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楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」

更新日 : 2008年05月14日 (水)

第1章 野球ビジネスに出会うまで

米倉誠一郎_島田亨

米倉誠一郎: 今、日本も音を立てて変わっているなという気がします。サブプライムの影響は日本だけじゃないですから、日本企業、銀行などが頑張って日本の省エネルギー技術とか、新しいディメンションを開いていく大チャンス。特に若いみなさんには活路を見出してほしい。

球団経営にも新しい人たちが出てきました。1年目で黒字なんか達成できるわけがないと言われた弱小球団を黒字にした島田さん。彼が手掛けてきたことには、ちゃんと論証があって、しかも結果が出てきている。こういう会社が今の時代をつくっているんじゃないだろうか。伝説の営業マンで、日本のビジネスの開拓者の一人が、新しいスポーツ・ビジネスにチャレンジしているというのは非常にエキサイティングで、我々が同時代の目撃者になれるというのはすばらしいことだと思っています。

島田亨: 今年(2008年)1月1日に球団のオーナーに就任して、今日初めてオーナー会議に出てきました。今日は、野球ビジネスについて、これまでどういうことをやってきたのかをお話しさせていただきたいと思っています。

わたしは昭和40年の3月生まれ。大学を卒業して、最初に『リクルート』に入りました。後に『ぴあ』の社長になった坂本健さん(※編注:2008年4月現在、取締役 専務執行役員)がリクルートの広報室にいて、杉並区の中学校でおもしろい企画を打ち出している藤原和博さんは、当時同じ事業部の部長さんでした。2年たったところで、今『USEN』社長の宇野さんらと『インテリジェンス』という会社を設立し、会社が上場した1年後に退任しました。それから、宇野さんの依頼でカラオケメーカーの経営をやりました。40年ぐらい前にできたメーカーなんですが、そこで「古い組織というのはちゃんと根回しをして戦わなきゃいけないんだな」ということを1年半で経験させていただいたことが、球団の経営に大変役立っています。


その後、個人投資家になりました。当時新興市場ができて、会社が上場することによって創業者がキャピタルゲインを得ていたのですが、デイトレーダー ではなく、若い経営者を支援していました。自分自身の約束事としては、人のお金を預からないで全部手金でやる。それからIPO(※編注:Initial Public Offering=株式公開)を目標にしないで、営業利益をしっかり出して株主に配当できる会社をつくっていくということを基本運営に、通算4年間で25 社ぐらいの会社をつくりました。これは、わたしなりの社会還元活動という位置付けでした。

わたしが投資しているデジタルコンテンツをダウンロードするサービス会社を『楽天』が買収したことから、三木谷と仕事上の関係ができ始めました。最 初は楽天カップというゴルフコンペのレギュラーで親交を深めていましたが、2004年のたしか10月の4日か5日だったと思いますが、三木谷から直接電話 がありました。単刀直入な方で「お久しぶりですね」と言っただけで、その後に「野球やりませんか?島田さん」と言われまして、最初は来週やるのかな?みた いな話だったんですけど(笑)。それから2週間ほど時間をいただいていろいろ考えて、三木谷とも相談して、まず11月1日から楽天野球団の副社長として入り、11月2日に新規参入が認められ、その1カ月後に代表取締役として現職に就き、今に至っています。

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該当講座

楽天イーグルス島田亨社長に聞く「経営の本質」
「野球・感動・夢」をビジネスにするマネジメントとリーダーシップ
島田亨 (株式会社楽天球団代表取締役社長)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

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