記事・レポート
柴田励司氏が語る、いつかなりたい自分になるためのヒント
『どうしてあのヒトは、デキるのだろう。』
更新日 : 2010年12月15日
(水)
第5章 優れたリーダーは、飲み会の幹事だ
柴田励司: ここからは、リーダーシップについてお話しましょう。組織が活性化しないときというのは、同じ人が長期間リーダーを続けているケースが多いようです。これは世界共通の現象で、プライベートセクタもパブリックセクタもみんな一緒です。
ある意味当然のこととも言えますが、社長になると全方位の情報が集まって、だんだん視野が広くなります。さらに、経営者としての責任感とプライドから背筋が伸びて、もっともっと遠くまで見えるようになるのです。そしてある時点をもって、誰よりも会社のことや先が見えようになります。これは大変すばらしいことですが、2つの問題が伴います。
1つは、その人に見えている世界観がいつまでも正しいとは限らないのに、その人が理解できないものが出てきたときに、それを受け入れられないということ。もう1つはさらに深刻で、簡単に他人を否定するようになってしまうこと。例えば、業務上ある一面しか見えていない人が、一所懸命よかれと思って提案したものがあるとします。これに対し、それ以外も見えている社長は、あっさりと「これではダメ」などと一蹴してしまいがちなわけです。
このような状態では、スタッフが賢い人であればあるほど、初めの一歩を出しにくくなります。一所懸命提案したものを簡単にひっくり返されてしまうのですから、「それなら最初から言ってもらったほうがいい」という待ちの姿勢になるわけです。そしてトップだけがイライラと空回りし、周りの人は指示を待つという状況に陥り、組織の力がどんどん弱くなってしまうのです。
リーダーシップのスタイルは、自分の言う通りに人を動かす「求心力型」と、周りにいる人たちに自由に動くように促す「遠心力型」に二分され、最近の傾向としては遠心力型が好まれているようです。遠心力型のマネジメントでは、みんなが自由につながり、顧客に近いところでどんどん意思決定して進めていき、外へ外へとこの円を大きくしていきます。
遠心力型のリーダーとは、権威で人を動かすのではなく、周囲によい影響を与えて動かす人。それは、一緒に働くと何かよいことが起きそうな人、すなわち「この人と働きたい」と思われる人です。その理由はおそらく「目標にしたいすごい人だから」、もしくは「わかってくれる人だから」。私は前者を「仕事軸」、後者を「人間軸」と分類しています。
仕事軸においての優れたリーダーとは、「厳しい状況でもメゲない」「私利私欲なく打ちこんでいる」「物事を処理する速さがずば抜けている」「問題解決のためにあっと驚くような発想をする」「向上心が途絶えない」の5つの要素があるようです。人間軸では、「心を通わすのがうまい」「わかりやすく話してくれる」といった要素があります。
優れたリーダーは常に周りの人を大切に思い、ケアしています。そもそも、一緒に働いている人たちのことをぞんざいに扱ったりしている場合には、周りの人たちにそれがわかります。逆に、大切されているということも、それはそれでまたわかります。そして、大切にされていると感じている人たちほど、協力して共に働く気持ちを強く持つものなのです。最近では、これをわかりやすく説明するために、「リーダーは飲み会の幹事だ」と言ったりしています。
私は、原因と結果を比較したら、原因のほうがはるかに重要だと思っています。すでに出た結果は何も変わりません。重要なことは、常に期待される以上の結果を出せるような原因づくりをしっかりしておくことではないかと思うのです。
組織運営上、結果を出せる原因作りとは、コミュニケーションがうまくいき、みんながお互いによく知っているという環境をつくること。そのためには、できるだけ時間を共有することが必要です。そうやって自分の組織の人たちをつないでいく、それがリーダーの大きな仕事です。
ある意味当然のこととも言えますが、社長になると全方位の情報が集まって、だんだん視野が広くなります。さらに、経営者としての責任感とプライドから背筋が伸びて、もっともっと遠くまで見えるようになるのです。そしてある時点をもって、誰よりも会社のことや先が見えようになります。これは大変すばらしいことですが、2つの問題が伴います。
1つは、その人に見えている世界観がいつまでも正しいとは限らないのに、その人が理解できないものが出てきたときに、それを受け入れられないということ。もう1つはさらに深刻で、簡単に他人を否定するようになってしまうこと。例えば、業務上ある一面しか見えていない人が、一所懸命よかれと思って提案したものがあるとします。これに対し、それ以外も見えている社長は、あっさりと「これではダメ」などと一蹴してしまいがちなわけです。
このような状態では、スタッフが賢い人であればあるほど、初めの一歩を出しにくくなります。一所懸命提案したものを簡単にひっくり返されてしまうのですから、「それなら最初から言ってもらったほうがいい」という待ちの姿勢になるわけです。そしてトップだけがイライラと空回りし、周りの人は指示を待つという状況に陥り、組織の力がどんどん弱くなってしまうのです。
リーダーシップのスタイルは、自分の言う通りに人を動かす「求心力型」と、周りにいる人たちに自由に動くように促す「遠心力型」に二分され、最近の傾向としては遠心力型が好まれているようです。遠心力型のマネジメントでは、みんなが自由につながり、顧客に近いところでどんどん意思決定して進めていき、外へ外へとこの円を大きくしていきます。
遠心力型のリーダーとは、権威で人を動かすのではなく、周囲によい影響を与えて動かす人。それは、一緒に働くと何かよいことが起きそうな人、すなわち「この人と働きたい」と思われる人です。その理由はおそらく「目標にしたいすごい人だから」、もしくは「わかってくれる人だから」。私は前者を「仕事軸」、後者を「人間軸」と分類しています。
仕事軸においての優れたリーダーとは、「厳しい状況でもメゲない」「私利私欲なく打ちこんでいる」「物事を処理する速さがずば抜けている」「問題解決のためにあっと驚くような発想をする」「向上心が途絶えない」の5つの要素があるようです。人間軸では、「心を通わすのがうまい」「わかりやすく話してくれる」といった要素があります。
優れたリーダーは常に周りの人を大切に思い、ケアしています。そもそも、一緒に働いている人たちのことをぞんざいに扱ったりしている場合には、周りの人たちにそれがわかります。逆に、大切されているということも、それはそれでまたわかります。そして、大切にされていると感じている人たちほど、協力して共に働く気持ちを強く持つものなのです。最近では、これをわかりやすく説明するために、「リーダーは飲み会の幹事だ」と言ったりしています。
私は、原因と結果を比較したら、原因のほうがはるかに重要だと思っています。すでに出た結果は何も変わりません。重要なことは、常に期待される以上の結果を出せるような原因づくりをしっかりしておくことではないかと思うのです。
組織運営上、結果を出せる原因作りとは、コミュニケーションがうまくいき、みんながお互いによく知っているという環境をつくること。そのためには、できるだけ時間を共有することが必要です。そうやって自分の組織の人たちをつないでいく、それがリーダーの大きな仕事です。
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柴田励司PHP研究所
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