「こんな方法もあるよ」ということを実践しながら、「シゴトヒト文庫」では、本に限らず、新しい仕事のあり方があるということを自ら実践していきたいと思っています。


該当講座

シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」
“生きるように働く”を支援する
中村健太 (株式会社シゴトヒト代表取締役)
古田秘馬 (プロジェクトデザイナー/株式会社umari代表)

中村健太(株式会社シゴトヒト代表取締役)× 古田秘馬(株式会社umari代表)
日々の生活、社会の問題も、ちょっとした工夫や思いつきで「楽しい毎日」になります。視点を変えるきっかけさえあれば、誰もが工夫し、参加できるのではないでしょうか。
シリーズ「街・人を変えるソーシャルデザイン」では「丸の内朝大学」「六本木農園」など、多くの街・人を巻き込む企画を実行するプロジェクトデザイナー古田秘馬氏をファシリテーターに迎えます。第1回のゲストは、WEBサイト「日本仕事百貨」を運営する中村健太氏。働いている人と、働きたい人の想いをつなぐ、新しい仕事の探し方をきっかけに、社会のありかた、生き方を考えていきます。


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