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撮って、残して、味わって。

写真家・川島小鳥が語る「写真を撮る理由」

更新日 : 2016年04月06日 (水)

第2章 ありふれた日常が撮りたい

古川誠(オズマガジン編集長)

 
映画から写真の世界へ

古川誠: そもそも、小鳥さんが写真を撮り始めたきっかけは?

川島小鳥: 僕は元々、映画が大好きで、高校生の頃は毎日のように映画館やビデオで映画を観ていました。当時の夢は映画監督でしたが、何から勉強すればいいのかわからなかった。同じビジュアルの芸術ということで、まずは写真で練習しようと撮り始めたのがきっかけです。そして、大学に進み、映画サークルに入ろうとしましたが、そこではたと「自分は集団で何かをやることに向いていない」と気づいてしまって……。

古川誠: あはは(会場笑)。

川島小鳥: 夏は合宿に行き、みんなで一緒に映画を撮るなんて、絶対に無理だな、と。それでサークルに入らず、1人で写真を撮り続けていました。とはいえ、その時にはもう、純粋に写真が大好きになっていました。大学では文学部にいたため、写真について専門的に学ぶこともなく、「いいな」と感じた人やもの、好きなシーンをひたすら自由に撮っていました。

古川誠: その頃はもう、「将来は写真の道に進もうかな」と考えていた。

川島小鳥: はい。

古川誠: その後、ポエムグラファー(写真家詩人)として活躍されている沼田元氣さんと出会うわけですね。

川島小鳥: 僕が撮りたかったのは、いわゆる写真家っぽい写真でもなく、テーマ性の強いものでもなかった。もっとふわふわした、ばかにされちゃいそうなもの、弱々しいものでした。そうした時に、沼田元氣さんの存在を知りました。沼田さんは肩書きも多彩で、自由で……。つまり、僕にとって沼田さんは、さん然と輝く「希望」でした。学生の頃から展覧会などに行き、写真も撮り続けていましたが、ふと気がつくと、周りでは就職活動が始まっていました。

古川誠: 出遅れてしまった?

川島小鳥: いえ、まったくしていませんでした。卒業直前の2月になり、見かねた友人が「写真がやりたいなら、知り合いの写真スタジオでアシスタントになれば?」と紹介してくれて、面接に行ったら受かってしまい、すぐに仕事の日々が始まりました。力仕事も多く、毎日が本当にハードで、「働くって結構大変だな」と感じていました。

そんなある日、友達とライブを観に行ったところ、たまたまお客さんとして来ていた沼田さんと出会いました。思い切って話しかけると、後日、「今度手伝いに来ない?」とお手紙をいただき、そこから4、5年ほどお手伝いしました。本当に色々なことを学ばせてもらいましたね。

古川誠: その出会いがあったからこそ、今の川島小鳥があるわけですね。撮りたいものとして「ふわふわした、弱いもの」というテーマが生まれたのはなぜでしょう?

川島小鳥: 「ふわふわした、弱いもの」がテーマではなく……。うまく言えないのですが「どうだ!」という写真ではない。普通の写真というか、いつも目の前にある普通の日常が撮りたい。

古川誠: なるほど。常にカメラを持ち歩いている理由も、そこにあると。


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撮って、残して、味わって。すると何が見えますか?
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写真集「未来ちゃん」後、待望の最新写真集を発売する川島さんと、オズマガジン編集長が、写真を「残すこと、味わうこと」について語ります。


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