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DNAから読み解く生命の不思議

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更新日 : 2015年06月24日 (水)

第2章 生き物に共通する3つのポイント


 
細胞、自己保存、遺伝

佐々木浩: 私達は、大きさや形がまったく違うのに、シロナガスクジラも微生物も、すべて「生き物」と呼んでいます。そもそも、生き物とは何なのでしょう? 実は、生き物には共通する3つのポイントがあります。

1つ目は「細胞」です。シロナガスクジラも微生物も、すべての生き物はとても小さな細胞が寄り集まってできています。ちなみに、人間の体は60兆~100兆個ほどの細胞でできています。細胞の中には「核」と呼ばれるものが入っており、核の中には23対46本の染色体があります。染色体の半数の23本はお父さんから、残り半数の23本はお母さんから受け継いだものです。そして、1つひとつの染色体の中に詰まっているもの、それがDNAです。

2つ目は「自己保存」です。例えば、皆さんが食事を通じて身体に取り込んだ栄養は、骨や筋肉などを作る様々な物質に生まれ変わります。そして、古くなった物質は捨てられ、新しく元気なものへと入れ替わります。3年間で全身の90%以上が入れ替わると言われていますが、中身が入れ替わったとしても、3年前の自分と現在の自分は、別人になっていないはず。身体の中に色々なものを取り込んでも、見た目はほとんど変わらない。それが2つ目のポイントであり、専門的には「総体として自己保存している」と表現します。

3つ目は、親の特徴を子どもに受け継いでいく「遺伝」です。皆さんがお父さんやお母さんに似ているのも、遺伝のおかげです。カエルやエンドウマメも同じ。生き物は自分自身の特徴、形、色などを次世代に受け継いでいく能力を持っており、しかも、それを何度も繰り返すことができます。

細胞でできており、総体として自己保存しており、自分の特徴を子どもに受け継いでいくことができる。それが、生き物に共通する3つのポイントです。
DNAのルール

佐々木浩: なぜ、親の特徴が子どもにも受け継がれていくのかと言えば、それはDNAがあるからです。DNAは「二重らせん」と呼ばれる特徴的な形をしています。らせん状にひねった鎖状の2本のひもの間に階段がついていますが、この階段はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)というたった4種類の「塩基」という物質から作られています。

もう1つ、DNAには重要な特徴があります。先ほどの階段は、2種類の塩基がくっつくことで1段分になりますが、ある側にAがきたら、必ず反対側はTになる。ある側にGがきたら、必ず反対側はCになる。TがきたらAになり、CがきたらGになる。

実はこの階段は、必ずA→T、G→C、T→A、C→Gというコンビになる、というルールに基づいて作られています。


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