記事・レポート
「世の中に必要なもの」、それが付加価値づくりの原点になる
巨大な生保業界に風穴をあけられるか
~ライフネット生命保険・岩瀬大輔氏が語る「志」~
更新日 : 2009年05月21日
(木)
第2章 ロジックとエモーショナルが起業の原動力であり、武器になる
岩瀬大輔: 我々が立ち上げた「ライフネット生命保険株式会社」(※編注:以下「ライフネット生命保険」)はまさに現在進行形の会社です。スタートして10カ月近くが過ぎ、開業までのドラマというのはあちこちでお話しましたが、今日は「実際にスタートしてみてどうだったのか」という部分も合わせて語っていきたいと思います。
ライフネット生命保険は出口治朗という生保の大ベテランと、2人でスタートしました。ほかにもベテラン勢がたくさんいて、大手生保で医長をやってきた人物や、外資系の保険会社で保険経理だった人間もいます。ですのでライフネット生命保険は、生保のすべてを知っている人間と、我々若手がやっている会社です。
ベンチャーというと、今まではいわゆる大企業とは切り離されていたと思います。私たちの会社の場合、大企業も巻き込んで132億円を調達していて、これまでのベンチャーとは違います。50代、60代のベテランの力を借りて、30代を盛り立てながら会社をつくる。そこに日本を代表するような大企業がバックにつく。我々は「骨太のベンチャー」と呼んでいますが、そういったものを目指したいと考えています。
発足当時から我々と働いているメンバーに、中堅生保会社出身の社員がいます。彼が初めて我々を訪ねたときは、まだ準備会社でオフィスは雑居ビルをほかのベンチャー2社とシェアしていました。薄暗いビルの郵便ポストに準備会社「ネットライフ企画」と書かれたちょっと汚れたラベルが貼ってあり、エレベーターが開くといきなりオフィスで僕と出口がいる、そんな所でした。彼は「本当にここ、保険会社になるんだろうか?」と思ったそうです。
彼に聞くと、保険業界の人たちの間で、「これからの生保業界、俺たちがつくっていくと豪語するわけのわからないのがいる。なんだ、あいつは?」と注目していたそうです。
ライフネット生命保険は出口治朗という生保の大ベテランと、2人でスタートしました。ほかにもベテラン勢がたくさんいて、大手生保で医長をやってきた人物や、外資系の保険会社で保険経理だった人間もいます。ですのでライフネット生命保険は、生保のすべてを知っている人間と、我々若手がやっている会社です。
ベンチャーというと、今まではいわゆる大企業とは切り離されていたと思います。私たちの会社の場合、大企業も巻き込んで132億円を調達していて、これまでのベンチャーとは違います。50代、60代のベテランの力を借りて、30代を盛り立てながら会社をつくる。そこに日本を代表するような大企業がバックにつく。我々は「骨太のベンチャー」と呼んでいますが、そういったものを目指したいと考えています。
発足当時から我々と働いているメンバーに、中堅生保会社出身の社員がいます。彼が初めて我々を訪ねたときは、まだ準備会社でオフィスは雑居ビルをほかのベンチャー2社とシェアしていました。薄暗いビルの郵便ポストに準備会社「ネットライフ企画」と書かれたちょっと汚れたラベルが貼ってあり、エレベーターが開くといきなりオフィスで僕と出口がいる、そんな所でした。彼は「本当にここ、保険会社になるんだろうか?」と思ったそうです。
彼に聞くと、保険業界の人たちの間で、「これからの生保業界、俺たちがつくっていくと豪語するわけのわからないのがいる。なんだ、あいつは?」と注目していたそうです。
それから1年後に僕らは金融庁から保険業の免許を取得するのですが、免許を取得する1年前は、たった5人の会社でした。出口と僕と、医長と保険経理人、そして彼です。準備会社でありながらホームページをつくって、進捗具合や僕の考えをブログで綴って伝えていました。これが結果的にいろいろなものの呼び水になり、ブログを見て「一緒に働きたい」という仲間もたくさん来ました。
そもそも、会社を立ち上げるきっかけとなったのもブログでした。留学時代、『ハーバード留学記』というブログを書いたのですが、ちょうどライブドア事件の頃で、複雑な金融の仕組みをかみくだいて説明していたんです。それから欧米のファンド事情なども書いていたので、金融業界の方はけっこう読んでいたようです。
