記事・レポート

新書本—軽装な冊子が森羅万象を映す

ブームの理由から“おすすめの新書本”をすすめる新書本まで

更新日 : 2010年04月19日 (月)

第8章 全新書本の書誌データベース

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澁川雅俊: 本日皆様に差し上げた新書解説目録は、新書のすべて(正確に言えば在庫新書のみ)が一覧でき、また索引(書名、著者、分類)が付けられて特定のものを検索できるようになっていますが、それは各シリーズの枠内のことです。中公新書の全点を他の新書シリーズの解説目録で一覧することはできませんし、特定の1点を探し出すこともできません。しかしここに優れものがあります。

『新書マップ—知の窓』(国立情報学研究所編集協力、04年新書マッププレス・日経BP社)がそれで、これは刊行が中止されたものを含め38の新書シリーズを串刺しにして検索できる目録です。これには38のテーマの下に全体で1,003の細区分で分類された各シリーズの新書本が示されています。そして著者名と書名からの索引が備えられて、特定のものを検索できるようになっています。

実はこの目録の背後にNPO法人連想出版が運営している「新書マップ—テーマで探す新書ガイド」サイト(http://shinshomap.info/search.php)があり、新刊新書本をアップデートしている書誌データベースがあります。

このデータベースは、連想することによって未知の情報を探索していくための検索エンジンです。例えば〈赤〉→〈赤とんぼ〉→〈秋〉→〈名月〉→〈かぐや姫〉……といった連想を手掛かりに、特定の本(この場合は新書本)を検索するという特異な検索エンジンです。こうしたデータベースを活用すると、『3時間で読める!ビジネス新書900冊』(新書マップ編集部編著、08年光文社)などは比較的簡単に編集することができます。

こうしたデータベース制作技術の発達により、いま例えば、新刊書については紀伊國屋オンライン書店の電子カタログでBookWeb(http://bookweb.kinokuniya.co.jp/)ほかいくつかがあり、また国内雑誌掲載論文論説や記事については国立国会図書館制作の雑誌記事索引データベースなどがあります。

これらによって16世紀のゲスナーには不可能であった書誌データのアップデートができるようなりました。しかし、彼が夢見た『万有文庫』については、データベースはもとより、インターネットの検索エンジンも完成に至っておらず、単行本も新書も文庫も、さらに雑誌掲載の論文論説や記事もあらゆるテキストを串刺しで概観し、検索することはまだ可能ではありません。(終)

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