記事・レポート
創成のイノベーション「未来に継承するリベラル・アーツ」
VISIONARY INSTITUTE - 2010 Seminar
BIZセミナー
更新日 : 2011年07月05日
(火)
第5章 もし月がなかったら、音楽はなかった
佐治晴夫: 小学校で人気がある私の授業の1つは「もし月がなかったら、音楽はなかったよ」ということをテーマにした音楽の授業です。その理由は、太陽系ができるときのお話からすればわかります。
太陽系ができたとき、地球に小惑星がぶつかりました。その衝撃で飛び散ったものが約3カ月間でまとまって月になりました。また、この衝突で地球の地軸が約23.5~6度ぐらい傾きました。それゆえに季節の変化があるのです。もし小惑星が衝突してお月様ができなかったら、季節の変化はありません。
月の引力というのは、120京馬力というすごく大きな力です。それが地軸の傾いた地球を引き留めています。もし月がなかったら、1日に2回ぐらい地球の自転軸はガタンガタン動いてしまいます。すると、朝お家を出るときは氷点下20度の猛吹雪だったのに、帰るときは摂氏40度の灼熱地獄というようなことになり、人間生活は成り立ちません。つまり、天体衝突があって、その結果できたお月様があるために、地球に季節の変化があるということです。ここまでは合点していただけましたでしょうか。ここからが、いよいよ大事です。
月の引力は地球上の水を引っ張っています。つまり、月の引力は地球の自転にブレーキをかけているのです。今は地球は1日24時間で自転していますが、月がなかったときは8時間で回っていました。自転スピードが今の3倍です。すると地球上に吹いている風の強さはどのくらいになるかというと、最低でも風速300mです。ダンプカーをひっくり返すのに必要な風速は120mですから、300mの風が吹いたら、大きい岩はガンガン飛んでくるし、海は大荒れ、岸壁は削られ、すごい音がして音楽どころではないでしょう。
これが「もし月がなかったら、音楽はなかったよ」ということです。これが私の授業です。科学の言葉だけを使って、こういう授業というのはいかようにでもできるんです。こういう話から体系づけて話をして、数学や物理の話にもっていく。これが私流のリベラル・アーツのやり方です。月があるかないかということだけで、いろいろなところに話が展開でき、そこからいろいろ引き出すことができるのです。
リベラル・アーツの方法論というのは、子どものための物語であろうが、大人のためのものであろうが、あるいは哲学であろうが、数学であろうが、それぞれの心の中には一貫したものが必ずあるわけで、その共通項をどうやって感じとり、それをどうやって自分のものにしていくのかということだと思います。
太陽系ができたとき、地球に小惑星がぶつかりました。その衝撃で飛び散ったものが約3カ月間でまとまって月になりました。また、この衝突で地球の地軸が約23.5~6度ぐらい傾きました。それゆえに季節の変化があるのです。もし小惑星が衝突してお月様ができなかったら、季節の変化はありません。
月の引力というのは、120京馬力というすごく大きな力です。それが地軸の傾いた地球を引き留めています。もし月がなかったら、1日に2回ぐらい地球の自転軸はガタンガタン動いてしまいます。すると、朝お家を出るときは氷点下20度の猛吹雪だったのに、帰るときは摂氏40度の灼熱地獄というようなことになり、人間生活は成り立ちません。つまり、天体衝突があって、その結果できたお月様があるために、地球に季節の変化があるということです。ここまでは合点していただけましたでしょうか。ここからが、いよいよ大事です。
月の引力は地球上の水を引っ張っています。つまり、月の引力は地球の自転にブレーキをかけているのです。今は地球は1日24時間で自転していますが、月がなかったときは8時間で回っていました。自転スピードが今の3倍です。すると地球上に吹いている風の強さはどのくらいになるかというと、最低でも風速300mです。ダンプカーをひっくり返すのに必要な風速は120mですから、300mの風が吹いたら、大きい岩はガンガン飛んでくるし、海は大荒れ、岸壁は削られ、すごい音がして音楽どころではないでしょう。
これが「もし月がなかったら、音楽はなかったよ」ということです。これが私の授業です。科学の言葉だけを使って、こういう授業というのはいかようにでもできるんです。こういう話から体系づけて話をして、数学や物理の話にもっていく。これが私流のリベラル・アーツのやり方です。月があるかないかということだけで、いろいろなところに話が展開でき、そこからいろいろ引き出すことができるのです。
リベラル・アーツの方法論というのは、子どものための物語であろうが、大人のためのものであろうが、あるいは哲学であろうが、数学であろうが、それぞれの心の中には一貫したものが必ずあるわけで、その共通項をどうやって感じとり、それをどうやって自分のものにしていくのかということだと思います。
関連書籍
14歳のための物理学
佐治晴夫春秋社
創成のイノベーション「未来に継承するリベラル・アーツ」 インデックス
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第1章 学問と企業の最前線に必要な「リベラル・アーツ」
2011年06月28日 (火)
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第2章 リベラル・アーツとは何か?~詩人の心と科学者の目~
2011年06月30日 (木)
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第3章 人間はどうして瞬きをするのか?
2011年07月01日 (金)
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第4章 自分のことは自分が一番よく知っている?
2011年07月04日 (月)
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第5章 もし月がなかったら、音楽はなかった
2011年07月05日 (火)
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第6章 心とは何か?
2011年07月07日 (木)
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第7章 なぜ戦争はなくならないのか?
2011年07月08日 (金)
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第8章 人間とは何か?
2011年07月11日 (月)
該当講座
佐治晴夫 (鈴鹿短期大学学長)
佐治 晴夫(鈴鹿短期大学学長)
「私たちはどこから来てどこに行くのか」という根本的な問題とともに、リベラルアーツ(教養や芸術)が我々にもたらす影響そして重要性についてお話いただきます。
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