記事・レポート
「本気で志を形にしたい人へ」米倉誠一郎×髙島郁夫
日本元気塾 第3期開講プレ対談 第1弾
日本元気塾
更新日 : 2012年02月09日
(木)
第3章 今の日本に必要なのは、プロフェッショナルな個人
米倉誠一郎: 元気のいい話をしようとすると、どうも海外の話ばかりになってしまいます。今の日本に必要なことは何だと思いますか?
髙島郁夫: 僕がいいかどうかは置いておいて、海外に出て勝負したり、あるいは日本にいても頑張っている人たちが主軸になることだと思います。自分を信じて、きちんと行動を起こす人が日本からたくさん出ること。そしてマスコミは、そういう人たちをちゃんと取り上げることだと思います。
米倉誠一郎: そういう人たちの動きを、僕は著書『創発的破壊』で、「創発的」って書いたんです。今必要なのはカリスマリーダーなんかじゃない。
髙島郁夫: 確かに。カリスマリーダーじゃないですね。
米倉誠一郎: 必要なのはプロフェッショナルだと。日本は、2000年に3位だった一人当たりのGDPが、2007年には19位にまで落ちています。これは国民一人ひとりが付加価値をつけていないということです。「景気悪いよね。俺、去年より給料が安くなっちゃった」というのは人のせいじゃなくて、自分のせい。経営者はもちろん、会社員も、我々研究者も、去年より今年、今年より来年、付加価値を上げていかないと。それには自分のプロフェッショナリズムを鍛えるしかないと思います。あるいは守備範囲を広げるとか、ステージを変えてみるとか。
髙島郁夫: そうですね。
米倉誠一郎: 日本のGDPの500兆円のうち、300兆円は消費です。このマーケットは決して小さくない。だからここを丹念に掘り起こせば、まだまだ可能性があるはずです。みんなが「これは嫌だな」とか、「こんなのがあったらいいな」と思っているところに、チャンスはありますよね。
髙島郁夫: あると思います。
米倉誠一郎: 例えば髙島さんがやってきたように、自分の家をよくしたい、コーディネートしたいというニーズだってまだまだあるだろうし。ほかに何か、日本で掘り起こせばいいと思うもの、ありますか?
髙島郁夫: 消費マーケットでいうと、バブルの頃って楽しかったじゃないですか。今は無駄な消費がなくなり過ぎです。例えば車なら「全部が全部エコカーじゃつまらない。ガソリン使いまくって、リッターあたり3kmしか走らないけど速い車もなくっちゃ!」という話です。
米倉誠一郎: 無駄な消費って、確かになくなりましたね。今、大学生がすごく貯金しているって言うから「何に使うんだ?」って聞いたら、「将来に備えている」って(笑)。大学2年生で備えるなよ、というぐらい無駄な消費がなくなっています。
僕は「セカンドハウス」が掘り起こすのにいいと思っているんです。東京の郊外に住むなんてやめて、都心に賃貸でもいいから住む。そのかわり河口湖とか軽井沢とか小淵沢とかにセカンドハウスを買う。結構いい小屋が、今700万円とか800万円で出てるんだそうです。月~金は都心で職住接近で仕事をして、土日はセカンドハウスで過ごす。そうすると食器も2つ、家具も2つ、家電製品も2つ必要になるでしょう。
髙島郁夫: それ、すごくいいですね。車も要りますしね。
米倉誠一郎: しかも向こうのレストランで食事したり、買い物したりすれば、地産地消にもなる。北欧ではそういう働き方をしているんです。日本もそういう働き方にしたらどうかと思います。
髙島郁夫: 日本はマーケティングの指向性が内向きで、誰も勝者がいない戦争をしているような気がします。牛丼戦争もそうでしたけれど、今のテレビ戦争も勝者がいませんよね。だって、50インチのテレビが10万円程度で買えるんですから。パソコンもそうです。勝者がいない戦いばっかり。そういうマーケティングがもてはやされているのか知りませんが、もっと違うやり方、違う方向性があるような気がします。
米倉誠一郎: 豊かに暮らすという方向がね。
髙島郁夫: そっちのほうに向いていませんよね。
米倉誠一郎: それからiPhoneにしてもiPadにしても「スティーブ・ジョブズの作品だ」って、みんな言いますよね。何百万台と売っているのに、誰も「商品」とは言わず「作品だ」って。それは経営者の想いであって、その想いに惹かれて消費するというのがあるよね。
