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「モバゲータウン」の強さとは

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2008年08月15日 (金)

第5章 DeNAの開発環境とこれから

畑村匡章: 当社には、アフィリエイトサービスなど、公式サイト以外のビジネスを展開するためのノウハウがかなり蓄積されていました。企画を進める場合、当社では、企画1人、広告1人、技術者1人の少人数でプロジェクトを立ち上げることが多く、『モバゲータウン』もチームの技術者が3カ月弱でつくったものです。ゲーム、サーバー、アプリケーション周りから、アバターの着せ替えの仕組みなど、全部1人でつくりました。こうした優秀な技術者の存在という、恵まれた環境がありました。

『モバゲータウン』はキーファクターを設定し、「そこがクリアできなければ撤退しよう」と考えていました。ビジネスのスパンは3カ月ぐらいで考えていますが、『モバゲータウン』も開発に3カ月、実際にサービスインしてから3カ月ぐらいの短いスパンで事業の見極めをして、「成功すれば投資しよう」というわけです。

「企画時点でどこまで考えていたのか?」ということも最近よく聞かれるのですがゲームとコミュニティを成長ドライバーにして、総合ポータルまで持っていきたいということは、最初から考えていました。ポータル化にあたっては、ユーザーのアクティビティが非常に高いのでどんどん投資していこうと、かなりテンポが早い状態です。

すでに約900万人の会員がいる中、これをゲームだけで留めておくのは惜しい、という話があります。広告は売上げを立てるのに重要な要素ですが、もともと『ビッダーズ』というサイトを展開していた我々は、ここで集まった会員をEC(※編注:Electronic Commerce=電子商取引)に誘導したり、『モバゲータウン』を経由していろいろなコンテンツで遊んでいただき、そこである程度のコンテンツの収益を得たり、といったこともこれから展開したいと思っています。

いろいろな分野のコンテンツを追加していこうと、すでにいくつかをリリースしています。昨年(2007年)の冬に自社で開発した「検索」も軌道に乗ってきたので、トップページに検索モードを出すようにしました。一番の強みは、会員の属性情報がとれているということです。この人たちがどういったものを検索していくのか、どんどんクエリー数を積み上げられると考えています。

昨年(2007年)夏にリリースした『マスター・オブ・ファンタジア』というゲームは、キャラクターが3Dで動く、PCでよく遊ばれているコンテンツに近い形なのですが、同時に4人でパーティを組んで強い敵を倒していくとき、チャットができるようになっています。また、クレジットカードを使ってアイテムを買えるなど、パソコンで展開されているようなビジネスモデルが携帯でも展開できるようになってきています。