記事・レポート

再生はあり得るか?
~日本の将来の可能性と危険性~

ジェラルド・カーティス氏(コロンビア大学教授)によるライブラリートーク

ライブラリートーク政治・経済・国際
更新日 : 2011年02月09日 (水)

第6章 政治家は専門家の知恵を借りよ~idea創出対策:短期編~

ジェラルド・カーティス氏

ジェラルド・カーティス: 今の日本がやるべきことは、「菅さんにはリーダーシップがないから、早くリーダーを替える」ということではありません。誰が総理大臣になっても、新しいidea、新しいvision、そして新しい政策を実現する戦略、努力、エネルギーがなければ、いくらトップの顔を替えてもよくなりません。

ideaを生み出すためには、短期的な対策と長期的な対策の両方が必要です。今の菅政権の優先順位ははっきりしないし、経済政策も社会政策も外交政策も、どこに向かっていけばいいのかという国民への説明、説得が感じられません。

昔、フランクリン・ルーズベルト大統領は"kitchen cabinet"といって、政府の人間ではなく、自分が信用する知識人たちを呼んで、自由に討論して新しい政策を探り出しました。今、日本の政治家にはこういうことが必要なのですが、官僚の言うことも聞かない、外の人たちの知恵も借りないなら、政治指導者は専門知識をどう得るのでしょうか。政治家というのはジェネラリストであって専門家ではないので、政治家同士が話し合ってもいい政策が出てくることはあまりないんです。ですから短期的な対策としては、政権が知恵を借りられるようなシステムをつくることが大事です。

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