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フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント
メディア化する企業はなぜ強いのか? 小林弘人氏が解説します
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年07月31日
(火)
第8章 メディアの解釈をちょっと変えるだけで、可能性は無限に広がる
神原弥奈子: きょうは日本のソーシャルメディアの活用事例をたくさんご紹介いただきましたが、小林さんは海外の事例についてもお詳しいと思います。海外は一見進んでいる印象を受けるのですが、実はコミュニケーションやおもてなしの部分に注目すると、ソーシャルメディアの活用は日本人に向いているのではないかと私は感じているのですが、小林さんはどうお考えですか?
小林弘人: その通りだと思います。結論から言うと、日本にはソーシャルメディア・マーケティングの先進事例がたくさんあるし、ゲーム化してユーザーを巻き込んでいくゲーミフィケーションというマーケティング事例もオリジナリティにあふれています。
ただ、海外と比べた場合、日本はインフラとしてFacebookがまだ浸透していないので、そこに乖離を感じます。特に英語圏では「みんなFacebookを使っている、それは当たり前」という前提があります。実はFacebookには、日本ではまだ一部しか提供されていないソーシャル広告がいっぱいあるんです。ソーシャル広告というのは、誰かがスポットにチェックインしたら、その友達全員にそれがリアルタイムでフィードされる機能を使った広告です。
今のところ日本はFacebookを使い切れていない分、アイディアでリアルを巻き込むいいクリエイティブがたくさん生まれていますが、日本でFacebookがインフラになったとき、どれだけ海外の事例を追い抜けるか気になるところです。
神原弥奈子: 日本が進んでいる例として、ゲーミフィケーションを取り上げていらっしゃいましたが、事例をご紹介いただけますか?
小林弘人: 少し前にユニクロがやっていた、Facebook連動型の「UNIQLO LUCKY MACHINE」というピンボールはおもしろかったですね。持ち玉がなくなるとゲームができなくなって、玉を得るためには友達を誘わないといけないんですよ。それから「UNIQLOOKS」では、ストリートでユニクロの服を着こなす人を写真で紹介して、その着こなしに「いいね!」が増えると、評価の高かった人が大きくとりあげられるようになっていました。これもゲーミフィケーションで、日本の先進事例だと思います。
神原弥奈子: そうしたものは今までのマスメディアを使ったコミュニケーションとは全く違って、英語や各国語版に簡単にローカライズできるので、1つのコミュニケーションプランでグローバルをターゲットに日本からコミュニケーションしていけますよね。
小林弘人: そうなんです。海外に売り込もうと思ったら、これまではその国で告知キャンペーンや宣伝をやらなければいけなかったのですが、ウェブなら英語を用意するだけでいいんです。だから日本にこだわる必要はあまりないと思います。
メディアというと、マスメディアを思い浮かべる方が多いと思うのですが、メディアの専門家は「影響力がメディアだ」とおっしゃっていました。山から男が走りながら降りてきて「熊が出たぞー!」と叫んだら、その人がメディアです。このようにしてメディアを捉えれば、可能性がいろいろ見えてくると思います。
神原弥奈子: メディアやコミュニケーションなど、今、定義し直さなければいけないことが確かにたくさんあるような気がします。
きょうはアドボカシー・マーケティングと、企業のOwned Mediaのメディア化、そこで可能なコンテンツやコミュニケーションなど、全てがつながりとして理解できる、楽しく貴重なお話をありがとうございました。(終)
小林弘人: その通りだと思います。結論から言うと、日本にはソーシャルメディア・マーケティングの先進事例がたくさんあるし、ゲーム化してユーザーを巻き込んでいくゲーミフィケーションというマーケティング事例もオリジナリティにあふれています。
ただ、海外と比べた場合、日本はインフラとしてFacebookがまだ浸透していないので、そこに乖離を感じます。特に英語圏では「みんなFacebookを使っている、それは当たり前」という前提があります。実はFacebookには、日本ではまだ一部しか提供されていないソーシャル広告がいっぱいあるんです。ソーシャル広告というのは、誰かがスポットにチェックインしたら、その友達全員にそれがリアルタイムでフィードされる機能を使った広告です。
今のところ日本はFacebookを使い切れていない分、アイディアでリアルを巻き込むいいクリエイティブがたくさん生まれていますが、日本でFacebookがインフラになったとき、どれだけ海外の事例を追い抜けるか気になるところです。
神原弥奈子: 日本が進んでいる例として、ゲーミフィケーションを取り上げていらっしゃいましたが、事例をご紹介いただけますか?
小林弘人: 少し前にユニクロがやっていた、Facebook連動型の「UNIQLO LUCKY MACHINE」というピンボールはおもしろかったですね。持ち玉がなくなるとゲームができなくなって、玉を得るためには友達を誘わないといけないんですよ。それから「UNIQLOOKS」では、ストリートでユニクロの服を着こなす人を写真で紹介して、その着こなしに「いいね!」が増えると、評価の高かった人が大きくとりあげられるようになっていました。これもゲーミフィケーションで、日本の先進事例だと思います。
神原弥奈子: そうしたものは今までのマスメディアを使ったコミュニケーションとは全く違って、英語や各国語版に簡単にローカライズできるので、1つのコミュニケーションプランでグローバルをターゲットに日本からコミュニケーションしていけますよね。
小林弘人: そうなんです。海外に売り込もうと思ったら、これまではその国で告知キャンペーンや宣伝をやらなければいけなかったのですが、ウェブなら英語を用意するだけでいいんです。だから日本にこだわる必要はあまりないと思います。
メディアというと、マスメディアを思い浮かべる方が多いと思うのですが、メディアの専門家は「影響力がメディアだ」とおっしゃっていました。山から男が走りながら降りてきて「熊が出たぞー!」と叫んだら、その人がメディアです。このようにしてメディアを捉えれば、可能性がいろいろ見えてくると思います。
神原弥奈子: メディアやコミュニケーションなど、今、定義し直さなければいけないことが確かにたくさんあるような気がします。
きょうはアドボカシー・マーケティングと、企業のOwned Mediaのメディア化、そこで可能なコンテンツやコミュニケーションなど、全てがつながりとして理解できる、楽しく貴重なお話をありがとうございました。(終)
関連書籍
メディア化する企業はなぜ強いのか?—フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識
小林弘人技術評論社
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該当講座
メディア化する企業はなぜ強いのか?
~小林弘人氏に聞く、フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント~
小林弘人(インフォバーン代表取締役CEO)
「ワイアード」「サイゾー」などの紙媒体、「ギズモード」などのネットメディアの両方を手がけてきた、出版業界からインターネット業界にまたぐオピニオンリーダー、小林氏をゲストにお迎えします。
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