記事・レポート
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略
~森川亮氏に聞く、スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営~
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年12月04日
(火)
第6章 激変するIT業界で生き残るには「いい加減さ」が必要
神原弥奈子: 先ほど、スマートフォン用アプリのダウンロード数が1億を超えたとおっしゃっていましたが、NHN Japanさんのスマートフォンへの取り組みは非常に早かった印象があります。森川さんはスマートフォンのどういったところに可能性を感じたのでしょうか?
森川亮: スマートフォンは、世の中に出たときの初動速度が、今までとは全く違いましたよね。おそらく今まで出た端末の中で、一番成長が早かったのではないでしょうか。「スマートフォンの時代が来るんだ」と感じました。ただ「いつ儲かるかわからない」ということから、二の足を踏んだ企業が多かったような気がします。
神原弥奈子: 例えば過去にポータルで成功していると、その成功体験が邪魔になって組織として動けないことがあると思います。NHN Japanさんの場合は、「スマートフォンにシフトするぞ!」と森川さんが号令を出して各事業をスタートしたのでしょうか。
森川亮: そうですね。とにかく「スマートフォンでNo.1になろう」「スマートフォンの会社になろう」と話しました。僕らはその前のフィーチャーフォンのときに、うまくいかなかったんですよ。“PCの会社だ”というのがあったので。だからスマートフォンのときには「スマートフォンの会社と呼ばれるようになろう」と話しました。
神原弥奈子: フィーチャーフォンの失敗に学んで、スマートフォンのときは早め早めに手を打ったのですね。
そのような大きな号令を出すとき、森川さんが注意していることはありますか? 今までやっていたことと違うことにチャンレンジするというのは、会社としても、スタッフ個々人の気持ちとしても難しい部分があったと思うのですが。
森川亮: 一番大事なことは「やらないことを決めること」ですね。例えば「PCのサービスは、これとこれはもうやっちゃいけない」と言うと、その担当者の仕事がなくなるじゃないですか。そうすると、何かやらなきゃいけないですよね。じゃないと会社を辞めざるを得ないので。こうして、先ずはやめるところから始めました。
神原弥奈子: 「LINE」のような爆発的なヒットを生む企業文化について伺いたいのですが、例えばリクルーティングのときに、森川さんは会社の特徴としてどんなことをお話になるのでしょうか。
森川亮: 「いい加減な会社です」と言っています(笑)。事業計画なんてあってないようなもので、常に変わるので。財務上の計画はありますが、これも計画通りにはやりません。常に変化するので、まじめな人にとっては結構しんどいかもしれませんね。
神原弥奈子: 採用のポイントは「まじめじゃない人、遊びのある人」みたいな感じですか?
森川亮: いい加減な人であることが大事ですね。
神原弥奈子: そういう部分が、森川さんご自身の中にもあるということですか?(笑)
森川亮: 本当にいい加減だと困るのですが(笑)、ITの世界では、昨日まで正しかったものが、翌日には間違いになることも多いし、何が成功するかわからないですからね。社員が「昔、社長がこう言ったから」とか「こう言ったのに」というスタンスだと、僕が何か言うことのリスクが高くなってしまいます。だから一番いいのは「社長の言うこともわかるけれど、俺たちはこう思うよね。社長の考えも変わるし……」程度に思われることですね。
大きくなった会社の一番のリスクは「変化に弱いこと」なんです。何か先を読んでやるより、「変わった瞬間、変われるか」のほうが重要です。ある意味、無責任じゃないと、変われません。「5年やったんだから、あと1年やらせてくれ」とか、「あいつと約束したから。人間関係があるから、もう少しやりたい」みたいなことがあると、変われないじゃないですか。そこはある意味、無責任に、「変わっちゃったから変えよう!」となれることが重要です。それが企業文化としてあると思います。
神原弥奈子: 変化に対して柔軟であるというのは、これまでの一般的なマネジメントスタイルとは全く違いますね。
森川亮: ITの世界は、変わることができればある程度生き残れると思います。問題は、変化があったときに急カーブを切れるかどうかだと思います。だから、みんなを新しいほうに向かせることが僕の重要な役割だと思っています。
森川亮: スマートフォンは、世の中に出たときの初動速度が、今までとは全く違いましたよね。おそらく今まで出た端末の中で、一番成長が早かったのではないでしょうか。「スマートフォンの時代が来るんだ」と感じました。ただ「いつ儲かるかわからない」ということから、二の足を踏んだ企業が多かったような気がします。
神原弥奈子: 例えば過去にポータルで成功していると、その成功体験が邪魔になって組織として動けないことがあると思います。NHN Japanさんの場合は、「スマートフォンにシフトするぞ!」と森川さんが号令を出して各事業をスタートしたのでしょうか。
森川亮: そうですね。とにかく「スマートフォンでNo.1になろう」「スマートフォンの会社になろう」と話しました。僕らはその前のフィーチャーフォンのときに、うまくいかなかったんですよ。“PCの会社だ”というのがあったので。だからスマートフォンのときには「スマートフォンの会社と呼ばれるようになろう」と話しました。
