神原弥奈子：　『日経ネットマーケティング』では、テーマとしてSEOやSEMを扱うことが多いですよね。

渡辺博則：　リスティング広告とSEOはうちの特集の1位2位を占めるようなテーマですから、ベーシックには取り組んでいます。ただ、景気が悪くなってきているがゆえか、リスティング広告よりオーガニックなSEOをどうしようという流れを感じています。

神原弥奈子：　リスティングやSEOにお金をかけることについて、デビッドさんはどうお考えですか？

デビッド・マーマン・スコット：　ウェブはコンテンツがとにかく大事。検索エンジンにヒットする、ちゃんとしたコンテンツがないといけないのです。

『The New Rules of Viral Marketing』というeブックを書きました。ダウンロードは無料で、登録も必要ありません。ウェブに載せてから1年ちょっと経ちますが、100万回以上ダウンロードされています。「Viral Marketing」という検索キーワードでサーチするとすぐに見つるで、今ここでURLをお伝えするまでもありません。もちろん、検索エンジンにヒットするためにお金をかけたり、時間をかけたりも全くしていません。

神原弥奈子：　お客さまが欲しいと思う情報に合った良いコンテンツがあれば、自然と検索結果の上位に出てくるものだと思います。ただ、そこにたどりつくまでに時間がかかるので、企業はマーケティングの支援としてリスティング広告をやっていると思うのですが、最近、ROIをとても気にするようになっていると感じています。

渡辺さん、日本の企業の場合、具体的な数字で結果を出していかなければいけないという傾向はまだ強いのでしょうか。

渡辺博則：　ROIは重要ですね。とは言え、市場を広げるとか、新しいことをやるというとき、なかなか測れないのは確かなので、バランスですよね。そこを結構苦労されているのかなというのが、私の印象です。

神原弥奈子：　非常に難しいところですね。米国の企業は、今、コンテンツをつくる中で、どんなものを指標にされているのでしょうか。あるいは、気にされていないのですか？

デビッド・マーマン・スコット：　MBA式アプローチでビジネスをしようとするので、大きな問題になっています。ROIが目に見える数字として出てこないから、Twitterやブログ、Facebookをやらせないという企業もあります。

しかし、ROIではなくて、皆さんがつくっているコンテンツがどれくらい注目されているか、検索エンジンの何番目に出てくるかというのは簡単に測ることができます。どれくらいのブロガーがその製品やサービスについてブログで語っているかを探せば十分にわかります。Twitterで皆さんの会社がいろいろな方にツイートされているか、もしくは全くされていないか、そういうことです。

コンテンツに対して、どれくらいのリンクが張られているかによって、そのビジネスの成功を推し測ることができますが。ROIを1円単位まで計算するようなことは全く意味がなく、それで成功は推し測れません。