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ローソン社長新浪剛史氏が描く、イノベーション・フロンティア

日本元気塾プレセミナー

更新日 : 2009年10月27日 (火)

第8章 多様性を活かすイノベーションが新しい資本主義を生み出すか?

米倉誠一郎(左)、新浪剛史(右)

米倉誠一郎: 先日、「日本の株主は、アメリカ的資本主義のようにあまり短期的なことを言うな」と怒っていましたが、どういう経緯だったのですか。そして今は改善されているのですか。

新浪剛史: 今はもっと悪くなっているかもしれません。みんな怖いから、短期的なものばかり見ているので。だから耐えどころだなと思っているんです。こういったことになって反省はしているけれど、欧米の株主は行動していないし、日本の機関投資家も全然変わっていません。ここでお金を持っている人たちが変われると、本当にいい企業を発見できて、将来的に面白い投資が通常化するのではないかと思うのです。

我々自身、迎合してはだめだと思います。最高益というのは、出そうと思ったら出せるんです。例えば「ローソンストア100」も「ナチュラルローソン」もやめて教育コストを削減する……人件費を考えたらこういったお店は投資の部分がすごく多いわけですからね。それをやめれば利益がドーンと出ますよ。でもその後にぺんぺん草も生えないじゃないですか。これは価値観です。

米倉誠一郎: ワークシェアなどの新しい仕組みが大事ですね、新しい資本主義をどうやってつくるか。本当に、考えなければ答えは出てこない。単純に「人を減らそう」となると、結局売上が減る。これは悪循環です。

新浪剛史: やっぱり成長というのはすごく重要で、成長しようと思うとイノベーションが必要です。リストラをやろうと思った途端に、すべての歯車がおかしくなってしまう。

米倉誠一郎: 成長モデルといっても中国型の成長は意味がないと思っていて、やっぱり底辺から上がってくるような成長というか、発展が大事だと思うのです。人には本当に力があるんですよね。「ローソンストア100」をやった人たちは、今すごく威張っているでしょう。

新浪剛史: 威張っています。当然プレッシャーがあっただろうけど、くたくたになってエレベーターの前で寝ちゃうような、すごい人たちだったんです。それを見て僕は続けようと思いました。お客さまを見ながら、というのもありますが、やっている連中の真剣さが胸にきた。だから楽しいんですよ。苦しかったらやっていません。

米倉誠一郎: みなさん、元気が出たでしょう。今日一番大事なのは、新浪さんの見かけにだまされてはいけないということ。ちゃんと努力して、幸運の女神の前髪をつかんでいるのがわかりますよね。今日はどうもありがとうございました。(終)

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