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楽天市場のオンラインマーケティング戦略のポイント

~大型インターネットショッピングモールの成長の軌跡~

更新日 : 2008年11月26日 (水)

第1章 成長の指標は「昨対比」

黒坂三重さん
神原弥奈子: 2005年から毎月1回行なってきたこのセミナーも30回目。本日は、楽天株式会社で『楽天市場』を担当している黒坂さんを講師にお招きしました。

90年代はウェブ製作のスタンダードMacromediaの『Director』、『Flash』といったソフトのマーケティングの担当をされていた黒坂さんとは、長いおつき合いになります。その後、日本初のFlashベースのグリーティングカードのサービスを提供していた「Ynot」の社長をされ、それを楽天さんに売却し、その事業部のご担当として楽天に移られました。2003年からは執行役員となり、今は『楽天市場』の新しい施策などを企画されています。

黒坂三重: 現在は、楽天ではブランディングに注力しています。デザインは佐藤可士和さんにアドバイスいただき、社内外のプレゼンテーションのカラーや使用するフォントをすべて赤で統一することを2年ぐらい前から徹底しています。ビジネスツールを統一することで、いろいろな分野から楽天という会社に集まって来た社員たちが、同じマインドをもって同じ方向性で物事を推進できるような体制つくりを行ってきています。

「日本全国で商売をされている中小企業の方々に、より一層事業での成功を収めていただく仕組みを提供しよう」というのが『楽天市場』のコンセプトです。

『楽天市場』というサービスは、私ども楽天のスタッフ、利用される一般ユーザーの方、出店者さま、この3つの関係性の中で運用しています。どの事業やサービスにおいても徹底している目標に「昨対比」という指標があります。この指標は同じように出店店舗様にも共有し、楽天というサービスに関わるすべての事業が同じように成長率をみて、事業成長を推進するコンセプトになっているのです。

事業規模を、例えば月商という売上規模で見ると波があるので、成長率で見るのです。売上に関してもそうですし、サイトのページビュー、ユニークユーザー数、こういった部分の数字に関しても、すべて「昨対比」という指標を達成しようと、日々動いています。2007年の年間の流通総額は5,369億円でした。注文件数にすると、0.4秒に1回お買い物されているサイトです。

私の肩書きの中にある編成部という組織は、『楽天市場』のトップページからその下の階層すべてを統括していて、どんなユーザビリティをどういうふうに提供するかを考えるところです。

該当講座

楽天市場のオンラインマーケティング戦略のポイント
~大型インターネットショッピングモールの成長の軌跡~
黒坂三重 (楽天株式会社 楽天市場事業ビジネスユニット 執行役員編成部 部長 兼 楽天市場第四部 部長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

1997年5月のサービス開始から、またたく間に国内を代表するインターネットショッピングモールに成長した楽天市場。その躍進の陰には、出店者と消費者の方々へ向けた、緻密なマーケティング戦略の立案と、不断の実行が重要なポイントとして挙げられます。これまでのおよそ10年間に楽天市場が歩んできた道のりは、まさ....


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