記事・レポート
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略
~森川亮氏に聞く、スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営~
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年11月26日
(月)
第1章 FacebookやTwitterを凌ぐ勢いの「LINE」を生んだNHN Japan
FacebookやTwitterを凌ぐ勢いで拡大中の、和製スマホアプリ「LINE」。その生みの親であるNHN Japanは、多くの企業がスマートフォンやソーシャル対応に遅れてマネタイズに苦戦する中、存在感を増しています。トップを務める森川亮氏に、激動するIT業界で長期的に成功するサービスを生み出す経営手法について伺います。
ゲスト講師 :森川亮(NHN Japan 株式会社 代表取締役社長)
モデレーター:神原弥奈子(株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役社長)
神原弥奈子: NHN Japanの森川さんは、オンラインビジネスセミナーのゲストとして今回が2度目のご登壇になります。同じ方をゲストとしてお迎えすること自体、非常に珍しいのですが、同じ会社・同じ肩書で2回ご登壇いただくのは森川さんが初めてになります。
1度目は2010年でした。あれから2年経ち、ソーシャルメディアの時代に変わった今なお、オンラインビジネスの最前線でご活躍されている森川さんに、長期的に成功するサービスを生み出す経営手法と視点について伺いたいと思います。
森川亮: 最初に、会社とサービスの紹介をします。私どもNHN Japanは、韓国最大のインターネット企業の日本法人として、2000年9月に設立されました。もともとNHNの主な事業はオンラインゲームの「ハンゲーム」と検索ポータルの「NAVER」ですが、この2つはもともとは別々の会社でした。
2つの事業の日本法人は私が入社した2003年に合併し、その後日本の「NAVER」は一旦サービスをやめていましたが、(森川氏が社長に就任した)2007年に再び別会社としてスタートしました。2010年にはライブドアがグループに加わり、それぞれ別々の会社だったところを今年(2012年)に入って1つの会社に統合しました。現在では「ゲーム・検索・ポータル・コミュニケーション」の4つの事業を展開しています。
3年ほど前からスマートフォンにフォーカスしていて、これが幸い順調に伸びて、NHN Japanが提供するスマートフォンアプリだけで、累計ダウンロード数は1億を超えています(※2012年8月現在)。その主力が2011年6月にサービスを開始した無料通話・無料メールスマートフォンアプリの「LINE」です。このアプリの一番の特徴は、メッセージが簡単に早く送れることです。これに絵文字で気持ちを伝える「スタンプ」機能や、無料通話機能を加えた結果、大きく伸びました。今は動画や音声メッセージも送れます。
「LINE」は社員の口コミなどの紹介から始めて、その後中東でブームが起きました。今では世界約230カ国で利用されていて、26カ国のApp Storeで無料アプリランキング1位を獲得しています。国内ではスマートフォンユーザーの約44%が利用していると言われています(※2012年3月時点)。登録ユーザー数は全世界で6,500万人で、毎月600万人ずつ増えています(※2012年10月現在)。目標は2012年内に1億ユーザーです。
スマートフォン時代になってから、成長のスピードが急激に早くなったと感じていて、実際、「LINE」は国内のどのSNSと比べても成長が早く、サービス開始から399日で5,000万人を突破しました。関連アプリも早いスピードで伸びていて、例えば写真共有アプリの「LINE Camera(ラインカメラ)」は、「Instagram(インスタグラム)」の3倍ぐらいの速さで1,000万ダウンロードを達成しました。また、「スタンプ」(絵文字)の一部有料化や、企業の「公式アカウント」のタイアップなどは収益モデルの柱となり、事業の基盤としても伸びています。
スマートフォンのサービスは、PCや携帯電話のサービスとは大きく違うと感じています。これまでユーザーは、必ずトップページから入ってきて、そこに並んでいる順番にたどってサービスを利用していたのですが、スマートフォンになってからは、アプリ同士が有機的につながる形に変わってきました。広告市場が苦戦しているのは、広告媒体として強いトップページがなくなったからではないでしょうか。
今後、私たちは、LINE上で繋がっている友人と一緒に楽しめるアプリやサービスを集約したプラットフォームサービス「LINE Channel」を構築していきますが、ここでのサービスは、アプリ同士がどう有機的につながるのか、人のネットワークがどう有機的な意味をつくれるのか、といったものを考えて展開していくつもりです。イメージとしては、ポータルというよりは、コンテンツやサービスやマーケティングの1つのゲートウェイとしてつないでいくような役割になりたいと思っています。具体的には、ゲーム、占い、小説、クーポン、音楽などのサービスを準備しています。
1度目は2010年でした。あれから2年経ち、ソーシャルメディアの時代に変わった今なお、オンラインビジネスの最前線でご活躍されている森川さんに、長期的に成功するサービスを生み出す経営手法と視点について伺いたいと思います。
森川亮: 最初に、会社とサービスの紹介をします。私どもNHN Japanは、韓国最大のインターネット企業の日本法人として、2000年9月に設立されました。もともとNHNの主な事業はオンラインゲームの「ハンゲーム」と検索ポータルの「NAVER」ですが、この2つはもともとは別々の会社でした。
