記事・レポート

ホームレスから企業の上場を果たした男

「ありがとう」を生み出すQ&Aサイト「OKWave」ができるまで

更新日 : 2010年02月05日 (金)

第2章 『グーグルを超える日』は夢物語ではない

兼元謙任氏

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兼元謙任: それからは、何でも死ぬ気でやりました。「トイレ掃除でも、使い走りでも、何でもやります」と何度もお願いして回って、ようやく仕事をいただくことができました。

あるときホームページを作らなくてはならなくなり、HTMLのことすらよく知らなかった僕は、インターネットの掲示板に質問をしました。「頼まれてホームページをつくらなければいけないのですが、誰か助けてください。お金は少しもらえます」と。

そしたら「マナーがなっていない」とか、「お金をもらえるのに無料の掲示板に質問するな」という回答が来たので、「僕はデザイナーなので、プロダクトデザインだったら教えられます。バーターしませんか?」と書いたんです。そしたら今度は、「ここはそういう場(デザイン関係の掲示板)じゃないから出て行け」と返ってきました。

小学校5年生のときのことを思い出しました。インターネットですら差別や区別が行われている。何とかならないものか……。待てよ。子どもの頃、親にも先生にも言えなかったことを相談できていたら問題解決できていたのではないか。大人になってからだって、離婚騒動が起きたときや仕事に行き詰ったときに、相談できるところがあれば何かできたのかもしれない。質問すれば誰かが答えてくれる、そういうページをつくらなければいけない、と思ったのです。
 
それが『OKWave』のはじまりです。サイトでは、子ども110番や、離婚問題、仕事の問題もやりとりされています。この7月15日(2009年)には、10周年を迎えることができました。韓国と日本をつなぎたいというのが本丸ですが、2009年7月28日には中国のサイトと日本のQ&Aをつなぐ『OKWave China』をオープンしました。中国、韓国、日本など、アジアの国が集まって協調しながら均衡を保つことに貢献したいと前から思っていたのですが、その第一歩を踏み出すことができました。

2005年に『グーグルを超える日』と銘打って本を出版したら、「ばかなことを言っている」と言われたのですが、昨年(2008年)には、アメリカのマイクロソフトから10%の出資をいただくことができました。

『OKWave』で質問を投稿すると、約150万人の登録者に届きます。我々は単体でユーザーを囲い込むのではなく、より広く提供することで戦っていきたいということで、ポータル事業を展開していて、BIGLOBE、ニフティ、インフォシークなど、約120社と連合を組んでいます。全部合わせるとユニークユーザー数が4,000万人を超えます。日本の大手検索エンジンのユニークユーザーが3,000万人ですので、トータルでは我々が勝っているということで、マイクロソフトから出資していただけたのだと思います。

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ホームレスから企業の上場を果たした男
兼元謙任 (株式会社オウケイウェイヴ 代表取締役社長)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

兼元謙任(株式会社オウケイウェイヴ代表取締役社長)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
日本最大級のQ&Aサイト「OKWave」のノウハウを生かしたビジネスモデルと、2年間のホームレス生活を経て企業の上場を果たした兼元氏のライフトーリーに迫ります。


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