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更新日 : 2010年05月31日 (月)

第3章 中国はエネルギーを制度改革、都市改革へむけよ

周牧之氏

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周牧之: 1990年、上海の浦東開発区を訪ねたことがあります。当時東京から行った日本人の皆さんも、同行した北京の中央政府の面々も、 浦東開発の大きな夢が成功する、実現するとはあまり信じていませんでした。

ところがふたを開けてみると、想像をはるかに超えた成長、発展が実現できました。冷戦後の20年、IT革命、市場化、グローバリゼーションなど、完全に世界のパラダイムは変わりました。パラダイムが変わったからこそ、中国は改革・開放をしてそのパラダイムに必死に合わせようと努力したのです。その結果が今日の成長です。

この20年ずっと私は中国での政策調査、地域計画に携わってきました。90年代の半ばから、中国政府から都市化政策のガイドラインをつくるように頼まれ、数年間、中国と日本の両国政府がからんだ大きな計画調査をやりました。

その結果を都市化政策プランの原案として提供しましたが、調査責任者だった私は、3つのことを中国政府に提言しました。1つは、中国に都市の時代が到来すること。長江デルタ、珠江デルタ、そして環渤海地域に、3つの「メガロポリス」が形成され、そこに中国の経済、人口は集約していくだろうから、これに関心を払わなければいけないと強調しました。

2つ目は、農村からたくさんの人が都市にやってくること。中国の戸籍制度は、都市に入ってくる人たちを規制していますが、都市でこうした人々を温かく受け入れるシステムをつくってほしい。社会保障システムと合わせて、戸籍制度の改革をやってほしいということです。

3つ目は、来るべき自動車社会にきちんと対応しなければいけないということ。そして大規模高密度の社会をつくるには、きちんとしたコンセプトが必要だと言ったのです。

中国政府は1つ目に対して、すばやく反応しました。第11次5カ年計画をつくるに当たって我々と議論を繰り返し、「メガロポリス政策」を大胆に打ち出したのです。ただし、2つ目の戸籍制度の改革は依然としてあまり進んでいません。数にして億単位もの出稼ぎの人たちは、今も大きな制度的制約を受けています。

3つ目の自動車社会の話に対しては、当時は耳を傾ける人はほとんどいませんでした。みんな自動車社会なんて遠い将来だと思っていたのです。しかし、あっという間に自動車社会が中国に到来し、都市の生活をハチャメチャにして、大都市では渋滞、長時間通勤、交通事故など、さまざまな弊害が顕在化しています。

中国が持っているエネルギーをこれからさらに制度改革、都市改革にもっていかなければいけない時代になってきたのです。

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