髙島郁夫: そうですね。僕も店は自分の作品ですよ。だから、下手な店はぶち壊したくなる(笑)。
髙島郁夫: 僕がいいかどうかは置いておいて、海外に出て勝負したり、あるいは日本にいても頑張っている人たちが主軸になることだと思います。自分を信じて、きちんと行動を起こす人が日本からたくさん出ること。そしてマスコミは、そういう人たちをちゃんと取り上げることだと思います。
米倉誠一郎: そういう人たちの動きを、僕は著書『創発的破壊』で、「創発的」って書いたんです。今必要なのはカリスマリーダーなんかじゃない。
髙島郁夫: 確かに。カリスマリーダーじゃないですね。
米倉誠一郎: 必要なのはプロフェッショナルだと。日本は、2000年に3位だった一人当たりのGDPが、2007年には19位にまで落ちています。これは国民一人ひとりが付加価値をつけていないということです。「景気悪いよね。俺、去年より給料が安くなっちゃった」というのは人のせいじゃなくて、自分のせい。経営者はもちろん、会社員も、我々研究者も、去年より今年、今年より来年、付加価値を上げていかないと。それには自分のプロフェッショナリズムを鍛えるしかないと思います。あるいは守備範囲を広げるとか、ステージを変えてみるとか。
髙島郁夫: そうですね。
米倉誠一郎: 日本のGDPの500兆円のうち、300兆円は消費です。このマーケットは決して小さくない。だからここを丹念に掘り起こせば、まだまだ可能性があるはずです。みんなが「これは嫌だな」とか、「こんなのがあったらいいな」と思っているところに、チャンスはありますよね。
髙島郁夫: あると思います。
米倉誠一郎: 例えば髙島さんがやってきたように、自分の家をよくしたい、コーディネートしたいというニーズだってまだまだあるだろうし。ほかに何か、日本で掘り起こせばいいと思うもの、ありますか?
髙島郁夫: 消費マーケットでいうと、バブルの頃って楽しかったじゃないですか。今は無駄な消費がなくなり過ぎです。例えば車なら「全部が全部エコカーじゃつまらない。ガソリン使いまくって、リッターあたり3kmしか走らないけど速い車もなくっちゃ!」という話です。
米倉誠一郎: 無駄な消費って、確かになくなりましたね。今、大学生がすごく貯金しているって言うから「何に使うんだ?」って聞いたら、「将来に備えている」って(笑)。大学2年生で備えるなよ、というぐらい無駄な消費がなくなっています。
僕は「セカンドハウス」が掘り起こすのにいいと思っているんです。東京の郊外に住むなんてやめて、都心に賃貸でもいいから住む。そのかわり河口湖とか軽井沢とか小淵沢とかにセカンドハウスを買う。結構いい小屋が、今700万円とか800万円で出てるんだそうです。月~金は都心で職住接近で仕事をして、土日はセカンドハウスで過ごす。そうすると食器も2つ、家具も2つ、家電製品も2つ必要になるでしょう。
髙島郁夫: それ、すごくいいですね。車も要りますしね。
米倉誠一郎: しかも向こうのレストランで食事したり、買い物したりすれば、地産地消にもなる。北欧ではそういう働き方をしているんです。日本もそういう働き方にしたらどうかと思います。
髙島郁夫: 日本はマーケティングの指向性が内向きで、誰も勝者がいない戦争をしているような気がします。牛丼戦争もそうでしたけれど、今のテレビ戦争も勝者がいませんよね。だって、50インチのテレビが10万円程度で買えるんですから。パソコンもそうです。勝者がいない戦いばっかり。そういうマーケティングがもてはやされているのか知りませんが、もっと違うやり方、違う方向性があるような気がします。
米倉誠一郎: 豊かに暮らすという方向がね。
髙島郁夫: そっちのほうに向いていませんよね。
米倉誠一郎: それからiPhoneにしてもiPadにしても「スティーブ・ジョブズの作品だ」って、みんな言いますよね。何百万台と売っているのに、誰も「商品」とは言わず「作品だ」って。それは経営者の想いであって、その想いに惹かれて消費するというのがあるよね。
髙島郁夫: そうですね。僕も店は自分の作品ですよ。だから、下手な店はぶち壊したくなる(笑)。
関連書籍
『創発的破壊 未来をつくるイノベーション』(ミシマ社、米倉誠一郎著)
米倉誠一郎ミシマ社
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