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恥をかけ! 議論しろ!
ニッポンをもっと元気にする!「日本元気塾」に奥山清行氏が登場!
更新日 : 2010年08月18日
(水)
第3章 以心伝心なんてウソ。伝えなければ伝わらない
米倉誠一郎: 日本にはいいデザインやいいものがたくさんあります。でも価値を生まなかったり、世界に広まらなかったり、日本人自身がわかっていなかったりします。それは「見ればわかるだろう」とか「いい物はいいんだ」という以心伝心の陰徳からきていると思うのですが、もうそれでは通じない、ちゃんとプレゼンテーションしないとわからないということでしょうか。
奥山清行: そうですね。以心伝心って、今だけでなく、かつてもなかったと僕は思っているんです。昔は「あった」と勘違いしているだけで、実は一度もなかったんじゃないかと。
昔は家庭が会社と同じ機能を果たしていて、家長の親父がきちんと社長をやっていたじゃないですか。家内制手工業にしても農業にしても、いろいろな職業が家族という単位で行われていました。昔の親父は社長なので偉かったわけです。聞いてみたところ、彼らはテレビなどで描かれるイメージとは違って、意外にも結構話をしていたみたいですよ。言葉は少なかったかもしれませんが、かなり的を射た話を伝えていたんじゃないかと思います。
けれど、ものづくりにはちょっと違う問題があって、今、技術革新は限界にきてるんです。第二次産業革命みたいな時期がずっと続いてきたせいで、ちょっと今落ちついています。こういう時期は成熟商品みたいな物じゃないと伝わらないんですけれど、成熟商品ってパッと見ではわからないんですよ。実際に使ってみたり、バックグラウンドにある物語を伝えたりして初めて商品として完結するので、これはもう、めちゃくちゃ話さないと伝わりません。
できた物を机の上にドーンと置いて、「はい、これ使ってください」と言って通じたのは、ソニーのウォークマン。あれは使えばすぐにわかったんです。僕はあれを初めて見たとき圧倒されました。あの感激は忘れられません。今、そういう商品ってないじゃないですか。だから僕らは家具にしても職人さんの物語をいろいろ語って伝えないといけないんです。
米倉誠一郎: 「以心伝心なんて存在しなかったんだ、親父は結構語っていた」というのは面白いですね。でも、言われてみれば確かに語っていましたし、責任があるから勉強もしていました。それを途中から放棄してしまったのかもしれません。みんなバラバラにテレビを見たりして話さなくなって、「ちゃんとやっていればいいんだ」というようなことになってしまった。やはり、語らなきゃダメなんですね。
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