帰国後、「ずっと前からブログを読んでいて、会いたいと思っていた」という人物が現れたんです。あすかアセットマネジメントリミテッドの谷家さん、そして、マネックス証券株式会社の松本大さんです。
谷家さんはこう言ってくださいました。「僕は人の才能を心の底から愛することができる。だから、ベンチャーに投資して応援するのが僕の天職だと思っている。君がベンチャーをやるんだったら、熱いものをもっているし、一所懸命だから絶対うまくいく。君がやるなら、僕は全力で応援する」
僕が迷っていると、こうおっしゃいました。「1回しかない人生なんだから、エッジを立てた生き方をしてみないか? いつまでも、人にどう見えるかとか、ブランドとかじゃないだろう」
何かハッとすべてが落ちていく感じでした。もともとベンチャーをやりたかったのですが、「もう少し後にしようかな」と思っていた節があったんです。
このとき「失敗するリスクって何だろう?」ということを考えました。気がついたのは、「リスクなんて何もない」ということです。あるのは「2周遅れになっちゃうな」とかいう人の目を気にした「格好悪い」というつまらない思いだけ。人生は1回きりしかないのに思いきり走らないのはもったいない、そう思ったのです。
そもそも、会社を立ち上げるきっかけとなったのもブログでした。留学時代、『ハーバード留学記』というブログを書いたのですが、ちょうどライブドア事件の頃で、複雑な金融の仕組みをかみくだいて説明していたんです。それから欧米のファンド事情なども書いていたので、金融業界の方はけっこう読んでいたようです。
帰国後、「ずっと前からブログを読んでいて、会いたいと思っていた」という人物が現れたんです。あすかアセットマネジメントリミテッドの谷家さん、そして、マネックス証券株式会社の松本大さんです。
谷家さんはこう言ってくださいました。「僕は人の才能を心の底から愛することができる。だから、ベンチャーに投資して応援するのが僕の天職だと思っている。君がベンチャーをやるんだったら、熱いものをもっているし、一所懸命だから絶対うまくいく。君がやるなら、僕は全力で応援する」
僕が迷っていると、こうおっしゃいました。「1回しかない人生なんだから、エッジを立てた生き方をしてみないか? いつまでも、人にどう見えるかとか、ブランドとかじゃないだろう」
何かハッとすべてが落ちていく感じでした。もともとベンチャーをやりたかったのですが、「もう少し後にしようかな」と思っていた節があったんです。
このとき「失敗するリスクって何だろう?」ということを考えました。気がついたのは、「リスクなんて何もない」ということです。あるのは「2周遅れになっちゃうな」とかいう人の目を気にした「格好悪い」というつまらない思いだけ。人生は1回きりしかないのに思いきり走らないのはもったいない、そう思ったのです。
「世の中に必要なもの」、それが付加価値づくりの原点になる インデックス
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第1章 学びに枠は必要ない
2009年04月28日 (火)
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第2章 ロジックとエモーショナルが起業の原動力であり、武器になる
2009年05月21日 (木)
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第3章 成長するベンチャーに共通する3つのポイント
2009年06月08日 (月)
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第4章 「自分にできること」より先に、「世の中に必要なこと」を考える
2009年06月26日 (金)
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第5章 あの手この手でパブリシティにチャレンジ
2009年07月14日 (火)
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第6章 「自分が主役になってエンジンになる」ことが必要
2009年07月29日 (水)
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