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「はやぶさ」の川口淳一郎氏が語る、奇跡のチームビルディング
栄光をつかんだチームに日本再生のヒントを探る in 日本元気塾
日本元気塾キャリア・人教養
更新日 : 2011年08月26日
(金)
第9章 科学技術開発は国づくり。経済に即効性があるとは言いません
米倉誠一郎: 法人税減税がどうなるかわかりませんが、「国際競争力のために法人税を下げる」と言うなら、パチンコ屋さんは下げる必要ないじゃないですか、国際競争していないんだから。そんなことをするよりイノベーションに投資したり、研究開発投資の加速度償却をしたりすればいいのに、日本では未来に投資しないで、平気でばら撒くという政策がまかり通っています。そのうえ「一番じゃなきゃダメですか?」って。こうしたことに対する怒りって、科学者としてどうですか?
川口淳一郎: 科学者としてというか、やはり日本は将来に向けて、きちんと投資していかなければいけないですよね。投資しない限りリターンはないんですから。
米倉誠一郎: 「侮れない国をつくろうじゃないか」って、いい言葉だと思います。ただね、僕は宇宙開発委員をやったことがあって、かつては削るほうに賛成したプロジェクトもあるんです。特に今の財政状況を考えれば、「日本は宇宙にお金を使っている場合か」という議論もあると思いますが、これに対してはどうお感じですか?
川口淳一郎: 結局、宇宙開発というか巨大科学技術というのは、国づくりなんです。国づくりには、人材育成のインセンティブと、産業を伸ばすためのインセンティブという2つの側面があると思います。
「宇宙開発をしたら直接何か経済がよくなる」なんてことを言うつもりはありません。けれどこれで関心を持ってくれた人たちが、宇宙開発じゃなくても、エネルギー問題や環境問題、医学などを目指してくれれば、そういう人が増えれば、社会はどんどん変わっていく。これは宇宙開発だけに限ったことではないと思いますが、そういうための国づくりだと思います。
米倉誠一郎: 日本は人しかいないのだから、そこにドンと投資すると。
川口淳一郎: そうですね。
米倉誠一郎: このコンセンサスは、「はやぶさ」でかなり生まれたような気がします。やっぱり、やってよかったと。
川口淳一郎: ありがとうございます。
米倉誠一郎: 我々は「はやぶさ」をもっと誇りに思って、もっと伝えていかないといけないと思います。「我々は21世紀、何で食べていくんだ?」といったら、そこにはやはり科学技術があるわけです。
いろいろ整理しなければいけない問題もあると思いますが、そこに投資をする日本であってほしい。その大きなきっかけを提供してくれた「はやぶさ」に、僕は本当に感謝したいと思います。川口先生、ありがとうございました。
川口淳一郎: どうもありがとうございました。(終)
川口淳一郎: 科学者としてというか、やはり日本は将来に向けて、きちんと投資していかなければいけないですよね。投資しない限りリターンはないんですから。
米倉誠一郎: 「侮れない国をつくろうじゃないか」って、いい言葉だと思います。ただね、僕は宇宙開発委員をやったことがあって、かつては削るほうに賛成したプロジェクトもあるんです。特に今の財政状況を考えれば、「日本は宇宙にお金を使っている場合か」という議論もあると思いますが、これに対してはどうお感じですか?
川口淳一郎: 結局、宇宙開発というか巨大科学技術というのは、国づくりなんです。国づくりには、人材育成のインセンティブと、産業を伸ばすためのインセンティブという2つの側面があると思います。
「宇宙開発をしたら直接何か経済がよくなる」なんてことを言うつもりはありません。けれどこれで関心を持ってくれた人たちが、宇宙開発じゃなくても、エネルギー問題や環境問題、医学などを目指してくれれば、そういう人が増えれば、社会はどんどん変わっていく。これは宇宙開発だけに限ったことではないと思いますが、そういうための国づくりだと思います。
米倉誠一郎: 日本は人しかいないのだから、そこにドンと投資すると。
川口淳一郎: そうですね。
米倉誠一郎: このコンセンサスは、「はやぶさ」でかなり生まれたような気がします。やっぱり、やってよかったと。
川口淳一郎: ありがとうございます。
米倉誠一郎: 我々は「はやぶさ」をもっと誇りに思って、もっと伝えていかないといけないと思います。「我々は21世紀、何で食べていくんだ?」といったら、そこにはやはり科学技術があるわけです。
いろいろ整理しなければいけない問題もあると思いますが、そこに投資をする日本であってほしい。その大きなきっかけを提供してくれた「はやぶさ」に、僕は本当に感謝したいと思います。川口先生、ありがとうございました。
川口淳一郎: どうもありがとうございました。(終)
関連書籍
はやぶさ、そうまでして君は—生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
川口淳一宝島社
「はやぶさ」の川口淳一郎氏が語る、奇跡のチームビルディング インデックス
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第1章 「はやぶさ」が持ち帰ったイトカワのかけらから、何がわかるのか?
2011年08月12日 (金)
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第2章 「はやぶさ」が挑んだ5つの世界初
2011年08月15日 (月)
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第3章 共同研究中にNASAにアイディアを盗られ、発想を切り替えた
2011年08月16日 (火)
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第4章 困難の連続のなかで、臨機応変なプロジェクト判断ができた理由
2011年08月18日 (木)
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第5章 消息不明の「はやぶさ」。下がる現場の士気。そのときリーダーは…
2011年08月19日 (金)
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第6章 「はやぶさ」にふるさと地球の姿を見せてやりたい
2011年08月22日 (月)
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第7章 高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えてこない
2011年08月23日 (火)
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第8章 マトリクス組織のメリットとデメリット
2011年08月25日 (木)
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第9章 科学技術開発は国づくり。経済に即効性があるとは言いません
2011年08月26日 (金)
該当講座
小惑星探査機「はやぶさ」奇跡のチームビルディング
~目的地は、地球~
川口淳一郎 (独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
月・惑星探査プログラムグループ プログラムディレクタ
宇宙科学研究所 教授)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)
川口淳一郎(JAXA)教授×米倉誠一郎教授
2010年6月、小惑星探査機「はやぶさ」が「イトカワ」への7年間の旅を終えて奇跡の帰還—。今年最初の日本元気塾セミナーは、「はやぶさ」プロジェクトマネージャとしてミッションを指揮し、類稀なるリーダーシップ、的確な判断力で、奇跡の帰還に導いた川口淳一郎氏(宇宙航空研究開発機構(JAXA)教授)をゲストにお迎えし、ミッション達成のために目指すべき、理想的な“チーム”の姿を、皆さんと一緒に考えていきます。
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