2つの事業の日本法人は私が入社した2003年に合併し、その後日本の「NAVER」は一旦サービスをやめていましたが、(森川氏が社長に就任した)2007年に再び別会社としてスタートしました。2010年にはライブドアがグループに加わり、それぞれ別々の会社だったところを今年(2012年)に入って1つの会社に統合しました。現在では「ゲーム・検索・ポータル・コミュニケーション」の4つの事業を展開しています。
3年ほど前からスマートフォンにフォーカスしていて、これが幸い順調に伸びて、NHN Japanが提供するスマートフォンアプリだけで、累計ダウンロード数は1億を超えています(※2012年8月現在)。その主力が2011年6月にサービスを開始した無料通話・無料メールスマートフォンアプリの「LINE」です。このアプリの一番の特徴は、メッセージが簡単に早く送れることです。これに絵文字で気持ちを伝える「スタンプ」機能や、無料通話機能を加えた結果、大きく伸びました。今は動画や音声メッセージも送れます。
「LINE」は社員の口コミなどの紹介から始めて、その後中東でブームが起きました。今では世界約230カ国で利用されていて、26カ国のApp Storeで無料アプリランキング1位を獲得しています。国内ではスマートフォンユーザーの約44%が利用していると言われています(※2012年3月時点)。登録ユーザー数は全世界で6,500万人で、毎月600万人ずつ増えています(※2012年10月現在)。目標は2012年内に1億ユーザーです。
スマートフォン時代になってから、成長のスピードが急激に早くなったと感じていて、実際、「LINE」は国内のどのSNSと比べても成長が早く、サービス開始から399日で5,000万人を突破しました。関連アプリも早いスピードで伸びていて、例えば写真共有アプリの「LINE Camera(ラインカメラ)」は、「Instagram(インスタグラム)」の3倍ぐらいの速さで1,000万ダウンロードを達成しました。また、「スタンプ」(絵文字)の一部有料化や、企業の「公式アカウント」のタイアップなどは収益モデルの柱となり、事業の基盤としても伸びています。
スマートフォンのサービスは、PCや携帯電話のサービスとは大きく違うと感じています。これまでユーザーは、必ずトップページから入ってきて、そこに並んでいる順番にたどってサービスを利用していたのですが、スマートフォンになってからは、アプリ同士が有機的につながる形に変わってきました。広告市場が苦戦しているのは、広告媒体として強いトップページがなくなったからではないでしょうか。
今後、私たちは、LINE上で繋がっている友人と一緒に楽しめるアプリやサービスを集約したプラットフォームサービス「LINE Channel」を構築していきますが、ここでのサービスは、アプリ同士がどう有機的につながるのか、人のネットワークがどう有機的な意味をつくれるのか、といったものを考えて展開していくつもりです。イメージとしては、ポータルというよりは、コンテンツやサービスやマーケティングの1つのゲートウェイとしてつないでいくような役割になりたいと思っています。具体的には、ゲーム、占い、小説、クーポン、音楽などのサービスを準備しています。
「日本発、世界」を視野に動き出したNHN Japanの経営戦略 インデックス
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第1章 FacebookやTwitterを凌ぐ勢いの「LINE」を生んだNHN Japan
2012年11月26日 (月)
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第2章 ウェブサービスとオンラインゲームの開発から運営まで手掛ける
2012年11月27日 (火)
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第3章 ポータルサイトは、なくなる
2012年11月29日 (木)
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第4章 インターネットの本質はメール
2012年11月30日 (金)
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第5章 ユーザーに長く愛されるゲームのポイントは、お金と努力
2012年12月03日 (月)
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第6章 激変するIT業界で生き残るには「いい加減さ」が必要
2012年12月04日 (火)
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第7章 「LINE」の命はリアルな電話帳~SNSは人間関係~
2012年12月06日 (木)
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第8章 携帯電話に学ぶ普及ポイント~付加価値より基本の価値~
2012年12月07日 (金)
該当講座
「日本発、世界」を視野にいよいよ動き出したNHN Japan トップ森川亮氏に聞く経営戦略
~スマホ&ソーシャル時代を勝ち抜く経営とは~
森川亮 (NHN Japan 株式会社 代表取締役社長)
「ハンゲーム」、「NAVERまとめ」など次々にヒットを生み出すNHN Japan。代表の森川氏にソーシャル、そしてスマートフォン時代に経営者として、今後どのように舵をきっていくのか、その戦略に迫ります。サービスのマネタイズ化、競争の激しいネット業界での人材の確保、海外企業との提携など今後のグローバル展開や、ソーシャルゲーム業界の課題を含めた、国内外ネット業界全体の“いま”についてもお話頂きます。
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