記事・レポート

流通革命
BuyMa(バイマ)成功の舞台裏

更新日 : 2009年04月17日 (金)

第7章 プロモーション活動とPR活動の具体例

須田将啓氏(左)、西川英彦氏(右)

西川英彦: 私は本(『謎の会社、世界を変える。—エニグモの挑戦』)を読ませていただいたので、大筋は理解していたのですけれど、非常に面白い話でした。バイヤーさんの取り幅だとか、『BuyMa』自身の収益モデルの話をちょっとお聞かせ願えたらと思います。

須田将啓: バイヤーさんは自分で自由に値づけをするので、取り幅を我々は把握していないです。ただ何となく20%ぐらいかなという感覚は持っています。我々の取り分は全体の8%です。バイヤーさんから3%、買う人から5%いただいています。

西川英彦: 「バイヤーにメールを送っている」という話がすごく面白かったのです。それは仕組み化されていっているのですか?

須田将啓: 『プレスブログ』に関しては、ちょっと仕組み化しています。それは管理ページで一言とか、マイページにその人向けにアレンジした言葉を送るのですが、その一言でサイトやうちの会社に対して愛着をもってもらえます。CGMやユーザー参加型のサービスというのは、実はそこが大きなポイントではないかと僕は思っています。

西川英彦: 発見して、それをどう仕組み化するかというあたりが重要なところで、それが比較的うまくいっている、またSEOのところはかなりうまくいっているという話ですよね。ほかにも発見はまだありますか?

須田将啓: 発見はいろいろあるんです。バイヤーさんが買った人を全部リスト化して、データベース化していて、新作が出るとサイトの機能を使ってメールを送っていたりします。

西川英彦: 『BuyMa』経由のコンシエルジュ機能ですか?

須田将啓: そうですね。我々がプロモーションをやらなくても、各々のバイヤーさんが販促活動をしてくれているというのは、ちょっと発見でした。

西川英彦: そのあたりも面白いですね。

株式会社エニグモ代表取締役 須田将啓氏
会場からの質問: 『BuyMa』で海外にいる日本人をバイヤー化していく際のプロモーションというのは、どういったものだったのでしょうか?

須田将啓: バイヤーさんに対するプロモーションは本当にいろいろやりました。海外に住んでいる人のホームページを見つけて、管理人に「お願いします」というメールを送るというのもやりましたし、海外旅行に行く友達を見つけては、チラシを渡して、「日本人がよく行くお弁当屋さんやDVD屋さんに行って置いてきてよ」とお願いしたりもしました。

また、帰国子女の友達に、人伝てで開拓してもらったというのが本当に最初の立ち上げです。一番効いたと思ったのは、海外で日本人がよく読むフリーペーパーへの出稿です。

会場からの質問: 共同経営者としてお2人にどういう役割の違いがあるのでしょうか? それからPR活動を非常に重視されていたというところで、メディアに積極的に仕掛けているのでしょうか?

須田将啓: 共同代表の役割分担は、今はないです。2人とも代表という意味では全く同じ仕事をしています。ただ見ているサービスが違います。僕が『BuyMa』と『シェアモ』、田中が『プレスブログ』と『filmo』を見ていて、海外はアメリカを田中が、韓国を僕が見ているという感じで、事業で分けています。

確かにPRには常に力を入れています。『BuyMa』はファッション誌に出したいというのが結構強かったので、なるべくブランドを絞って、こちらからアプローチをしたり、ファッション系に強いPR会社さんにお願いしたりしたこともありました。

今では業界の中である程度知られてきているので、海外ブランドの特集などがあると自然に取り上げてもらえるレベルになりました。

会場からの質問: これだけユニークなサービスを考え出す御社の人材にすごく興味があります。人材の採用戦略、育成戦略、何かございましたらお伺いしたいのですが。

須田将啓: 役員が5人いるのですが、採用のときに5人全員がOKを出さないと採らないというのを徹底しています。まだ50人の会社なので、人材が会社に与える影響は非常に大きいと思っているので、5人の視点で見て問題ない人でなければ、まず採りません。その辺が大きなうちの方針の1つです。

また、カルチャーの共感度というのはほかの会社より強く見ていると思います。育成戦略というと大げさなのですが、うちは成り立ちがもともと2人でやっているので、トップダウンではなくて、話し合いで決めることがすごく多いのです。意見が出れば、その意見の良し悪しをディスカッションして決めていくという風土がかなり根づいています。それは新しく入ったどんな部署の人であっても徹底されていて、人づくりというのに役立っているのではないかと思っています。

西川英彦: 今日は紆余曲折も話していただきましたけれど、これほどのアイデアがあったのかと驚きました。そこに達成するまでやはり時間もかかっているなという印象も受けましたが、そこをやり抜くところが重要で、そういう意味では2人でやるというのは意外にいいのかなと、改めて思いました。今日はありがとうございました。(終)


該当講座

流通革命「BuyMa(バイマ)」成功の舞台裏
須田将啓 (株式会社エニグモ代表取締役/共同最高経営責任者)
西川英彦 (法政大学 経営学部 教授)

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