神原弥奈子: フィーチャーフォンの失敗に学んで、スマートフォンのときは早め早めに手を打ったのですね。
そのような大きな号令を出すとき、森川さんが注意していることはありますか? 今までやっていたことと違うことにチャンレンジするというのは、会社としても、スタッフ個々人の気持ちとしても難しい部分があったと思うのですが。
森川亮: 一番大事なことは「やらないことを決めること」ですね。例えば「PCのサービスは、これとこれはもうやっちゃいけない」と言うと、その担当者の仕事がなくなるじゃないですか。そうすると、何かやらなきゃいけないですよね。じゃないと会社を辞めざるを得ないので。こうして、先ずはやめるところから始めました。
神原弥奈子: 「LINE」のような爆発的なヒットを生む企業文化について伺いたいのですが、例えばリクルーティングのときに、森川さんは会社の特徴としてどんなことをお話になるのでしょうか。
森川亮: 「いい加減な会社です」と言っています(笑)。事業計画なんてあってないようなもので、常に変わるので。財務上の計画はありますが、これも計画通りにはやりません。常に変化するので、まじめな人にとっては結構しんどいかもしれませんね。
神原弥奈子: 採用のポイントは「まじめじゃない人、遊びのある人」みたいな感じですか?
森川亮: いい加減な人であることが大事ですね。
神原弥奈子: そういう部分が、森川さんご自身の中にもあるということですか?(笑)
森川亮: 本当にいい加減だと困るのですが(笑)、ITの世界では、昨日まで正しかったものが、翌日には間違いになることも多いし、何が成功するかわからないですからね。社員が「昔、社長がこう言ったから」とか「こう言ったのに」というスタンスだと、僕が何か言うことのリスクが高くなってしまいます。だから一番いいのは「社長の言うこともわかるけれど、俺たちはこう思うよね。社長の考えも変わるし……」程度に思われることですね。
大きくなった会社の一番のリスクは「変化に弱いこと」なんです。何か先を読んでやるより、「変わった瞬間、変われるか」のほうが重要です。ある意味、無責任じゃないと、変われません。「5年やったんだから、あと1年やらせてくれ」とか、「あいつと約束したから。人間関係があるから、もう少しやりたい」みたいなことがあると、変われないじゃないですか。そこはある意味、無責任に、「変わっちゃったから変えよう!」となれることが重要です。それが企業文化としてあると思います。
神原弥奈子: 変化に対して柔軟であるというのは、これまでの一般的なマネジメントスタイルとは全く違いますね。
森川亮: ITの世界は、変わることができればある程度生き残れると思います。問題は、変化があったときに急カーブを切れるかどうかだと思います。だから、みんなを新しいほうに向かせることが僕の重要な役割だと思っています。
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略 インデックス
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第1章 FacebookやTwitterを凌ぐ勢いの「LINE」を生んだNHN Japan
2012年11月26日 (月)
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第2章 ウェブサービスとオンラインゲームの開発から運営まで手掛ける
2012年11月27日 (火)
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第3章 ポータルサイトは、なくなる
2012年11月29日 (木)
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第4章 インターネットの本質はメール
2012年11月30日 (金)
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第5章 ユーザーに長く愛されるゲームのポイントは、お金と努力
2012年12月03日 (月)
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第6章 激変するIT業界で生き残るには「いい加減さ」が必要
2012年12月04日 (火)
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第7章 「LINE」の命はリアルな電話帳~SNSは人間関係~
2012年12月06日 (木)
-
第8章 携帯電話に学ぶ普及ポイント~付加価値より基本の価値~
2012年12月07日 (金)
該当講座
「日本発、世界」を視野にいよいよ動き出したNHN Japan トップ森川亮氏に聞く経営戦略
~スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営とは~
森川亮 (NHN Japan 株式会社 代表取締役社長)
「ハンゲーム」、「NAVERまとめ」など次々にヒットを生み出すNHN Japan。代表の森川氏にソーシャル、そしてスマートフォン時代に経営者として、今後どのように舵をきっていくのか、その戦略に迫ります。サービスのマネタイズ化、競争の激しいネット業界での人材の確保、海外企業との提携など今後のグローバル展開や、ソーシャルゲーム業界の課題を含めた、国内外ネット業界全体の“いま”についてもお話頂きます。
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