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WANTED! 求むリーダー

~リーダーシップの本質を明らかにする本を紹介します~

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2012年10月25日 (木)

第5章 目配り・気配りのリーダーシップ論

六本木ライブラリー ブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: リーダーシップ論の本をいろいろと調べていると<EQリーダーシップ>論に出会います。前掲の『リーダーの器は「人間力」で決まる』もそうでしたが、他に『EQリーダーシップ』(ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツィス、アニー・マッキー)、『どんな逆境でもダントツの成果を出す6つの「自分戦略」』(安部徹也)、『なぜリーダーは「失敗」を認められないのか』(リチャード・S・テドロー)などがそうです。

ゴールマンは2011年に15刷が出版されていますから、よく読まれていると推察されます。彼はEQを、自分の想いや考えなどを確認すると同時に他の人のそれも確認し、その上で自分の想いをコントロールしつつ、その人たちとの関係をうまく維持する能力のこと、と定義しています。私はその説明からその用語を‘目配り、気配り’のことだと考えました。著者はその指数とリーダーシップの関係、さらにビジネス成功の関係を約4千人にも及ぶ欧米企業幹部を実証的に分析し、リーダーシップの幾つかのスタイルを特定しています。

テドローは、標題だけではこの関連の議論とはかかわりがないようですが、真実を見極めるデータ重視のEQ経営の必要性をしっかりと提唱しています。

ところでその分析結果を見ながら昨年(2011年)亡くなったスティーブ・ジョブズを思い出しました。さまざまな風聞からこの人物はEQなどということを考えもしなかったのではなかったのではと考えたからです。

ジョブズについては最近、『WHYから始めよ!』(サイモン・シネック)、『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』(ジェイ・エリオット、ウィリアム・L・サイモン)、『ジョブズは何も発明せずにすべてを生み出した』(林信行)、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ)、『スティーブ・ジョブズ』(ウォルター・アイザックソン)などが相次いで出版されました。

シネックは、ジョブズが理念と大義を掲げて人びとを巻き込み、奮起させ、感激させて仕事をさせた、と紹介しています。それをゴールマンや安部が分析したインスパイア型リーダーとなぞらえることができるならば、彼はその典型ということになるのでしょう。林は彼が、部下に選りすぐりの優秀な人材を集め、そのチームに共通のビジョン、しかもハードルの高いビジョンを与え、それを共有させることがリーダーの役割だと言っていた、と書いています。それもEQリーダーのスタイルの1つのようです。『驚異のプレゼン』はそんなときに発揮されたのでしょうか。

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