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為末大の「自分軸」のつくりかた

軸が決まれば、自分の存在を最大化できる

カルチャー&ライフスタイルキャリア・人文化グローバル
更新日 : 2013年05月14日 (火)

第7章 「自分」という可能性を最大化する

為末大(元プロ陸上選手)

 
志を持てば、手段に拘らなくなる

為末大: アスリートは引退間際になると、「この先、自分には芽があるのか、ないのか」という葛藤を抱えます。僕自身もそうした葛藤はありましたが、実際に引退を決意した時は、自分でも意外なほどすんなりと決断できました。それは、心の奥にあった「自分が本当にしたいこと」が、競技人生の最後の数年間のうちに、ぼんやりながらも見ることができたからです。

僕は子どもの頃からとても足が速くて、運動会で走っていると、応援に来ていた大人たちはみな驚いた声をあげていました。それが僕の原点のような気がしています。ハードルに打ち込んでいた時も、根底には、自分の走りで人々をビックリさせたいという気持ちがありました。

いまは、ハードルとは別の方法で、世の中がビックリするようなことをやってみたい。そんな思いでいます。競技人生は終わったけれど、次はどの手段でそれを実現しようか、などと、前進できるのだと思います。

「自分軸」の根幹をなす高い志を持つと、手段への拘りがなくなっていき、やがて「マジョリティの評価」からも適度な距離を置けるようになっていきます。そして、すべての考えや行動が、この志に一致するかどうかで判断、選択できるようになれば、自ずと「自分軸」も確立できるのではないでしょうか。

人生は有限である

為末大: 僕の考える「自分軸」とは、「自分という存在の可能性を最大化する」ことと同義です。僕の場合、もしかするとその最適な手段はハードルではなかったかもしれません。しかし、僕は自分の価値観の中で「これで行こう」と決め、走ってきたのでまったく悔いはありません。引退した現在は、競技生活から得た経験や思考を客観的に振り返り、次の人生に向けたリソースとしながら、自分の可能性を最大化していこうとしています。

当たり前のことですが、人生は有限です。人間はどうしたって、いつかは死んでしまいます。どこかのタイミングで「自分軸」を基準にしながら物事に踏ん切りをつけ、次のことにチャレンジしていく。そういうことを繰り返していけば、人生はより豊かなものになると考えています。

「成功=勝利」の条件とは何か

為末大: 「成功=勝利」の条件とは何か。僕自身の経験をもとにお話ししてきました。みなさんの「成功=勝利」の条件とは、それぞれが「自分軸」をつくった先に見えてくるものだと思います。最後にもう1つ。「マジョリティの評価」は流行に左右されやすく、とても不確かなもの。だからこそ、意識しながらも客観的に見て、適度な距離を置くことが重要になると思います。

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該当講座

自分軸で挑む~21世紀“個の時代”に必要なこと~
為末大 (Deportare Partners代表)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)

為末大氏×竹中平蔵氏
選択肢が広がり、価値観も多様化する今の時代、後悔しないため、よりよく生きるためにも、既成概念にとらわれることなく、自分の価値基準を持ち、自分で判断することが大切ではないでしょうか。『走る哲学』、『走りながら考える』等の著書を出版し、twitterでは14万以上のフォロアー、そして「為末大学」を立ち上げる等、常に自身の考えを発信し続ける為末氏に、「自分の軸を持つ」とは何かをお話いただきます。


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