記事・レポート

ミサコ・ロックス!が体現するアメリカン・ドリーム

米国発、オンリーワンの日本人漫画家が切り開くティーンコミック市場

更新日 : 2010年09月17日 (金)

第5章 プロモーションはアーティストが自分でやる

ミサコ・ロックス!氏

academyhillsをフォローする 無料メルマガ登録をする

ミサコ・ロックス!: アメリカでは、1人の編集者が30人ぐらいのアーティストを受け持っています。だから提出した原稿への直しが遅くて、6カ月待ちなんてざらです。その間、アーティストは何をするかというと、自分でプロモーションするんです。出版社は本当に出版するだけの会社なので、どんなに大きな出版社でも、プロモーションはアーティスト自身がするんです。

どんなプロモーションをするかというと、学校や図書館でコミック教室を開いたり、講演会をしたり。私も月に3、4本、そうやって口コミで広げています。「図書館でコミック教室」と言うと驚くかもしれませんが、アメリカの図書館はティーン向けのプログラムやゲーム大会が充実していて、日本のように、「図書館=勉強をするところ」という考えではないんです。

コミック教室を開くと、母親がすごいんですよ。「ミサコ、うちの息子、天才なの、見て」とか「とっても上手でしょう? これならすぐにコミック・アーティストになれるわ」みたいな感じで、子どもが描いたものを見せてきます。そういう母親の子どもはシャイだったりするので、「もう、ママ、やめてよ」という感じですけど。アメリカは褒めて伸ばす方式なので、私も否定的なことは絶対言いません。「ここのライン、いいね」とか言いながらやると、みんな「本当?」って、喜んで描いてくれます。

もちろん、コミック・コンベンションやアニメ・フェスティバルといったイベントもあります。全米の各州で開かれるので、シカゴやバージニアなど、いろんな所に私も呼ばれて行きます。最近は机に座って仕事をする暇がないほどで、営業マンみたいな感じです。

出版社は、教師用や図書館用にブック・フェスティバルのような感じの大きなイベントを開きます。アメリカでは、教師と司書さんの評価がものすごく重要なんです。そういう人に出版社のプロモーション担当の方が、その年に発売する本を無料で渡すんです。そこで司書さんに「これ、いいね」と言われたら、その本は認められたことになりますから。

ちなみに日本では、2009年にNHK・BSの「ニューヨークウエーブ」というドキュメンタリー番組が取り上げてくれました。私がみんなに「ワー」って話してガンガンアピールしているシーンを撮ってくれたんです。そしたら、日本から「元気もらいました!」というeメールがたくさん来ましたし、日本のアマゾンで私の本が洋書部門の売上1位、2位になったりしたので、テレビの影響力って大きいなと思いました。

それから、雑誌『日経ウーマン』の「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010」の一人に選ばれました。これを機にエッセーやコラムが書けたらいいなと思っています。日本の、特に女性は外国にとても興味があると思うんです。私は本当にいろいろな分野の人たちを知っているので、そういうものを紹介できればいいなと思っています。私が培ってきた経験を、日本の人たちにも伝えたいんです。

記事をシェアする

Twitterでつぶやく

Twitterでつぶやく

記事のタイトルとURLが表示されます。
(Twitterへのログインが必要です)


メールで教える

メールで教える

メールソフトが起動し、件名にタイトル、本文にURLが表示されます。



ブログを書く

ブログに書く

この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10082505misakorocks.html


関連リンク


該当講座

米国発、オンリーワンの日本人漫画家が切り開くティーンコミック市場

~ミサコ・ロックス!が体現するアメリカン・ドリーム~

米国発、オンリーワンの日本人漫画家が切り開くティーンコミック市場
Misako Rocks!/高嶋美沙子 (コミック・アーティスト)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

ミサコ・ロックス!(コミック・アーティスト)
西川 英彦(法政大学教授)
日本から「輸出」されたアニメ、マンガではなく、アメリカを舞台にアメリカ人の登場人物を描く「純アメリカ産・マンガ」を創作するミサコ氏。米国のティーンコミック市場を切り開き、アメリカ発・唯一の日本人漫画家として独自の地位を確立した彼女に、アメリカのコミック市場の現状・特性や「日本オタク」の生態から現代のティーンの事情まで伺う貴重なセッションです。日本のソフト・パワーの動向に関心のある方にもお勧めです。


"最前線"講座 マーケティング・PR 文化