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撮って、残して、味わって。

写真家・川島小鳥が語る「写真を撮る理由」

更新日 : 2016年04月27日 (水)

第8章 目の前にある「現実」をそのまま残す


 
写真は僕のすべて

古川誠: 小鳥さんは今後、どのような写真を撮っていきたいですか?

川島小鳥: 『明星』をつくるのに3年かかったこともあり、今は一区切りというか、何も考えていませんが……。できることなら 、映像もやりたい。

古川誠: いよいよ映画監督という、最初の夢に戻っていく。

川島小鳥: 本格的に、というわけではなく、それが1つの肥やしになり、新しい作品につながるのかなと。

古川誠: 例えば、どのような映像が撮りたいですか?

川島小鳥: まだはっきりしていませんが、例えばPV。台湾のアーティストなどのPVなど。

古川誠: 小鳥さんの視点からどのような映像が生まれるのか、とても楽しみです。次は本日最後の質問となりますが、小鳥さんにとって写真とは? 冒頭でも同じ質問をしましたが、ここまで話されてきた中で、新たに見えてきたものもあると思います。

川島小鳥: 写真とは……僕のすべて。そして、写真に会えて良かった。



古川誠: 以前、小鳥さんと話していた時に「カメラを構えると、勇気がわいてくる」と言われていましたが、もしも写真と出会っていなかったら?

川島小鳥: もっと悩みの多い人生だったかもしれません。写真があったからこそ、僕は人や社会とつながっていられるのだと思います。

古川誠: 小鳥さんの場合、別の形でも表現活動をしていたはずだと思いますが。

川島小鳥: どうでしょう……。写真は、目の前にある「現実」がそのまま残ります。それが、僕にとってちょうどいい感じ。色々とつくり込むことのできる文章や絵とは、まったく違うというか。

古川誠: たしかにそうですね。「いい写真が撮れると眠たくなる」とも言われていましたが、そうした時はいい気分になっている?

川島小鳥: やりたいことをやり、それで楽しくなれるのが一番幸せだから。

古川誠: なるほど。皆さんもぜひ、小鳥さんのこだわりがつまった新しい写真集『明星』をご覧いただき、色々なことを感じてほしいと思います。小鳥さん、最後にひと言いただけますか?

川島小鳥: 本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございました。(了)


気づきポイント

●写真家・川島小鳥がきりとるのは、いつも目の前にある普通の日常。
●写真の良さは、被写体だけでなく、撮影した当時の“自分”もその中に残せること。
●誰かをガッカリさせる写真集はつくりたくない。だから、本のつくりまでトコトンこだわる。

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撮って、残して、味わって。すると何が見えますか?
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写真集「未来ちゃん」後、待望の最新写真集を発売する川島さんと、オズマガジン編集長が、写真を「残すこと、味わうこと」について語ります。


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