六本木ヒルズライブラリー

年末年始に読みたい6冊~未来を見つめて~

更新日 : 2024年12月23日 (月)





なにかと一年を振り返ることも多くなる年の瀬。色々な反省点が見えてくるこの時期は、新年に向けて新たな目標を立てる絶好のチャンスでもあります。そんな時こそ、まずは「未来の見つめ方」から考えてみるのはいかがでしょうか。最新の技術革新の展望から、100年先を基準にする思考法まで、「目標を立てる」こと自体をアップデートする、目から鱗のお話が揃っています。年末年始にじっくり読みたい6冊をご紹介します。
 

ビジョンプロセシング
ゴールセッティングの呪縛から脱却し「今、ここにある未来」を解き放つ
中土井僚/英治出版
いまだかつて、これほど急速に技術が発展し、社会が変わっていく時代はあったでしょうか。一年先の状況さえ不確定な現代、組織が目指すべきビジョンを見出すことはますます困難になっています。

本書の提案はシンプルです。誰かが一つのビジョンを決めるのではなく、チームの一人一人の絶え間ない思考が全体としてのビジョンを創出する。社会の変化に対応するのではなく、組織自体が常に変わり続けることで、社会の荒波を乗りこなすのです。数多くの企業において組織改革を行なった著者による、実践と指針が詰まった一冊です。

THINK FUTURE「未来」から逆算する生き方
ハル・ハーシュフィールド/東洋経済新報社
未来を思い描く、それが大切なことはわかるけれど、一体何から始めればいいのかわからない。そんな方にオススメしたいのが、本書です。ポイントは、未来を「目で見る」こと。たとえば、未来にいるつもりで書く未来日記や、未来の自分にあてて書く手紙。遠い目標でも、年単位ではなく日単位で考えてみましょう。とにかく、具体化をするのです。

本書で取り上げられる手段は、心理学の観点から考えられたもの。本来、人が遠い未来を考えて行動することは難しいからこそ、その未来を直感できるように具体化し、心が動くように仕向けることが行動の鍵となるのです。

日経テクノロジー展望2025
世界を変える100の技術
日経BP(編)/日経BP
生成AI、自動運転、スターリンク……これらは今や日常のレベルにまで浸透しつつある技術革新ですが、皆さんは5年前に想像できていたでしょうか?逆に言えば、5年後の未来は同じくらいテクノロジーが大きく変わっているはずです。本書は2030年までに実現することが予測される100の技術革新をご紹介します。

核融合や宇宙太陽光発電など、SFでしか見なかったような研究が、実現まであと一歩のところまで来ています。そして、ひとたびそれが完成すれば、私たちの社会は根底から変わることでしょう。ゲームチェンジはテクノロジーから。5年後に備えるために必読の一冊です。

根性論や意志力に頼らない
行動科学が教える 目標達成のルール
オウェイン・サービス、ローリー・ギャラガー/ディスカヴァー・トゥエンティワン
気持ちが人を行動させるのではなく、行動が人の気持ちを変える。行動科学の根本的な発想は、ここにあるのではないでしょうか。人間は自分で思っているより遥かに容易く、意思や感情を操られるものです。行動経済学はそれを他者に対して利用しますが、これを逆手にとってセルフコントロールに使ってみよう、と本書は提案します。

様々な心理実験の実例と共に示される「自分の操り方」。日々の仕事の効率化から、人間関係の構築、健康習慣の維持に至るまで、あらゆる場面に応用できる行動科学メソッドが満載です。あなたも読めばすぐに、自分を変えたくなるはず。

グッド・アンセスター
わたしたちは「よき祖先」になれるか
ローマン・クルツナリック/あすなろ書房
私たちが存在できているのは何世代にもわたって「祖先」がいるからであり、今日の社会はその祖先たちの営みの結果である……ということは誰しも知っていることでしょう。しかし、数百年後、私たちが誰かの「祖先」になるということを意識している人はどれほどいるでしょうか。

めまぐるしく変化する情報化社会において、「今、ここ」を重視する短期思考はますます求められています。一方、本書はあえて7世代も後の後世を考えようと呼びかけます。大切なのは、ただ遠い未来を意識するのではなく、未来と今が繋がっていると意識すること。長期思考を通して、「今、ここ」をますます活性化させるのです。 

Simple「簡潔さ」は最強の戦略である
ジム・バンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュウォーツ/ダイヤモンド社
本書のテーゼを簡潔に示しましょう——すなわち、「短い」とは「賢い」ことである。情報の洪水に日々溺れるような現代、インプットは増える一方で、人間に与えられた時間は二千年も前から変わらず24時間です。それゆえ、時間こそ最も貴重な資本であり、それを最大化するにはあらゆる思考を簡潔にしていくことが鍵になる、と本書は語ります。

メールを簡潔に、プレゼンを簡潔に、そして経営を簡潔に。情報を減らすのではなく、最も大切な本質を見抜く。短くすることで、思考はますます深くなるのです。これ以上ないほど簡潔に、「簡潔」さの重要性が語られる一冊です。


今回ご紹介したどの本も、背景にあるのは、加速を続ける情報化社会をどのように生き抜くか、という視点かもしれません。また、それは「気持ち」で解決することではなく、科学的知見や思考のメソッドを用いることで、自らを戦略的に変えていく必要があります。セルフコントロールというテクノロジーをもって、テクノロジーの氾濫に対処するという意識もまた、共通していると言えるでしょう。2025年もまた、社会がますます加速することは間違いなく、年末年始はこの6冊と共に、新年に備えてみてはいかがでしょうか。
 

ビジョンプロセシング_ゴールセッティングの呪縛から脱却し「今、ここにある未来」を解き放つ

中土井僚     
英治出版

THINK FUTURE「未来」から逆算する生き方

ハル・ハーシュフィールド  
東洋経済新報社

日経テクノロジー展望2025 世界を変える100の技術

日経BP(編)
日経BP

根性論や意志力に頼らない 行動科学が教える 目標達成のルール

オウェイン・サービス、ローリー・ギャラガー
ディスカヴァー・トゥエンティワン

グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか

ローマン・クルツナリック
あすなろ書房

Simple「簡潔さ」は最強の戦略である

ジム・バンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュウォーツ
ダイヤモンド社