記事・レポート
行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ!
~行政刷新会議事務局長が目指す本当の改革~
注目のオピニオン
更新日 : 2010年06月29日
(火)
第6章 「1事業1時間は短い」という批判への反論
加藤秀樹: 刷新会議で行った事業仕分けにはいろいろな批判もいただきました。大いに反省しないといけない部分や、工夫しないといけないと思ったこともいっぱいあります。けれど的外れの批判もたくさんありました。
1事業1時間で結論を出したことについては「時間が短すぎる」という批判を随分受けました。それは当たっている面もあると思います。我々は何時間も勉強してから議論に臨んでいますが、1時間で議論が尽くされるかというとそうではないでしょう。
しかしそのような仕分けにおいて「1時間が不十分か」というと、大部分の場合、延ばしても意味がないのです。なぜかというと、ひとつには、これは政策の是非を議論する場ではなく、お金が実際にどう使われたかという事実のチェックの場であること。もうひとつは1時間の議論を見ればわかります。仕分け人が質問をする、お役所の人が3分答える。また仕分け人が質問をする、お役所の人が5分説明をする。質問と数分の回答が1時間の間に何回かありますが、説明者側の説得力のある答えは本当に少ないんです。
1時間の中で出てくる回答のどれもにあまり説得力がないのですから、それが2時間になったら急に説得力のあるものが出てくるということはないでしょう。そういう意味で、時間を延ばせばいい議論ができるということにはならないと思います。時間が短いという批判は、現場を見ずにテレビでコメントをしている人からのものだと思います。
ここでひとつ強調しておきたいのは、政策の是非と仕分けは別だということです。例えば子ども読書応援プロジェクトでいえば、政策議論とは「子どもの読書をもっと盛んにしようということは行政が行うべきことか。それは各家庭でやる話ではないのか。いや、やっぱり税金を投入して国がすべきことじゃないか」というものです。
仕分けは違うんです。「国が税金を使って子どもの読書をもっと盛んにしよう」ということは政策国会で議論されて決まったことだから、それを前提とする。仕分けの仕事は何かというと、そこで実際に使われたお金が子どもの読書をもっと盛んにするという目的に照らして、「本当に有効に活かされているかどうか」を判断することです。
この違いが随分と混同されました。混同された理由は、報道したマスコミの人たちが議論をよく聞いていない、趣旨をわかっていないということもありましたが、もう少し我々サイドからの説明も必要だと思いました。
記事をシェアする
ブログに書く
この記事のURLはこちら。
http://www.academyhills.com/note/opinion/10051906Budgetscreening.html
行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ! インデックス
-
第1章 事業仕分けの誕生背景~有識者会議は機能しない~
2010年05月19日 (水)
-
第2章 たった2枚の「事業シート」で成果が一目瞭然に
2010年05月27日 (木)
-
第3章 『心のノート』の無駄と、道徳教育の否定は違う
2010年06月04日 (金)
-
第4章 予算削減だけじゃない!仕分けの真の目的は「行政改革」
2010年06月14日 (月)
-
第5章 1m3千円でできる道路を11万円で造る理由は「そういう決まりだから」!?
2010年06月22日 (火)
-
第6章 「1事業1時間は短い」という批判への反論
2010年06月29日 (火)
-
第7章 本当の事業仕分けはこれからだ!本丸の制度改革へ
2010年07月08日 (木)
該当講座
行政のムダを斬る「事業仕分け」の本番はこれからだ!
~行政刷新会議事務局長が目指す本当の改革~
加藤秀樹 (構想日本代表/行政刷新会議事務局長/東京財団会長)
加藤 秀樹(行政刷新会議 事務局長/構想日本代表/東京財団会長)
2009年11月に全国民の注目を集めた国の「事業仕分け」。テレビや新聞などメディアで連日大きく報道されました。しかし、実際に事業仕分けについて理解している人は少ないのではないでしょうか。
本セミナーでは、事業仕分けの第一人者である加藤氏が、仕分けの本質と意義、今回の総括と課題について解説します。また、来年度の事業仕分けからが本番だと言われる中で、その方針についても伺います。税金の使われ方について、あなたも「当事者」として考えてみませんか。
BIZセミナー
政治・経済・国際 教養
注目の記事
-
11月20日 (水) 更新
aiaiのなんか気になる社会のこと
「aiaiのなんか気になる社会のこと」は、「社会課題」よりもっと手前の「ちょっと気になる社会のこと」に目を向けながら、一市民としての視点や選....
-
10月22日 (火) 更新
本から「いま」が見えてくる新刊10選 ~2024年10月~
毎日出版されるたくさんの本を眺めていると、世の中の”いま”が見えてくる。新刊書籍の中から、今知っておきたいテーマを扱った10冊の本を紹介しま....
-
10月22日 (火) 更新
メタバースは私たちの「学び」に何をもたらす?<イベントレポート>
メタバースだからこそ得られる創造的な学びとは?N高、S高を展開する角川ドワンゴ学園の佐藤将大さんと、『メタバース進化論』を出版されたバーチャ....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 12月17日 (火) 19:00~20:30
note × academyhills
メディアプラットフォームnoteとのコラボイベント第1回。近著『きみのお金は誰のため』が25万部超のベストセラーとなっている、社会的金融教育....
「そもそもお金って何?未来をつくるためのお金の教養」
-
開催日 : 11月28日 (木) 19:00~20:30
World Report 第10回 アメリカ発 by 渡邊裕子
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから見えてくることを参加者の皆....
「ハリス V.S. トランプ 米国大統領選挙結果を読み解く」